Davinci Resolve Fusion でテキストによるマスクを作る
Davinci Resolve は無料で使える多機能な動画編集ソフトで、編集・カラコレ・ビジュアルエフェクトなどが出来る。
テキストをマスクにして背景の映像を流す、というテクニックはAdobe After Effectsでも好まれる演出技法だが、Fusionでも勿論できる
準備した素材
背景で動く動画がなかったので、縦に長いグラデーション素材にTransformノードを使って、下から上へ動くようにキーフレームを設定した
テキストマスクの設定
Text+で適当なテキストを打ち、MergeノードにBackground(背景、黄色)として繋げる。
MergeノードのApply Modeを「in」にすることで、切り抜きになる。
完成した動画
そのままだと背景が透明なので、グレーのBackgroundを配置した。
ResolveにFusion 360の3Dを取り込んでみる
Fusion 360 を使ってみたので、Resoveで読み込めるのではないか?と確認してみた
結果読み込むのは非常に簡単だったので備忘録のリンクだけ貼る。
ただし、テクスチャを再現するのはわからなかった。
Fusion 360 で正八面体を用意する
手法はこちらを参考にしました。
正三角形は線分で作り、移動して正方形の1辺に配置しました。
木材にした結果はこちら
Resove での作業
3dデータの読み込みは、こちらの動画を参考にした。
他にも色々と見たがFBXを推奨するものが多かったのでFBXで
作成した動画
どういうわけかどんな動画を参考にしても、テクスチャを適用させることができない
正八面体はResolve上で色をつけた。
背景を適当にイラレのグラデーションで用意して作ったのが
こちらの動画
20/12/06 追記
マテリアルが何故インポートできないのか?と不思議だったが、どうやらResolve の問題ではなく、Fusion 360 の方がマテリアル付きでのOBJファイル吐き出しに対応していないからだ、ということがわかってきた。
奥が深い。
最近AKBのミュージックビデオの出来がとてもいいと思った
たまたまYouTubeで他の曲を聞いていたらAKBの「ハイテンション」のPVが”次の動画”に出てきて、聞いてみたら(というか見てみたら)何か凄くよかった。
何がそんなによかったのか?整理できていなけれど、こういうファーストインプレッションは、後で当たり前になってしまい忘れてしまいがちなので、取り敢えず書きなぐっておきたい。
「ハイテンション」について
- 出だしのパッチンでライトがつくのに気がつく、という入り方がファンタジックでいい。(オチで現実に戻っているも洒落ている)
- パッチンをキッカケに画面が切り替わってモブが踊り出す緩急がいい
- 服のカラーコーディネートがいい。ちょっと昔のモダンガールみたいな色とか、目立つ色がいい。
- ちょっと俯瞰からのカメラでダンスを撮ってから個人のアップを抜くのがいい
- 人差し指を振る謎の振り付けがジワジワカワイイ
- 古典的だがエンドロールで楽しそうな撮影風景が入るのもいい
その他のMVについて
歌っている人が笑顔のPVは見ていて気持ちがいい
ハイテンションもそうだけど、恋するフォーチュンクッキーのときもそうだった。
【MV full】 恋するフォーチュンクッキー / AKB48[公式]
真面目な顔で歌っているMVもいいけど、楽しそうに歌っている姿というのは、それだけでポイントがあがるものだと思う。
この曲は、上2曲ほど分かりやすい笑顔ではないけれど、凄く楽しそうにしている笑顔がちょいちょい挟まって、全体的に伸び伸びと歌っている印象が伝わる。
【MV】Set me free Short ver.[TeamA] / AKB48[公式]
ノスタルジックな演出がいい
メロディはどっかで聴いた感じもあるけど、この女学校やスケバン時代のノスタルジックなモチーフがいい。
【MV】アクシデント中 Short ver.〈AKB48 U-19選抜〉/ AKB48[公式]
「逆さ坂」の歌謡曲からスタートするのも味がある。
【MV】逆さ坂 Short ver.〈じゃんけん民〉/ AKB48[公式]
哀愁のトランペッターは歌詞がノスタルジックなのだが、歌われる情景が映像に思い浮かぶ。(キャバレーに居る感じしません?)
