先日『キングスマン』を観て、久々にアドレナリンが大量に出ました。
『キック・アス』の監督の最新作ですが、こちらは更に”スーツ萌え”まであります。
カッコイイとは何かを追求した映画
キングスマンは、オーダーメイドのスーツのカッコ良さ、小物のカッコ良さ、アクションのカッコ良さ、適役の造形美、とめはねのある紳士の動きetc 只管カッコいい映像の連続でした。
主人公サイドの演技も然ることながら、サミュエルL・ジャクソンの悪党演技も素晴らしいものです。あるインタビューで監督は、「監督の仕事の8割がキャスティングだと思っている」と答えています。
『キングスマン』“スパイ候補生”タロン・エガートン、キレッキレ映像到着 | シネマカフェ cinemacafe.net
しかし大人はつい脚本”だけ”で判断しがち
脚本も勿論良く出来ていました。但し、カッコいい映像を繋げるためのストーリーであって、何か社会的な投げかけがあるとか、考えさせるものがあるとか、そういう重いテーマがあるわけではありません。
その結果、”世代交代がテーマかと思ったらそうじゃなくて、テーマが良くわからなかった”という意見をツイートしている人もいました。
それは全くその通りなのですが、そんなことは全く気にならないで、最初から最後まで僕は楽しむことができました。
ジュラシック・ワールドもアトラクション映画としては素晴らしい
例えば、「ジュラシック・ワールド」もストーリーは、最後よくわからない形で決着してしまったり、第1作と比べて恐竜の脱走のきっかけが軽すぎたり、ストーリーを追いかけてしまうと不満が目につくでしょうけれども、
恐竜の迫力、恐怖、豪快さ(モササウルス) などは、充分あったと思います。
”子どもは楽しんでいたようです”というツイートも見かけました。
映画『ジュラシック・ワールド』第2弾予告編 - YouTube
言葉なら自分でもわかる、脚本ならわかる、と思いがちなのではないか?
人は普段言葉をよく使います。毎日音楽を作る人、毎日イラストを描く人、毎日動画を撮影し編集する人よりも、毎日文字を書いている人は、圧倒的にたくさん居るでしょう。
映画のストーリーを分析する本であれば、新書でも出ている(時計じかけのハリウッド映画―脚本に隠された黄金法則を探る (角川SSC新書))ため、馴染みやすいと思います。故に、ついつい作品が良かった時の感想、作品が悪かった時の感想を”脚本から”分析してしまいがちなのではないか思います。
以前、僕も同じ箇所を引用したことがありますが、ジブリの鈴木敏夫さんが言う通り、つまらなかった時の理由を映像や音楽の視点から理解することができなため、ストーリーに欠陥があった筈だ、とあら探しをしているのが実態でしょう。
マッドマックスは一部の人から高評価ですが、ストーリーは?
例えばマッドマックスの最新作は、映画が好きそうな人からとても評価が高く、立川では何度も上映され満席が続いていました。
確かにこの作品には、ガバナンスの問題や、性的役割の問題など、テーマ性がありそうですが、果たして、そこまでストーリーが良かったでしょうか?
どちらかと言えば、完全に映像の迫力だったと思います。
映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』予告編 - YouTube
もっと、映像の良さがわかるようになりたい
映像作品の良さは、脚本、演技、カメラワーク、更に言えば 音楽 も重要です。
僕は、エヴァのTV版が好きでしたが、やはりストーリー云々に加えて、発進シーンの音楽やカット割りなど、総合的に良かったことがとても大きいと思っています。
しかし、なかなか映像演出、更には、楽曲選曲や効果音については、世の中には解説が少ないものです。
世の中のライターさんというのは、バックボーンが言葉で考える人達なので、ストーリーや寧ろ社会情勢との関係を論じるのが好きだと思います。なかなか、何故その映像の完成度が総合的に高かったのか?を分析し尽くすには、学ぶことが多いでしょう。
とは言え、やはり、何故?どこが?良かったのか? 真理を探求したいものです。
いつか、それがわかるようになりたいです。
-<参考資料>-----------------------------------------------------------
映画批評サイト
今一番面白い映画批評サイトは、やはり 田中泰延(たなかひろのぶ)さんの批評でしょう。書き方が冗談めいていますが、この人の知識量は半端ないので、ちゃんと読めばとても鋭いことを言っています。
例えば、ビリギャルの批評からは、”美女のカットが連続すれば、それだけで良い映像になる”ということを改めて思い出させられました。だから、各国で映画黎明期にスターシステムがあったのですよね。
映像の分析の本
10年前に大学で勧められた本が「映像技法のリテラシー」でした。
大判で少し大変なのですが、結局色々な本を読んでも、この本程にまとまっているものは、ありませんでした。
確かに、ロングショットだなんだとテクニックの説明をしている本は沢山あるのですが、夫々の技法を取ることでどういう効果があるのか?といったことまで書いてある本は少ないものです。
脚本の本
このジャンルについては、どの本が良かった、という明確なものはありませんが、
先ずは、大塚英志さんの本が一番、構造的な分析が書かれていると思います。
あくまで小説、主にライトノベルの話になってしまいますが、何故か映画の脚本の解説本よりもとてもよくまとまっています。元々民俗学をやられていたこともあって、神話から物語の構造を引っ張ってきているのだ、というベースの知識が最初からあるためでしょう。
映画の脚本については、どれを読んでもだいたい同じ内容だと思います。
・3幕構成
・ヒーローズ・ジャーニー
・オイディプスコンプレックス
といった大枠での観点で書かれた本が殆どです。
SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術
時計じかけのハリウッド映画―脚本に隠された黄金法則を探る (角川SSC新書)
映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術
もっと、萌えるキャラクターを魅せる脚本だとか、そもそも伏線は何の為に必要なのか?etc重要な要素はあると思うのですが、実際の脚本家さんは、そんな重要な営業機密を本にするということはないのでしょう。
自分ならどうしただろうか?と考えながら鑑賞するのが一番良いように思います。