人間の心は社会的に決まるということについての読書案内
最近はグローバルで活躍しかつSNSで情報発信をしていただける方が増えました。その為、日本の常識は海外では非常識ですよ、と教えてくれる人も増えてきました。
一方で、「海外では」とひと括りに言っても、「自分の行った海外では」という話であって、民族によってかなりバラツキのある話で、アングロサクソン系なら全部一緒だろう?と考えるのもかなり的外れです。人の心は社会的に決まるもので、所属する集団の社会規範に大きく左右されるものです。
丁度最近読んだ本でとてもわかりやすい本がありました
読書案内
ビジネスパーソンの視点
異民族同士の混成チームのマネジメントをコンサルティングされる方が長年、ビジネスの組織で実体験してきた事例の総まとめのような本。
異文化理解力 相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養 [ エリン・メイヤー ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 心理学 > 心理学
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 1,980円
特に企業内で上司と部下がどのようなコミュニケーションスタイルを望むか?という視点で情報を集めた本は少ないので重宝するかと思います。(私は生憎ドメスティックな会社に勤めていますので、ただの教養にしかなりませんが) 国別にどういうフィードバックを好むか?どういう時間意識を望むか?は千差万別で、聴衆が盛り上がっているのに公演時刻ピッタリに終えてしまうと「失礼だ」と捉える国の事例など、なかなか予め知っていないと対処が難しいことも多いでしょう。
学者の視点
ヒトとそれ以外の霊長類の大きな違いは何か?という点で、ヒトは技術を集団で記憶し伝承することで身体能力の一部を外部化してきた点に着目した本。
合理的な判断能力では人間はチンパンジーに負けるそうですが、人間は特に他人を模倣する癖がついていて、合理的な判断をせずに他人を真似るケースが他の霊長類より多いそうです。単独では狩りもできませんが、先人が鏃の作り方を伝授してくれるので集団としては強くなる、というモデルで人間は生き残ってきたようです。
例えば、複雑な調理工程をしないと毒素が抜けない食料品を食べてきた民族では、化学的な理由を理解をせずに”昔からこうやってきた”という調理工程を守らないと死んでしまうので、所属集団のルールを守る能力というのは死活問題になってきます。そういった人間の特徴を踏まえると、どれほど村八分が気持ち悪い風習に見えたとしても、村八分こそが人間が生き残ってきた強みであったのであれば避けようがない本能だ、ということが理解できるでしょう。
教養本としても面白いですが、チームに伝承しないスーパーマンが多い集団よりも、そこそこの能力ではあるが他人に伝承できる人が多い集団の方が、数世代経った後のチームとしての技術では後者の集団の方がスキルアップしているというモデルは企業体にも応用できる話ですし、”他人から尊敬されている火を尊敬したくなる(某本の”錯覚資産”)ことは人間の本能である”ということがわかれば、著名人に推奨して貰うと何故商品が売れやすいのか?といったプロモーションの経験則にも納得感が出てきますし、応用範囲の広い本です
ライトな本
どちらかというと上記2つの本を読んでからの方が良いかもしれませんが、もっとテクニック論に寄った本としては、藤田田氏の本や、瀧本哲史氏の本もとても参考になります。
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 宗教・倫理 > 倫理学
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 1,617円
藤田田氏の言う、みんなに憧れられているお金持ちから商売を始めろ!という指摘も正に人間の本能に従うと正しいジャッジですし、瀧本哲史氏の紹介する人が協力したくなるパターンについても、如何に自分が集団に認められているか?大切にされているか?を気にするのは人間が必要な生存本能であって、決して承認欲求に溺れた人が単純に愚かな人ではなく、みな平たくそういう気質はあるものだ、と理解することができます。
人の心が動くポイント
特に、テクニック論的な藤田田氏と瀧本哲史氏の本を読んで感じるのは、人間社会の原動力の多くは、合理性よりも情動的な意思決定ではないか?という点、ごくごく一部の”人気のある著名人”同士のコネクションで社会が動いているのではないか?という点です。
顕著な例は生き残った楽天と巨大化しそこなったライブドアグループで、経団連の偉い人に仲間だと思って貰えたかどうかで結末は変わりました。別にライブドアが球団を買っていてもおかしくなかったのでしょうけれど、偉い人に筋を通さずに行ったことで、味方が現れませんでした。 他にも瀧本哲史氏の本に出てくるのですが、「どうしてもこれを私はやりたいんだ」という熱意が伝わってJALの音声コンテンツに採用されたベンチャーが”JALに採用された’実績”を引っさげて、信用力を固めていった事例の紹介もわかりやすいと思います。この場合の説得はたまたま熱意ということでしたが、合理的な判断だけの連続であれば追い払われていたことでしょう。