【MV】哀愁のトランペッター Short ver.[TeamK] / AKB48[公式]
余談だが、花の垣根から顔だけ出しているのも面白い。
アイドルというより大人の色気が映像で映えるようになってきた気がする
最初の頃はよく水着になったり、そんな映像がYouTubeで再生回数が伸びるのなんか狡いだろー!と思っていたけど、最近はそうでもない渋いMVが増えてきた。
特に、山本彩と、この数年でちょっと痩せた渡辺麻友は、映像映えがする。
オジサンキラー感がある
学校を卒業して戻ってくる演出とか、ノスタルジックとは別の次元でオジサンキラーなテーマの選び方が多い。
【MV】光と影の日々 Short ver. / AKB48[公式]
おばあちゃんから貰った500円玉を使わないで持っていた、とか、そういうテーマも凄くオジサンキラーである。そう言えば、そんな感覚、あの頃はあったよねと。秋元康はこういうところが天才的だと思う。
【MV】あの頃の五百円玉 Short ver. / AKB48[公式]
ドキュメンタリータッチの演出がベストマッチするようになってきた
これはアイドルグループのMVだろうか??当然、取材先の同意があるかるからできるのだと思うので、いつの間にか地方の学校の人もOKを出すような非アンダーグラウンド感がAKB48にはあるということだ。
【MV full】願いごとの持ち腐れ / AKB48[公式]
なかなかまとまらないけれど、他の数あるアイドルグループとは少し違う感じのミュージックビデオなのだ。
細部にこだわることがクオリティを上げる_シズル感
先日、ピエロ映画特集を見てきまして、ほとんどは苦手な恐い映画だったのですが、その中で一作、観て良かったなぁと思う作品がありました*1
レビューは良くない「ピエロがお前を嘲笑う」
鑑賞後にレビューサイトを見ると、面白いと言う人と、面白くなかった人とに結構別れている作品。
ユーザーレビュー - ピエロがお前を嘲笑う - 作品 - Yahoo!映画
Who Am I - Kein System ist sicher: - Keine Info - 映画 感想 - 鑑賞メーター
そもそも原題は「Who Am I」であって、邦題の付け方が不幸を招いたのだと思います。
ドイツ?米国?での予告⇒
日本の予告⇒(*ネタバレが多いので楽しみたい人は見ない方が良い予告)
日本の宣伝では、「どんでん返しがあるから嬉しんでね!」という方針のようですが、
実際の作品はどんでん返しも面白いのですが、「ハッキング以外何も取り柄がない少年が偶々出会った全然違う系統のオッサンと出会って、持ち前の特技を活かして新しい人生を歩み出す」という方に重きがありました。
憧れていた天才ハッカーに振り向いて欲しくて頑張るのになかなか認められず、、、という所は、結構胸を締め付けるシーンでもありました。
デジタルな空間の描写が良い
拘りとも言えるのが、ハッカー同士が交流するサイバー空間を暗い電車の中で描写しているところ。
who am i 映画 サイバー空間 - Google 検索 (※ちょっと違う画像も検索でヒットしますがマスクした人が地下鉄車両内で対峙してる画像です)
その他、取調室でのシーンとした空間の演出、ハッキング中にテンションを上げて屋上で叫ぶシーン、etc 確かに中二的な要素が好きな人にはたまらない仕草がちょいちょい挟まれていて、そういう細部の拘りがフィルムの質を上げていると思います。
フェティシズム
例えば自分の好きなアニメのOPの一つに「新世紀GPXサイバーフォーミュラ11」のOPがあります。*2
名作!新世紀GPXサイバーフォーミュラ11 名シーン ‐ ニコニコ動画:GINZA
レンチをクルクル回すシーン、タイヤが回るシーン、ベルトを締める動作、眼鏡の反射、画面に入り込むフレア、ゆらゆらと動くレーシングマシンetc これでもかという拘りがあります。
やっぱり好きな人は多いようでこんなMAD動画もあります。
[MAD]サイバーフォーミュラ11 OP風 - YouTube
フェティッシュな拘りが感じられます。
シズル感
広告業界では「シズル感」という言葉あります。
食品やビールの映像や写真を見た時に、如何にヨダレがでるような映像にできるか?ビールの泡立ち、缶についた露、肉汁の焼ける音etc
