Macintoshが好きな人というのは誰なのか?
最近、ブランドとは何だろうか? ということが本当にわからず悩んでいる。 例えば、林檎信者と呼ばれる人が、どういう人々なのか、思考実験してみたい。
ブランド力があると同じものでも高く売れる 或いは、同じ値段でもより選択されやすい
自分が自動車部に所属していて購入する車を選択するときに先輩がくれたアドバイスは、「トヨタは電装系が強い。10年落ちの車を買う時に実は一番どうしようもないのは電装系のエラーなんだ。流石世界のトヨタだよね。今のトヨタは知らないけど。」でした。 なので僕は、AE92 - Google 検索という車を買いました。(10年前のことですよ!)
正直格好良ければなんでも良かったけれども、購入決定はその一言でした。信用できる先輩の助言であれば正しいのだろうと、自分では深く考えずに決断しました。 今にして思えば、これがトヨタのブランド力だったわけです。
フェラーリ信者には2種類居る
直近で読んだ本に、フェラーリの購入者は2種類居るという指摘がありました。
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前者は車が競合相手となりますが、後者は、車だけでなく社会的ステータスを表すもの全て、例えば都心のマンションやその他高級品等も競合相手となります。
Macユーザーはどう分類できるのか?
僕は大まかに分けて、以下の2大分類そして夫々の中で2タイプ、だと思っています。
デザイナーの場合
昔から指摘されていることですがMacはデザイナーに人気があります。 というか手軽にデザイナーが必要なPC環境を整えるにはMacintoshが一番です。
フォントの選択が美しい
気分の問題と言えば気分の問題ですが、Macの標準フォントのヒラギノフォントは読み易いです。 Windowsしか使ったことがない人は、”メイリオで充分じゃん?”と思うかもしれませんが、使ってみれば全然快適さが違います。 Winのフォントの読みにくさは気持ち悪いしイライラしてくると想います。
スティーブ・ジョブズがたまたまカリグラフィーの授業を受けてくれて本当に良かったですね。
カラーマネジメントされている
カラーマネジメントという言葉をご存知でしょうか?
miyahan.com | 液晶ディスプレイとカラーマネージメント
殆どのWin機はカラーマネジメントシステムが組み込まれていません。 画面で見る色は、使っているPCが違えばみんな違う色に見えます。Webサイトだと見るブラウザソフトによっても違います。ましてや、印刷された時の色と画面で見た色も違います。
しかしMacintoshでは、画面の色と印刷された色とが同じになるように設計されています。 これは動画でも静止画でも起きる話です。 Win機でも勿論導入が可能ですが、キャリブレーションできる装置を後で導入しないといけないので面倒です。 結果、最初からMacを買うほうが手っ取り早いわけです
プログラマーの場合
プログラマーと言えばLinuxというイメージが強いかもしれませんが、特にWeb系の仕事をしている人はMacが多いです。
デザイナー向きだから
さっきの話とかかわります。Web系のプログラマーはデザインも関わって来るのでデザイナー向きである理由を無視できません。
そこそこプログラマー向けでもある
MacはPATHを通すのが面倒だとか独自システムのせいで随分と困ることがありますが、UNIXベースなのでまぁまぁ便利です。 それに天下のGoogle先生のディープラーニングソフト TensorFlow も、デフォルトではMacとLinuxに対応しています。Windowsには対応しなくても、です。
Winに入れることも可能ですが、64bitでないといけません。
オフィスソフトも使える
そして重要なのがMS系オフィスソフトが使えること。
結局プログラマーとはいえ、普通の人とのやりとりが発生するので、WordやExcelやPowerPointが入ってないと困るのです。どんなにそれらのソフトが嫌であっても、避けて通れない立場の人はいるのです。
上記の理由からMacはベストではないけれど、そこそこバランス良く必要な機能が入っているわけです。