という本も非常に面白いエピソードです。スポーツ界のフィクサーのような数人が大きなイベントのお金の流れを決定づけています。
これらはあくまでも例示に過ぎませんが、「アイデアを思いつく人は無限にいる」「実行する人は少ないがそれでも沢山いる」「やり遂げられた人が少ないのだ」とはよく言いますが、重要な局面で非合理的なジャッジをどれくらい乗り切ることができたか?ということが重要なのではないかと思います。
合理的な判断ではない意思決定をAIが促進できるようになっとき、始めてAIが「ヒト」に近づいたと言えるでしょう。合理的な判断のサポートをしているうちはチンパンジー止まりということかもしれません。
ffmpegでYahoo!入稿規定用の動画を変換する
動画広告を入稿する際、Youtubeはチャンネルにアップロードするだけですし、Teasもそんなに難しくありません。多くのケースが「mp4 h.264 AAC」程度を守っていれば大丈夫です。
しかし、Yahoo!はそうはいきません。
- メジャーブランド:mp42、M4V
- moov atom位置指定:ファイル先頭
- 最大ボリューム(db):-3dB以下
など、結構細かい指定があります。
ここまで来ると、動画編集ソフトに付随している書き出し設定では限界があります。
ffmpegをインストールする
コマンドプロンプトで動画を変換できる便利なソフトです。
Windowsの場合、自分でPATHを通す必要があります。解凍したママですとフォルダ名が長いので、適当に変えておくほうが良いでしょう。
実行するコマンド
結論から言うと、以下のようおなコマンドをコマンドプロンプトで打つことになります。
- before.mp4 が、変換したい元の動画ファイル名
- after.mp4 が、変換した後の動画ファイル名
としています
ffmpeg -i before.mp4 -brand mp42 -af loudnorm=I=-24:TP=-3:LRA=1 -movflags +faststart -profile:v baseline -level 3.0 -s 640x360 after.mp4
以下に、それぞれのオプションの説明をします
アスペクト比を変える
-s 640x360
のオプション部分です。
Yahoo!では解像度を下げさせられるケースが多いです。
ベースラインを変える
-profile:v baseline -level 3.0
多様なデバイスに対応するためにベースラインの推奨を入稿審査で指摘される場合があります。
moov atomを先頭に記述する
-movflags +faststart
moov atomを先頭に記述しなければなりません
音声ピークレベルとラウドネス対応
-af loudnorm=I=-24:TP=-3:LRA=1
ラウドネスの規定があります
メジャーブランドをmp42にする
-brand mp42
isomでは受け付けてくれません
確認するコマンドとその他のコマンド
変換したい内容になっているかどうか?を確認するには
ffmpeg -i after.mp4
と入力ファイルの指定だけして出力を指定しなければ、内容が記述されます。
その他にももっと色んなことができるソフトであることを知りました。これはとてつもなく便利なソフトですね。
クオリティを下げて兎にも角ファイル容量を小さくしたいときは「-crf」オプション
0-63
静止画連番の吐き出し
Markdownから直接PowerPointを作成する
ちょっと前までは、MarkdownからPDFやワードファイルにできてもPpwerPointにするのは再現性が厳しいものがありました。
※以前の記事
しかしいつの間にかPandocがPowerPointへの変換もサポートしていました。
使い方
※ Pandocのインストールまでは様々なサイトがありますので割愛します。あともうちょっとこういうことができたら良いな、の部分を以下に抜粋しました。
PowerPointのフォーマットを指定したい
自分1人でスライド作成が完結するならPDFでもHTMLスライドでも問題ありません。しかし敢えてPowerPointファイルにする必要がある、ということは、パワポにして誰かと共有する必要があるというケースだと思われます。
その際、課題となるのが、スライドマスタをあわせたい、フォントを併せたいといったニーズでしょう。
こちらで紹介されていました。
Bemaerに変換するときと同じようにコマンドプロンプトで参照ファイルをつければよく、しかも普通のPPTXファイルでOKです。これは便利です。
たとえば、こんな感じのPPTを「hogehoge.pptx」として保存しておきます
以下のようなMarkdownで書いたmarkdownファイルを用意しておきます
% hogehoge % hoge % 2019/10/22 ## Slide 1 - hogehoge - hogehoge ## slide 2 - hoge # seleciton2 ## slide 3