先ほどのサイバー空間や車のシーンの拘りですと感情に個人差が大きくなりますが、食品関連だと誰もがほぼほぼ共通して同じ所にシズルを感じるため、とても重要です。
フェティシズムは細部なので議論から見落としやすい
先ほどの映画「Who Am I」をストーリーだけ追って分析してしまうと、どんでん返しが予測できるのか?できないのか?月並みなのか?といった議論に終始してしまい、何が観客の情動を刺激するのかがわからなくなってしまいます。
この事については、以前 書きました。
人が「萌える」ポイントを探して掘っていくことが重要だと思います。
モックアップの時代
ちょっと前に読んだ本の中で面白い指摘がありました。
クラウドファンディングで人を集める為には、企画のロジック自体も重要なものの、サンプルつまりモックアップの見た目の完成度が高いかどうか?がとても重要、という指摘です。
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3Dプリンターの出現によってそれが可能になったことが大きい、という指摘もありました。idarts.co.jp
人は映像・画像に弱く、直観的に判断したことに後からロジックをつけて納得している、とも言われますが、立体物の手触り感、写真の手触り感は重要です。
キャッチコピー開発は、言葉で簡単にロジックが説明できるがゆえに誰でも議論がし易く、何度も会議でチームで検討しますが、
一方で、如何に一枚のビジュアルの完成度を高めることができるか?如何に萌えるシーンを繋げることができるか?などの直感的な訴求はなかなか普段議論できていないのではないかと思います。
ピクサーは絵コンテをラッシュにして議論する
少し古い本の記載ですが、ピクサーでは脚本ベースの打合せよりも、絵コンテに落としてさっさとラッシュにしてチームで議論する、ということを行っているそうです。
ピクサー流マネジメント術 天才集団はいかにしてヒットを生み出してきたか
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言葉だけでなく如何に直感的なシーンの良さの精度を上げていくか?
の一つの解法だと思います。
コードネーム U.N.C.L.E. キャラ立ちしていることの重要性について
昨日「コードネーム U.N.C.L.E.」
映画『コードネーム U.N.C.L.E』特報【HD】2015年11月14日公開 - YouTube
を観てきました。
全然特報に接触をしていなかったので、Twitterで誰かが感想を呟くまで危うくスルーしてしまう所でした。その方が「キングスマンも良かったけどコードネームU.N.C.L.Eも良かった!」と呟いていたので、”これは当たりに違いない!”と思って観ることにしたのです。
オープニングがかっこいい
ガイ・リッチー監督の前作の「シャーロックホームズ」のオープニングもかっこいいのですが、アニメやゲームのPVと同じような演出方法のOPです。枠で囲って枠の中で映像が流れる。その枠自体がインサートして動きながらアウトしていく、、、
音楽がかっこいい・合っている
音楽も素晴らしいです。使い方が会っています。知識がないので上手く説明できなくて悔しいのですが、、、
特に、片方が超真剣に考え事をしている時にもう片方が奥で音楽をつけてダンスを始める、という阿呆なシーンがあるのですが、状況と音楽のミスマッチによる笑いというのは結構笑わせて貰えます。
編集も面白い
元々監督はCMやミュージックビデオを作っていたからなのでしょう。マルチ画面を多用します。映画では必ずしも多用されていない気がするのですが、テンポも良くなるのでもっと世の中的に多用されても良いと思う技法です。予めマルチを想定して撮っていたのか、編集で決めたのか、はわかりませんが、編集さんが大変そうな作品でしたw
コメディ映画である
本作をスパイ映画のスリルとサスペンスを期待していた人がいるようで、「後半脚本が退屈だった」「アクションが期待した程なかった」という、わくわく・ドキドキを期待して見に行った人には、期待外れだったようなツイートもみかけました。
序盤は軽妙なギャグと、ちょっとした怪力のシーンがあったりと、スリルがメインのようなシーンがあります。(序盤のカーチェイスシーンの車の速そうに見えること!)
