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ジップの法則_べき乗則_パレートの法則_ロングテール

社会現象の中には、必ずしも綺麗な山の形の分布をしないものがあります。
例えば、「2割のロイヤルユーザーが8割の利益を与えてくれる」~といった、「2:8の法則」と呼ばれているものがあります。

身近にある『80対20の法則』 - NAVER まとめ
この手の法則には、似たような法則が実は沢山あり、しかもちゃんとした数式まで解明されています。

ジップの法則

(書籍中の単語の登場回数)=(定数k)/{(登場順位)^定数α}

これは、ごく一部の単語の登場回数が圧倒的に多く、残りの大半の言葉は、1冊の文献の中で1~2回の低頻度しか登場しない、という現象を数式で把握したものです。

パレートの法則

(個人の冨)=(定数k)/{(順位)^定数α}

これは経済学者が発見した国民の所得はごく一部の人が大半を所有している(凡そ80%の土地を20%の人が所有している、といった例)という話。
このエピソードが、所謂 ”ニッパチの法則”の出所。

べき乗則(冪乗則)

上記2つは、個別事例に端を発しているが、これらは共通の数式の形をしている上に、様々な社会現象でも見られることが判明して、「べき乗則」と呼ばれている。

冪乗則 - Wikipedia

例えば、地震の大きさと回数の関係(グーテンベルク・リヒター則)、といった事例や、SNSでのフォロワー数とその順位の関係など、累乗する定数αを変えることで様々な現象に見られることがわかっています。

ウェーバー・フェヒナーの法則 と スティーヴンスのべき乗則

人間の知覚刺激に関しても似たような指摘があり、

(反応R)=定数k * log(感覚刺激S)+積分定数C

log(反応R)=定数n * log(感覚刺激S)+積分定数A

よく言われるのは、人間の耳は、大きい音でも耳が壊れにくいように、2倍の音を2倍の大きさと感じるのではなく、対数をとった値で大きさを感じるので、大きくなればなるほど、差を感じにくくなる、という話です。

但し、この数式については、批判も多いようで、どこまでが本当かわかりません。

スティーヴンスのべき法則 - Wikipedia

 

非線形科学の面白さ

信憑性に疑義のある法則もありながらも、社会的な現象を数式で把握し、共通性が見えてくるというプロセス自体はとても面白いものです。
自分は、大学生から文系なのですっかり数学音痴となってしまいましたが、

「あ!あれとこれがこんな形で繋がってくるんですね!!」

とわかる快感は、数学の楽しさのポイントだと思います。
式変形だけ追っていくと、退屈かもしれませんが、時々、社会現象の中に現れる数学について同時並行で知識を集めているととても面白いです。

そう言えば、以前こんなエントリーも書きました。

yyhhyy.hatenablog.com

統計学を勉強しているとこういった面白い話がよく出てきます。

 

 <べき乗則に関連した書籍>

べき乗則 の事例が豊富でお話として面白い本。数式の説明は少ないけれど、複雑系への興味を持たせるには良い本。

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

歴史は「べき乗則」で動く――種の絶滅から戦争までを読み解く複雑系科学 (ハヤカワ文庫NF―数理を愉しむシリーズ)

 

非線形の現象そのものについての事例が多く適度な解説があるものは、こちら。とても好きな本。

非線形科学 同期する世界 (集英社新書)

非線形科学 同期する世界 (集英社新書)

 

べき乗則ジップの法則パレートの法則について バラバラではなく、同じ系統のものとしてちゃんと紹介している本はこちら。もっと外の数学の読み物もある。

どんな数にも物語がある 驚きと発見の数学

どんな数にも物語がある 驚きと発見の数学

 

 ■知覚の中でも音の刺激について、ウェーバー・フェヒナーの法則を紹介している本。
それ以外にも音に関する科学的な話が豊富。タイトルほど空耳の話ではない。

空耳の科学~だまされる耳、聞き分ける脳~

空耳の科学~だまされる耳、聞き分ける脳~

 

 ■上記がいずれも読み物であるのに対して、本書はその数学的な説明がなされている。
元々が常微分方程式偏微分方程式の話なので、そこのページ以外は、全く数学の話ですが。。。

はじめての微分方程式入門

はじめての微分方程式入門