コマンドプロンプトからPandocで変換します
pandoc -s hoge.md -o hoge2.pptx --reference-doc=hogehoge.pptx
同じフォーマットで出てきます。配色も好きに参照元のパワポを調整すれば良いでしょう。
画像のリサイズがしたい
PandocでのPowerPoint化はHTML化とは違いますのでHTMLタグを使うことができません。
<img src="hogehoge.jpg" width="hogehoge.px">
といった記述をしても残念ながら画像のサイズは変更されず、1スライドに1画像という固定のフォーマットにされてしまいます。
しかし、解決方法はあります。
Beamerで2カラムにするように、Markdownで2カラムにすれば良いそうです。
↓この手法を画像配置の方法として考えられた方、素晴らしいと思います。 qiita.com
::::::::::::::: {.columns} ::: {.column} - hogehoge - hogehoge ::: ::: {.column} ![hoge](images/hogehoge.jpg) ::: ::::::::::::::::::::::::::
ただしこれ、プレビューやPDF・ワードファイル化ではうまく機能しませんので気をつけてください。
% hogehoge % hoge % 2019/10/22 ## Slide 1 ::::::::::::::: {.columns} ::: {.column} - hogehoge - hogehoge ::: ::: {.column} ![hoge](images/hogehoge.jpg) ::: :::::::::::::::::::::::::: ## slide 2 hoge # seleciton2 ## slide 3
で
になります。
必要以上に見栄えにこだわらなければこれで充分でしょう。
GoogleAnalyticsの週次レポートを自動化する方法
Google Analyticsはとても人気があり、アクセス解析はしないけれどサイトの訪問状況の概要を知りたい、というニーズに於いては最も手軽で便利なツールです。
一方で、使い方を検索しても、公式ガイドのコピペのようなサイトばかりヒットしてしまい、なかなかあと一歩、知りたい情報にたどり着けないことも多いのではないでしょうか?特に、週次レポートを課せられ毎回毎回ブラウジングから作成している人も多いのではないか?と思い、レポート自動化のコツをまとめておくことにしました。
レポート自動化の意義
レポートを自動化していない最悪のケースでは以下の工程が発生しているはずです。
- Google Analyticsのページへログインする(アカウントを切り替える)」
- 左のメニューから「行動>●●」とクリックしていく
- 表示されたレポートにディメンションを追加していく
- 期間を設定して集計する
- 表示が1ページで切れているので5000行にする
- レポートをエクセルでダウンロード
- エクセルのデータをエクセルでグラフ化
- パワポにエクセルのグラフを貼る
2,3 部分の解消やフィルターが必要な方は「カスタムレポート」も使っていると思いますが、いずれにせよこんなことを毎週月曜日にやっていたら週明け早々非生産的です。
Google スプレッドシートのアドオンでデータを取得する
Google スプレッドシートにはGoogle Analyticsと連携したアドオンがあります。アドオンを取得したらアドオンメニューで表示できるようになりますので、Create Reportから新しくレポートを作成します。1
自分が知りたい指標を選んでいきます。英語ですが対照表も検索すれば出てきます。
例えば、
- 知りたい数値類
- Page Views
- New User
- User
- 知りたい軸
- 週の単位
- 流入元
- ページのタイトル
などを設定します
無事レポートができるとこのような画面になります。ここでは期間設定を変更したり、フィルターやセグメントもこのシート上で変更できます。ディメンションを追加することも可能です。2
作成したらアドオンから「Run Report」を押すと、別シートに集計結果が出力されます
このときスプレッドシート側で何行の何列から何行の何列まで使っているか?をメモしておく必要があります。
Google Data Portal でデータをグラフ化する
データソースの連携
グーグルのサービスの中では比較的マイナーかもしれません。Google Data Portal(旧:Google Data Studio)からレポートを作ります。
するとレポート作成画面ができますが、右下の「新しいデータソースを作成」から、先程のスプレッドシートのデータを設定していきます。
凝ったことしないのであればGoogle Analyticsを直接連携しても良いのですが、普段カスタムレポートでフィルターを細かく設定している人や、Google Analyticsのレポートそのままではなくスプレッドシート上で簡単な前処理が必要な場合などを考えると、現時点のサービスのクオリティではスプレッドシート連携の方が便利でしょう。