しかし、前半のあるシーンで、明確に”これはギャグである”と説明するかのような大胆なギャグシーンがあります。(見た人にだけわかるように言うと、あの一斉に立つシーンです)
次はどう笑わせてくれるんだ?と思いながら見ると最後まで楽しいでしょう。
キャラ立ちしている
本作は、主人公格2人がライバル関係にあり、片方がチャラく片方が実直で、実直な方はプライドも対抗意識も強いのですが少し不器用な所もあって、序盤は不仲なのですが、後半では良いところに助けに来たり、”喧嘩してるけどめっちゃ仲良いじゃねーかお前らw”というシーンにたまらなく萌えるのです。
特に男同士で仲が良いので、この作品を「ブロマンス」という言葉で語る人も多いようです。(http://ブロマンス)
キャラ立ちとは1人では成立しない
この”キャラ立ちをしている’ということは、なかなか脚本や物語の分析の本にはちゃんと説明されたり考察されない概念です。”キャラクターに個性をつけるように”というレベルの指摘はありますが、それだけでは、”萌え”るようにはなりません。
”キャラクター同士の関係性”に萌えるのであって、キャラクターに個性があるば萌えるわけではありません。”こいつらいつもバカみたいに仲が良いなぁ”とか、”普段は喧嘩しているけど、こういう時はちゃんと協力するんだね!”だとか、”一見浅い関係だけど、こっそりお互いに気を配っているね”だとか、そういった、関係性を表現する為に適切なキャラクターの個性が重要だと思うのです。
ルパンを実写化したような作品
キャラ立ちしていて、スリルとギャグがあって、ちょっと良い話もある、、、という点で、コードネーム U.N.C.L.E.は、ルパンを実写で見ているような感じだった、というのが、最初の感想でした。
ルパンもまた、銭形とライバルであり、時々協力すると萌えますし、そこに良いところで助けに来る無口だけどちゃんと気にしている五右衛門や、ルパンに文句ばかりだけど付き合ってくれる次元、、、
音楽がお洒落な所も似ていますし、ルパン好きとしては、とてもハマる作品でした。
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今期最もキャラ立ちしているのは おそ松さん
今期(2015年秋)最も驚異的なキャラ立ちを見せているのは、「おそ松さん」でしょう。
ベースの顔は6人とも同じなのですが、
ベーシックな おそ松
カッコつけて空回りしてる カラ松
ツッコミ役の チョロ松
何考えているのかわからない 一松
バカの度を超えている 十四松
可愛い末っ子 トド松
と、6人が夫々キャラ立ちしていて、誰が誰なのか、表情や行動やちょっとした顔つきでちゃんと区別できるようになっているのです!!
更に、この6人 ペアになる時はルールがあって
速度松=おそ松、チョロ松(比較的常識人な2人)
材木松=カラ松、トド松(リア充に近いトド松と明らかに異性にモテなさそうなカラ松。でもその2人が仲が良い!)
数字松=一松、十四松 (独りぼっちの一松と同じく次元を超越している十四松がペアで行動するって何かわかりますよね!)
