アニメのコラボは増えたのに、何故アニメは深夜放送ばかりなのか
嘗てなら夕方に流れそうなアニメの深夜放送
ここ最近、「え?これが深夜なの?」というアニメが増えてきた印象があります。
例えば、この作品も⇒【2015年アニメ化決定!】食戟のソーマ・キャラクターまとめ【美少女×料理】90年代なら、夕方でやっていてもおかしくないようなジャンルではないかと思います。
アニメはかなり一般に浸透してきたけれど?
一方で、ココ最近は、町中でアニメイラストを見る機会も増えましたし、NHKがコミケをカルチャーとして取材するように、「子どもでもない年齢の人がアニメをいつまでも見えている=社会不適合」という宮崎勤時代からは、随分と一般の人々にもアニメは浸透してきたように思います。
例えば、
・進撃、弱虫ペダル、Free! etc... ローソンとコラボしたアニメまとめ
・【跡部様】もはや宗教行事?社会現象?跡部景吾生誕祭2014@池袋サンシャインシティ【ダース】
といったコラボレーションやタイアップも増えました。
勿論、これらは、制作サイドに入ってくる収入という意味では、微々たるものかもしれませんが、今後の市場の裾野が広がっていくことでしょう。
ゴールデンタイム以外の夕方はアニメを見る時間ではない
ここ最近、子どもにヒットしたアニメ番組の幾つかには、共通した法則があります。
「イナズマイレブン」「アイカツ!」「妖怪ウォッチ」、これは、一時期朝の放送だったこともあれば、今は、夕方18:30に流れていたりしますが、何れもゴールデンタイムで流れていたことがあります。特に、アイカツ!と妖怪ウォッチは、最初にゴールデンタイムでスタートできたからこそ、今の人気があると言えます。
既に、18:00〜や18:30〜は、子どもにとってもアニメ以外のことに使う時間帯なのです。嘗てこの時間帯は、勇者シリーズやカウボーイビバップの再放送やエヴァの放送があった良い時間帯でしたが、今はそうではないようです。
今の18時は、90年代の16時
昨日、『∀ガンダム』はなぜ“商業的”に失敗したのか。それを考察するための材料として、作品を取り巻いていた当時の概況を纏めてみたのまとめを読んでいる中で、
平日4時台って言ったら中学生以上はほぼ見れないよなあ。近畿圏15時半からって、小学生高学年もかなり危うい…。
— あでのい@Gレコ応援中! (@adenoi_today) 2015, 2月 19
というツイートを見て知ったのですが、90年代の夕方のTVアニメでは、16時代は、子どもが見ない時間帯、という認識だったようです。今の18時台がこれ位の感覚に当るのではないかと思います。
ゴールデンタイムで新作アニメは視聴率が取れない
記憶に遠いかもしれませんが、ほんの5〜6年前ですら、
・よみうりテレビの月曜19時にコナンを放送
・テレビ朝日の火曜19時にデジモンを放送
・テレビ東京の木曜日以外の19時台枠
などがありましたが、軒並み移動したり消えてしまいました。
(2006年までは、ワンピースはまだゴールデンタイムで放送していました)
テレビ放送が「世帯」視聴率を獲得するには、50代以上の視聴層を獲得しないと成立しないのです。
世帯視聴率が取れなくなって失ったもの
視聴率が取れないことは、アニメ業界の収入にも影響します。
細かいことを置いておいてザックリ図解すると、
視聴率が取れたころの業界の収益構造
視聴率の為だけについてくれるスポンサー(今でも「ちびまる子ちゃん」「サザエさん」のスポンサーがそうです)からの提供費というのは、放送局にも行きますが、制作費にも回ります。しかし、視聴率が取れない番組となると、その収入が期待できません。
視聴率が期待出来ない番組の収益構造
製作委員会のメンバーは、玩具メーカー、ビデオグラムメーカー(その他、出版社、音源メーカー)などといった、商品化をする予定のある企業群です。作品を放送する為に自分たちで提供費を負担して、制作費を出資して、アニメを制作・放送し、商品化収入で回収する。。。
得たもの失ったもの
アニメ・キャラクタービジネス業界外の業界から 得たもの と 失ったもの をまとめると、
得たもの : 企業とのコラボによるイメージ向上。盛り上がっている感。キャンペーン使用料
失ったもの : 視聴率を目的とした提供費
そして、キャンペーン使用料に比べれば、提供費の方が遥かにバジェットは大きいため、盛り上がっている感はあるんだけど、入ってくるお金が増えているわけではない、むしろ減っている、という状態です。
まとめ
・夕方は見る人が減ってしまった。
・夕方で流して効果があるのは、ゴールデンタイムだけ。
・世の中的に盛り上がっているけど、収入は増えていない。
ということであれば、土日の朝の作品が抜け落ちない限りは、深夜帯で放送するという選択肢しかないのでしょう。
昨今のアニメ関連業界全体の景況
因みに、広い視野で捉えたアニメ関連業界全体は、市場規模が伸びているようです。
2013年のアニメ産業売上は史上最高額に「アニメ産業レポート 2014」刊行記念セミナー
国内アニメ市場2013年は過去最高の2428億円 メディア開発綜研発表
この数年は、旧作リメイク劇場版などの劇場上映イベントや、腐女子向けマーケットが伸びたようで、制作本数の増加については、そこに期待して自転車操業を続けるビデオグラムメーカーと儲かっているアニプレックスがいる、という構造ではないかと思います。
また、コンサートやミュージカルは興行側の収入がメインなので、番組の制作費や放送にかかる費用を負担している企業群にはなかなか入って来にくいお金なのですが、これもこの数年盛り上がっています。
アニメ業界で言うと、余り古いことはわかりませんがここ20〜30年位では、
・海外に日本のアニメが映像作品として売れた時代(今は、セルビデオグラム市場は停滞)
・国内でビデオグラムが売れた時代(デジタル化が一気に進んでCDやDVDがブームでした)
・ファンドが出資して赤字を食った時代(商社が出資する時代がありました)
・パチンコパチスロメーカーの時代(一時より減ってきましたね)
といった、何かしらの大なり小なりの特需があり、厳しい、厳しいと言われ続けながら持ちこたえているようなので、ビデオグラムメーカーが数社撤退や倒産という動きに至らない限りは、この調子なのではないかと思います。
製作委員会については仔細を触れませんでしたが、収支の構造などについては、yyhhyy.hatenablog.com
yyhhyy.hatenablog.com
ご参照頂けますと幸いです。