データソースの選択で、自分のスプレッドシートの「シート」を選択し、データが記載された範囲を入力します。この際、週次レポートなどであればどんどん下に行が増えていくはずですので、必要以上に多くしておくほうがベターです。
注意点
たまに数値が数値として認識されていないことがありますので、各データの設定は必ず確認します。
また、今回ISOの週を指標に選びましたのでこれも設定しておきます。そうでないとグラフ化の際に謎の6桁の数字が並んでしまいます。
データのグラフへの描画
いよいよデータのグラフ化です。今回は週次レポートに求められるケースをピックアップしています。
時系列棒グラフ
先ず、週単位のページビューを時系列でグラフ化してみましょう。「アクセスが伸びているのか?落ちているのか?最近上がったのはいつか?」といったことは、意思決定の有無とは別に、よく質問される項目だと思われます。
「グラフを追加」から時系列グラフを選びます。
デフォルトでは折れ線グラフですが、週単位集計のページビューは非連続データだと思っていますので、個人的に棒グラフにするべきものだと思っています。右側のパネルで変更ができます。
軸のフォントのサイズなどを調整して見やすいグラフにしてきます。エクセルのように細かく設定はできませんがデフォルトでも見やすく作られているので、許容範囲でしょう。
表とスコアカード
「どのページがよく見られれているのか?」も問われやすい項目です。表の中に棒グラフと数値が入るパターンを選びましょう。残念ながら表示できる行が往々にして制限が出ます。どこかで足切りを良しとする必要があります。
また、「トータルで今、何人来ているんだ?」もよく聞かれることですので、「スコアカード」でPV,UUなどを表示しています。
棒グラフ
また、流入元の分析であれば、流入元別に棒グラフも必要かもしれません。私の拙いサイトでは何もパラメータを付与していませんが、ここでGoogle推奨のパラメータを表記していれば、綺麗に分類できるはずです。
スケジュール化
Data Portal側
Google Data Portalの結果は、このページ自体を共有設定することもできますが、なかなか現実的には外部企業とダッシュボード共有はしないと思われます。ダウンロードしてPDFにすることができますので、このPDFを共有するようにします
共有から自分のアカウントに転送できます。この際には、PDFが添付されたメールになります。
この先は、自分でメールを送るもよし、Gmailに転送設定するもよしです。ただしファイル名が文字化けされるので注意してください。
Google スプレッドシート側
また、Data Portalのスケジュール化と同時に、Google スプレッドシートの方でも定期レポート化設定が必要です。Schedule Report から設定します。
「
Data Portalよりも前の時間帯で更新されるようにしておきます。
以上で設定は終わりです。
後は、毎週決まった時刻にこのPDFがメールで来るようになります。
Google Data Studioについての本は少なく、私もスプレッドシートをソースにできると知ったのはこの本でした。この本では、説明相手によって出すべきレポートが異なることなど、もう少し前段階から説明されているただの紹介本とは異なる良い本です。
Googleデータスタジオによるレポート作成の教科書 成果を上げるWeb解析レポートを徹底解説 [ 佐々木 秀憲 ]
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同じグラフ作成・レポート作成という意味では以下の本がシンプルで良いでしょう。3
Google流 資料作成術 [ コール・ヌッスバウマー・ナフリック ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > 経営 > 経営戦略・管理
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- 価格: 2,200円
最後に、Google Analyticsに関する本も紹介しておきます。正直Google Analyticsに関してはすぐに指標も変わりますので、書籍は概略を掴む程度で、後はひたすら実際に触って、ヘルプの解答をGoogle検索して、というのが良いでしょう。
スモールビジネスのためのGoogleアナリティクス完全ガイド グローバルサイトタグ対応版 [ 皆川顕弘 ]
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技術的な知見がある人こそが「重要なマーケティング」をできる
最近立て続けに中国企業の成長を探る本を読み、モヤモヤとしていたことが瓦解しました。
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事例でわかる 新・小売革命 中国発ニューリテールとは? [ 劉潤 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > 産業 > 商業