のパターンが多いのですが、そういう設定もたまらないものです。
いかにキャラクター同士の関係性を際立たせる個性をつけられるか?が重要であって、何か見た目や特殊能力を持っていればキャラ立ちをしているということではないのです。極端な話、大きな見た目の違いはそこまでなくても、キャラ立ちはさせられる、ということですね。
※参考
顔つきを見分けたい人はこちら
6つ子の組み合わせパターンをもっとみたい人はこちら
あと、OP・EDもめっちゃお洒落です!!
OPの作曲者は、コナミの音げーで有名な方らしく、終始テンションが高いママ頭から終わりまで行くのは、音ゲー用の曲の特徴だとか。
個人的にはEDの方がもっと好きです。
お洒落な曲、バカな歌詞w
随分と本題からズレた気がしますw
コードネーム U.N.C.L.E のサントラも書いです。
「コードネームU.N.C.L.E.」 オリジナル・サウンドトラック
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リトルウィッチアカデミアはアニメらしいアニメ
2週間限定で公開している『リトルウィッチアカデミア』見ていない人には是非観て頂きたいです。
とてもアニメーションらしいアニメーションでした。
映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』第三弾予告 - YouTube
個性的なキャラクターの表情が生き生きとしていて、とても可愛い作品です。ファンタジックなパレードから始まる第1作の冒頭もとても美しい。
アニメと実写の役割について
ノイタミナのように、実写ドラマでやっても良いような作品をアニメ化することがありあます。
一方で、大根監督の「モテキ」のように、実写の中に漫画チックな表現手法を入れるものがあります。
或いは、「パリフィック・リム」「トランスフォーマー」のように、CGで実写映画化するものがあります。
夫々に、特徴があって、どれがあっているどれが得意というものがあると思いますが、
「リトルウィッチアカデミア」は、アニメーションでやって良かったなーと思える美しい作品でした。
例えば、実写では役者の顔の表情に限界がありますが、アニメーションでは、目玉を大きく強調することもできます。手間はかかりますが、豊かな表情を強調することで、印象的に感情を表現できます
リアリティとは何か?
大塚英志さんが色々な著作で繰り返し述べている「死なない身体」の話。
途中まではどれだけ殴られようが打たれようが死なない身体だった戦中の漫画のキャラクター達が、ある回でミッキーのようなキャラクターの飛行機からの射撃を受けた少年が「あっ!」と言って血を流して死んでしまう。
それまでは、「このファンタジーの世界では人は何をやっても死なない」という”文法”を理解していた読者にとっては、「えっ!」と思うシーン。
このように人間には、空想の物語に対して、その物語が前提としている”文法’を理解した上で物語を消費することができます。登場人物が血を流さなかろうと、「この作品ではそういうことになっている」で済ますことができます。
ファンタジックな世界の話であれば、「これはファンタジー」だからと前提を理解して見ることができるので、「リトルウィッチアカデミア」で主人公が魔法を使おうが、やたらデカい目をしていようが、何であろうが気にならない。
積極的に使った方が良い”文法”と使うのが難しい”文法”
「これはそういんもんだ」を納得させるのが難しい設定もあります。
例えば戦争もののように、大人がいないとおかしいのに子どもに活躍させたい場合など、、、読者・視聴者が子どもでったあり、大きな子どもである為にどうしても主人公を子どもにしないといけないケースでは、
・「子ども達だけ残して遭難させてしまう」⇒『十五少年漂流記』『機動戦士ガンダム』
・「子どもしか操縦できないシステムになっている」⇒「エヴァンゲリオン」
・「子どもの頃にしかその能力がない」⇒「ナルニア国物語」(最近なら「Charlotte」)
・「隔離された学校の世界という設定にする」⇒最近のラノベ
など色々な理由を最初に作ります。
そういう準備を無視していきなり子どもが活躍し出すと、視聴者は”文法”に納得することができません。
リトルウィッチアカデミアの”文法”の提示はとても秀逸
多くの場合その”文法”を説明する為に、第1話や冒頭に世界観の説明のパートが入ります。
「リトルウィッチアカデミア」も、「魔法」「子どもが活躍」などの”文法”を設定するために冒頭に世界観説明シーンがありますが、本作(アニメミライ1作目)の冒頭は、とても秀逸で、一気に引き込まれてしまいました。
「美しい魔法のショー」「それを見て魔女に憧れる少女」
⇒魔法少女見習いが学校で奮闘する話へ
ここまでの流れがファンタジックで色鮮やかで、巨大な少女の瞳の中に映るかっこいい大人の魔女、というシーンは、アニメーションならではの表現だと思いました。
表現媒体ごとの強み
アニメーションならではの演出とは何でしょうか?