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このエントリーにまとめたことは上、2つの本を読めば実質的に解決します
マーケティングという言葉の幻想について
最近「マーケティング」という言葉が反乱していて、色々な人がポジショントークをしているように感じます。もともと定義がしっかり決まっている職種でもないのと、日本の場合は「なんか凄そう」というイメージもついているせいか、言葉を拡大解釈して自分のセールスに使っている人も多い印象があります。
様々な立場にとっての「マーケティング」
私が関わって来た中で、マーケティングという言葉は大きく以下の3つの使われ方があるように思います
以降、簡潔に紹介しますが、少し横道なので以下3ブロックは読み飛ばしても問題ありません
戦略コンサルタントの使う「マーケティング」
マッキンゼーやボストンコンサルティングといった所謂戦略コンサルタントは、製品のラインナップを確認し、
- ライフサイクル上、衰退期に居る商品部門を縮小する
- カニバリゼーションを起こしている商品部門を解体する
- 販売チャンネルを見直し営業の人員配分を変える
- 競合優位性の薄いブランドの売却する
といった形で、大きな視点での改善を提案していきます。彼らはこのようなレベルで「マーケティング」という言葉を使います。よくみるSWOT分析や製品のライフサイクルなどは彼らの提唱によるものだったと記憶していますが、会社全体を視野に入れて事業部の力配分にメスを入れることを期待されています。
コンサルタントだけを生業にしてきた人は、分析力を買われているのだと思っている節があるようなのですが、傍目から見ていると分析力自体は普通で、そんなことよりも外部の人だからこそできる部門横断のヒアリングと取り潰しという内部でやると軋轢が生まれそうな組織と組織の壁を壊す精神的なストレス代行に高い報酬が支払われているように見えます。
BtoBソリューション提供企業が使う「マーケティング」
最近「マーケティング」という言葉を反乱させているのはこちらのタイプの方々のように思います。
顧客にセールスするのが営業、それをサポートするのがマーケティング
簡単に言うとそういう意図で使われているようです
- PRで自社製品が必要とされる社会的気運を高める
- ホワイトペーパーを作り展示会に出展しサイトやメルマガのコンテンツで見込み顧客のリストと優先順位をつけて営業に渡す
私は広告代理店の人間なので「それはプロモーションなのでは?」と思ってしまうのですが、この用法は間違っているわけではなく、伝統的な企業でも「~マーケティング」という子会社は、だいたい「販売用子会社」ということがあります。
最近はBtoBセールス分野のソリューション市場が活発なため、「SNSマーケティング」や「WEBマーケティング」といった形で、「マーケティング」という用語が氾濫しています
広告代理店が使う「マーケティング」
これも恐らく使い方としてあっているわけではないのですが、巷の書店に平積みされる広告代理店の人や出身者が書いた本にも「マーケティング」ということが乱立しています。
- プロモーションの戦略(とくにBtoC)
- ターゲットインサイトの調査と分析
- コミュニケーションの費用を投下すべき戦略ターゲットの選定
- 3C分析やPEST分析を踏まえた、世間の文脈へのブランドのポジションの再定義
という意味で使われていることが多いと思います。
戦略コンサルタント目線では「Price、Place、Product、Promotion」がマーケティングの4つのPであって「Promotion」に特化する場合は、マーケティングと呼ぶと誤解を招くと思いますが、一般の人にはもやはこっちの意味での「マーケティング」の方が馴染みがあるかもしれません。
「製品企画時点でターゲットは決まっているべき」なのですが、実態としては既存製品の延長で世に出ている商品も多く、「商品は何も変わらないのだけど見せ方や売り込む相手を変えてもう一度、売れる商品に返り咲きたい」というニーズは極めて多いです。果たして製品の見直しをせずにできる範囲は限られているのではないか?とも思いますが、他部門と軋轢を生むことなく既存プロセスの延長で拡販できるという精神的負担の少なさが、このニーズを生み出しているのでしょう。
より重要な視点は「売れる仕組み作り」
それぞれの立場から「マーケティングとは何か?」を哲学者のように議論し続けることも趣味としては良いのだと思いますが、より重要なことは、「どうやって売れる仕組み作りをするか?」ということだと思います。商品企画寄りであろうと販売促進寄りであろうとプロモーション寄りであろうと、最終的な目的地は、自社製品を都合よく市場で生き残れせることがゴールのはずです。
そしてそのレベルを目標にすると、どうしてもビジネスモデル自体を改善しないと到達しないことに気がついていくはずです。
企業の社会的存在意義とビジネスモデルの本質
ところで企業が社会に存在する意義は何でしょうか?最近読んだ本にわかりやすい説明がありましたが、
社会の効率をより良くする
という解釈がもっともしっくりくるのではないでしょうか?
一人一人が農作業から道具作りまで全て自給自足していると多忙で死んでしまいますが、より得意な人に集積し役割分担することで社会全体の効率が上がっていく、お互いの便益の提供の媒体として「費用」を払う。企業が高い報酬を得ることが許されるのは、足元を見て暴利を貪るからではなく、その費用を払ってでもやってもらった方がトータルでは安いからということでしょう。
徹底的に効率化をはかる中国企業
以下は、冒頭に挙げた2冊の本からの受け売りですが、
- Xiaomiは80%のユーザーの80%の満足を満たすことで安くて良いものを提供することに成功した
- Alibabaのリアル店舗は中間流通業者を極力排除し自分たちの強みを活かせる店舗で勝負をした
など、伸びている中国企業は徹底的にコストダウンと顧客サービス向上を両立させています。
- 日本の企業は、ユーザー満足度を上げるために不必要に製品価格を上げてしまう
- 米国のデータ活用企業はユーザーの購買履歴をサービス向上には使わずにメルマガやポップアップ広告に使う
といった残念な方向へ進んでいますが、生き残るのは中国企業のように効率化を如何に達成するか?に集中している企業でしょう。
安くて良いものは当然ながら口コミで広まっていきますので、プロモーションで不必要にイメージアップにコストをかける必要もありません。
技術的価値提供ができる投資家
余談として紹介しますが、Xiaomiは投資スタンスも独特です。「ただお金を出す」のではなく、「自社の技術やブランドが相手のメリットになるか?」で投資先を決めています。
- Xiaomiのブランドを冠するとローンチ時に売れやすくなる
- Xiaomiの要素技術を提供すると伸びる
などの視点があるため、ベンチャー企業側も、ただお金を出すだけで製品開発に協力してくれない投資家よりもメリットが多く、ただのベンチャーキャピタルよりもXiaomiと組むことを選ぶことがあるようです。
当たるか当たらないかわからないけれどリスクマネーを投じなければならない文系だけの投資会社には真似をすることは難しいと考えると、今後投資家という世界も変わってくるでしょう。
技術を理解した人だけが「売れる仕組み作り」に貢献できる
Xiaomiの例もさることながら、中国以外の企業でも、更には昔から「技術を理解した人が商品を売れるしょうにできる」という事象は同じようです
シリアル・イノベーター 「非シリコンバレー型」イノベーションの流儀 [ アビー・グリフィン ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > 経営 > 経営戦略・管理
- ショップ: 楽天ブックス
- 価格: 2,200円
という本では、「技術開発部門の人がリーダーとなって、ユーザー調査をし市場の課題を把握し、自分の知識の足りない要素技術も他部門や外部の人と折衝し、社内の意思決定者の説得をし、商品ローンチ後のサポートと改善まで把握して商品を世に送り出していくさま」が様々な事例とともに描かれています。
終わりに(自身の実感として)
広告代理店のセールパーソンとして関わる中でも実感をしていますが、ターゲットのインサイトを深堀りし、プロモーション上でこの人はコストをかけて対応すべきターゲットだ、この人は違う、といった判断をしているのは、意外にも製品企画の立場の人であったりします。本業は製品企画であり製品の開発・改善の方が業務量は多いのですが、意欲的にコミュニケーションの戦略にも関わってきます。とても大変だと思いますが、結局のところ製品の技術改善やプロセスの改善ができる人だけが「売れる仕組み作り」の全体を俯瞰することができるのでしょう。
「マーケティングとは何か?」の議論も大切ですが、このようなポジションの人が今後、企業の中心を担っていくのだと思います。
仕事の生産性を下げているのは、「人間という不完全なモノ同士のコミュニケーション不良」の積み重ね
ビジネスの進行を阻害する大きな要因が、自分の心の弱さであるころは、
が良くご指摘されていますが、 他にも、面倒なことを後回しにせずに「すぐやる」と説いているビジネス本も本屋でよく平積みされていると思います。
見過ごされがちなのですが人間の心の弱さは様々なケースで生産性を下げていると考えられます。
組織内のコミュニケーションコストについて
最近とても面白かった本に
という本がありました。