漫画には漫画の「コマ」でしか表現できない演出が
小説にも小説にしか表現できない「地の文」というトンマナの表現手段があります。
アニメーションの場合は何でしょうか?
昔の東映動画の長編アニメーションを見ると、ファンタジックな色使いが、今見ても美しいですし、
タイガーマスクのような劇画風の作品であれば、心象風景を説明する真っ赤な背景など、
実写では普通やらない演出技法があります。
「リトルウィッチアカデミア」は、「これはアニメーションで表現して貰ってほんとに良かったなー」と思える作品でした。
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このパッケージも最高に可愛いですね!
月刊MdN 2015年 11月号(特集:エフェクト表現の物理学 爆発と液体と炎と煙と魔法と。)
- 作者: MdN編集部
- 出版社/メーカー: エムディエヌコーポレーション
- 発売日: 2015/10/06
- メディア: 雑誌
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MdNは時々素晴らしい特集をします
東映動画の長編で美しい作品の一つ。タイトルに騙されてはいけない。パッケージをよくみて下さい。オジサンのガリバーが活躍するあの昔ながらの話ではないです。
映像の良さは脚本だけでは語れない_キングスマン_ジュラシック・ワールド_を観て
先日『キングスマン』を観て、久々にアドレナリンが大量に出ました。
『キック・アス』の監督の最新作ですが、こちらは更に”スーツ萌え”まであります。
カッコイイとは何かを追求した映画
キングスマンは、オーダーメイドのスーツのカッコ良さ、小物のカッコ良さ、アクションのカッコ良さ、適役の造形美、とめはねのある紳士の動きetc 只管カッコいい映像の連続でした。
主人公サイドの演技も然ることながら、サミュエルL・ジャクソンの悪党演技も素晴らしいものです。あるインタビューで監督は、「監督の仕事の8割がキャスティングだと思っている」と答えています。
『キングスマン』“スパイ候補生”タロン・エガートン、キレッキレ映像到着 | シネマカフェ cinemacafe.net
しかし大人はつい脚本”だけ”で判断しがち
脚本も勿論良く出来ていました。但し、カッコいい映像を繋げるためのストーリーであって、何か社会的な投げかけがあるとか、考えさせるものがあるとか、そういう重いテーマがあるわけではありません。
その結果、”世代交代がテーマかと思ったらそうじゃなくて、テーマが良くわからなかった”という意見をツイートしている人もいました。
それは全くその通りなのですが、そんなことは全く気にならないで、最初から最後まで僕は楽しむことができました。
ジュラシック・ワールドもアトラクション映画としては素晴らしい
例えば、「ジュラシック・ワールド」もストーリーは、最後よくわからない形で決着してしまったり、第1作と比べて恐竜の脱走のきっかけが軽すぎたり、ストーリーを追いかけてしまうと不満が目につくでしょうけれども、
恐竜の迫力、恐怖、豪快さ(モササウルス) などは、充分あったと思います。
”子どもは楽しんでいたようです”というツイートも見かけました。
映画『ジュラシック・ワールド』第2弾予告編 - YouTube
言葉なら自分でもわかる、脚本ならわかる、と思いがちなのではないか?