- 先が見えない課題から先に始めて、工程管理の最終フェーズでは先が見えるタスクだけにするようにしよう
- 課題の整理レベルでは「仮設」と呼ぶべきではない
- 意見が言いやすい組織にしよう
等々、様々な納得がある本です。
その中でも組織のヒエラルキー内のコミュニケーションコストに注目しているのが非常に印象的でした。
そこから振り返ると、恐らく日本の組織の生産性を下げているのは人間という不完全なモノ同士のコミュニケーション不良の積み重ねによるのではないか?と思えてきました。
コミュニケーション不良の例
幾つかイメージしやすい例を考えてみます。
お願いした通りに納品されず出戻りが発生する
機械が仕様の通り作るものは比較的正確に不良品が少ないのが昨今ですが、人間が作る「レポート」「提案書」「デザイン案」機会などは、”思った通りのものが仕上がってこない”ということで作業遅延することはママあります。
- 依頼する方が課題を構造的に把握できず正しくオーダーできていない。
- 「何か違うんだよねー」
- ※依頼者が考えるのが苦手で、サボってしまった。
- 「何か違うんだよねー」
- 依頼された方が、独自性を発揮し、納品物に過不足がある
- 「こっちの方が良くないですか??」
- ※受託者が自分のアイデンティティを発揮したくて好きなものを作ってしまった
- 「こっちの方が良くないですか??」
面倒な人が居ると避けるようになる
威圧的な人が居るとしばしば組織が崩壊することも、パワーハラスメントが叫ばれる中で注目されてきていると思われます。
- 取引先へ連絡するだけの業務をまだしてない
- 「済みません。バタバタしちゃって」
- ※威圧的な相手に電話するのが心理的負担で後回しにしてしまった
- 「済みません。バタバタしちゃって」
- 事故の報告が組織の上にすぐ上がらない
- 「先ず、事実確認をしないと」
- ※ミスを怒られるのが怖くて報告をせず、運良く時間が解決することに期待してしまった
- 「先ず、事実確認をしないと」
- 社内で連携が取れず同じ業務を別々の部署が外部にコストを払ってしまう
- 「あそこの部署、面倒な人ばっかなんで、もうお金で動く外部の人に依頼した方が早いんですよ」
- ※相談に丁寧に対応してくれない部署を誰も使わなくなってしまった
- 「あそこの部署、面倒な人ばっかなんで、もうお金で動く外部の人に依頼した方が早いんですよ」
良い人に思われたい、悪人に思われたくない
或いは、個人の心の弱さによる
- 無駄な会議が減らないし進め方が変わらない
- 「何か反論する空気じゃないじゃないですか?」
- ※面と向かって、やり方が違うと提示する勇気がない
- 「何か反論する空気じゃないじゃないですか?」
- 得意先と発注先や社内スタッフの認識のズレを調整できない
- 「客が素人でわかってないんですよ」「そうですよねー」
- ※発注先やスタッフに嫌われたくないので強く言えない。嘘を言ってしまう。
- 「客が素人でわかってないんですよ」「そうですよねー」
- ネガティブ思考の人の考えがチームに広まる
- 「予算が少ないからなぁ」「元々難しいお題でしたから」
- ※チームリーダーが「お前は要らない」と強く言えない
- 「予算が少ないからなぁ」「元々難しいお題でしたから」
働き方改革やパワハラ対策という視点では見えてこない
人間の本能に起因
人間の弱さは防衛本能
これも多くの人が指摘していることで、学術的な研究があるのかどうかはわかりませんが、実感としては正しい素朴な理論だと思います。
- 自分を否定されたら強く反論してしまう
- 自分が悪者にはなりたくない
- 怒られたくない
- 自分の色を出したい
などは、全て自分を守るために自動的に反応してしまうので、意識していてもある程度は避けられません
人間はだいたい怠惰
習慣化しないとダイエットも何も継続しないとはよく言われますが、
- 楽をしたい、面倒な作業を後回しにしたい
- 面倒な人との衝突は避けたい
といったことも怠惰な本能ではないかと思います。
対処について
個人のメンタルの問題に終始すると解決しない
パワーハラスメントについては、多くの会社が、パワハラと告発された人を左遷する、という対処療法的なことや、「パワハラは”今の時代ダメなんですよー、若い人辞めちゃいますよー”」という研修をして、対応しているのではないでしょうか?
或いは、すぐにやれない人への対処は、先輩からのOJTによる指導、で対応しているかもしれません。
しかし、これらの行動が「人間の本能から来るもの」だとしたら、小手先の対応ではないでしょうか?
人間同士のコミュニケーション機会を減らす
人間同士のボールのパスが増えれば増えるほど、コミュニケーション不良により不良品が発生します。「エンジニアリング組織論への招待」では、それを”アジャイル”な組織体制に解決を求めていました。
重要なのが、人間から人間へのパスの回数を減らすということなのだとしたら、
- マルチタレントの数を増やして分業の回数を減らす
- そもそも作成を人間ではなくて機械にやらせる
- イメージが難しいかもしれませんが、例えば得意先のニュースをまとめるならクロールしてトピックモデルにしてしまうと、人間のバイアスが減ります。自分の色を出してバイアスをかけてしまうことを排除できます
など、構造的な解決が可能です。
一人一人のメンタルを改造していくことも必要かもしれませんが、本能だとすると限界がありますので、いかに構造的に故障率・不良率を下げていくか?という工場生産ラインのカイゼンと同じような改善が必要なのではないでしょうか。
- 改めてオススメの本として
- また、チームのコミュニケーションを良くする方法についてはこちらの本も良いです。 グーグルのエンジニアの本ですが、チームの中に居て空気を悪くする人にちゃんと変わって欲しいと伝える、など、とても実務的な本です
OpenCVで画像をくっきりさせる
OpenCVに関する記述が出てきて、画像をくっきりさせる という技術があることに驚いたので、自分の画像で試してみました。
事前準備
必要なパッケージのインソール
OpenCVが必要です。anaconda には無いようなのでpipでインストールします
pip install opencv-python pip install opencv-contrib-python
画像を取り込んで確認する
import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt
%matplotlib inline
import cv2
image_cap_bgr = cv2.imread("data/cap.jpg",cv2.IMREAD_COLOR)
plt.imshow(image_cap_bgr)
plt.axis("off")
plt.show()
元の画像がわかりにくかったですが、openCVはRGBではなくBGRで読み取るため、赤と青が逆転しています。
image_cap_rgb = cv2.cvtColor(image_cap_bgr,cv2.COLOR_BGR2RGB)
plt.imshow(image_cap_rgb)
plt.axis("off")
plt.show()
保存しておきます。 ただし、OpenCVは勝手にBGRだと思って保存しますので、Matplotlibで表示するためにRGBにしたものを再びBGRに戻して保存しないといけません。
cv2.imwrite("image_cap_rgb.jpg",,cv2.cvtColor(image_cap_rgb,cv2.COLOR_RGB2BGR))
画像をくっきりさせる
画像をぼやかす(blur)は、各ピクセルを近傍のピクセルの平均値に変換すること。くっきりさせるのはその逆という概念になります
一旦、とある本にあったカーネルを丸パクリしてみます
kernel = np.array([[0,-1,0], [-1,5,-1], [0,-1,0]])
image_cap_sharp1 = cv2.filter2D(image_cap_rgb,-1,kernel)
plt.imshow(image_cap_sharp1)
plt.axis("off")
plt.show()
cv2.imwrite("image_cap_sharp1.jpg",cv2.cvtColor(image_cap_sharp1,cv2.COLOR_RGB2BGR))
確かに表面の凸凹が実際より強調された気がしますが、なんかもっとわかりやすい例やピンボケ画像が必要ですね。1
ぼかしの逆をすればいいって目からウロコでしたが、知っている人からすれば当たり前のことなんでしょうか。個人的には凄く新鮮でした