人は普段言葉をよく使います。毎日音楽を作る人、毎日イラストを描く人、毎日動画を撮影し編集する人よりも、毎日文字を書いている人は、圧倒的にたくさん居るでしょう。
映画のストーリーを分析する本であれば、新書でも出ている(時計じかけのハリウッド映画―脚本に隠された黄金法則を探る (角川SSC新書))ため、馴染みやすいと思います。故に、ついつい作品が良かった時の感想、作品が悪かった時の感想を”脚本から”分析してしまいがちなのではないか思います。
以前、僕も同じ箇所を引用したことがありますが、ジブリの鈴木敏夫さんが言う通り、つまらなかった時の理由を映像や音楽の視点から理解することができなため、ストーリーに欠陥があった筈だ、とあら探しをしているのが実態でしょう。
マッドマックスは一部の人から高評価ですが、ストーリーは?
例えばマッドマックスの最新作は、映画が好きそうな人からとても評価が高く、立川では何度も上映され満席が続いていました。
確かにこの作品には、ガバナンスの問題や、性的役割の問題など、テーマ性がありそうですが、果たして、そこまでストーリーが良かったでしょうか?
どちらかと言えば、完全に映像の迫力だったと思います。
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』予告編 - YouTube
もっと、映像の良さがわかるようになりたい
映像作品の良さは、脚本、演技、カメラワーク、更に言えば 音楽 も重要です。
僕は、エヴァのTV版が好きでしたが、やはりストーリー云々に加えて、発進シーンの音楽やカット割りなど、総合的に良かったことがとても大きいと思っています。
しかし、なかなか映像演出、更には、楽曲選曲や効果音については、世の中には解説が少ないものです。
世の中のライターさんというのは、バックボーンが言葉で考える人達なので、ストーリーや寧ろ社会情勢との関係を論じるのが好きだと思います。なかなか、何故その映像の完成度が総合的に高かったのか?を分析し尽くすには、学ぶことが多いでしょう。
とは言え、やはり、何故?どこが?良かったのか? 真理を探求したいものです。
いつか、それがわかるようになりたいです。
-<参考資料>-----------------------------------------------------------
映画批評サイト
今一番面白い映画批評サイトは、やはり 田中泰延(たなかひろのぶ)さんの批評でしょう。書き方が冗談めいていますが、この人の知識量は半端ないので、ちゃんと読めばとても鋭いことを言っています。
例えば、ビリギャルの批評からは、”美女のカットが連続すれば、それだけで良い映像になる”ということを改めて思い出させられました。だから、各国で映画黎明期にスターシステムがあったのですよね。
映像の分析の本
10年前に大学で勧められた本が「映像技法のリテラシー」でした。
大判で少し大変なのですが、結局色々な本を読んでも、この本程にまとまっているものは、ありませんでした。
確かに、ロングショットだなんだとテクニックの説明をしている本は沢山あるのですが、夫々の技法を取ることでどういう効果があるのか?といったことまで書いてある本は少ないものです。
脚本の本
このジャンルについては、どの本が良かった、という明確なものはありませんが、
先ずは、大塚英志さんの本が一番、構造的な分析が書かれていると思います。
あくまで小説、主にライトノベルの話になってしまいますが、何故か映画の脚本の解説本よりもとてもよくまとまっています。元々民俗学をやられていたこともあって、神話から物語の構造を引っ張ってきているのだ、というベースの知識が最初からあるためでしょう。
映画の脚本については、どれを読んでもだいたい同じ内容だと思います。
・3幕構成
・ヒーローズ・ジャーニー
・オイディプスコンプレックス
といった大枠での観点で書かれた本が殆どです。
SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術
時計じかけのハリウッド映画―脚本に隠された黄金法則を探る (角川SSC新書)
映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術
もっと、萌えるキャラクターを魅せる脚本だとか、そもそも伏線は何の為に必要なのか?etc重要な要素はあると思うのですが、実際の脚本家さんは、そんな重要な営業機密を本にするということはないのでしょう。
自分ならどうしただろうか?と考えながら鑑賞するのが一番良いように思います。