Macのデザインや世界観が好きな人の場合
どういうきっかけでMacを知るようになったのか?は人それぞれだと思いますが、iPhoneやiPodが出る前のMacintoshというのはマニアックでしたが、一時期カラー展開がカワイイiMacが大ヒットしたことがありました。
あの当時を知る自分としては確かにヒットした記憶があります。 この頃からマニアックだったMacintoshを知る人が増えていったのではないかと思います。
シンプルなデザインへの凝り方は半端ない
例えば、MacBookAirはとても薄く鞄に入れやすいです。そのためにDVDRAMドライブをやめてしまう位ですから。
更に、ACアダプターがとても小さいのがMacの特徴でもあります。 windows端末のノートPCと比べてみて下さい、圧倒的にCompactです。
スッキリなデザインの裏にはなかなか真似できない技術があります。 (とはいえ、コードは切れやすいですね。)
操作性も慣れたら分かり易い
Macは独自の考え方をユーザーに押し付けます。例えば、iTunesは未だに新しくなる度に使い方がどんどん難しくなって行きます。「同期」でうっかりデータを飛ばしてしまうこともしばしば、。。
その一方でiPhoneはどこに何があるのかだいたいわかります。 慣れは必要ですがPCのMacも慣れたら確かに使い易いです。
一度、信者になってしまうとどんどん囲い込まれて行くことになると思います。
Macをお洒落だと思う人が多いからMacが好き。
上記のいずれにも当てはまらない人は正直言って無理に高いMacを買う必要はありません。 Macはインストールしたプログラムを削除したつもりでも全部消えていなかったり、設定ファイルがどこに残されているのかわからないかったり、酷いのはJAVAがVerによって保存される場所が違う!!など本当にビックリが沢山あります
寧ろWinユーザーとトラブルが絶えない
最近では減りましたが、外付けハードディスクのフォーマット形式がWinと違うためデータが移行できない、FAT32ならどっちも読めるけど2GBの壁があるetc... 本当に酷いものでした。 Windows XPがなくなって遂に、exFAT一択ができるようになったのは、本当にMS偉い!!と思ったものです。
他にも、改行コードと文字コードがWinと異なるため、テキストファイルが文字化けしたり、改行されないで超長い一文になってしまったり。。。
それでもMacが欲しい
色々なネガティブポイントがあるのにも関わらず、スタバでドヤマックする人がいるのは何故でしょうか? 恐らくそこまで調べずに使い始めてしまったのだと思います。
「デザイナーとかクリエイティブな人が使うからMacを使っているとカッコイイ」 と思って買ってみたら、意外とトラブルが多くて、という人も多いと思います。
とはいえMacは美しい
美しいデザイン、光るリンゴマーク、起動するときの「ふぉわーん」という音、デフォルトの壁紙の美しさ、、、 ユーザーのFetishismを茂樹するちょっとした拘りがMacにはあります。 不便であっても自分が慣れてしまうことで、また次もMacを買う。 そういう循環があると思います。
マーケットを広げるのはファクトだけではなくイメージ
ここでマーケティング的に注目したいのは、この最後のユーザー層です。
デザイナー、プログラマー、及びコアな信者、というものはファクトを積み上げて行けば自然とファンとなって固定化していきます。 しかし、最後のドヤマック層というのは、ファクトを積み上げただけでは獲得できません。
- デザイナー向きの商品開発をする
- 使ってみたら好きになるFetishismを用意する
- デザイナーが指示しているという客観的事実を積み上げる
- お洒落な商品として大々的にプロモーションする
この4つのステップのどこが抜けても行けません。
2番めだけではなかなか広まりませんし、3番目が抜けてしまうと4番目の根拠たりえません。 しかしこの4番目のプロモーションを行わないと大きな市場にもなりません。 そしてこの4番目の層を惹きつけるには、2つの両輪が必要です。
- 何となく良さそう!と思わせる イメージ
- ただ単に見栄を張ったんじゃなくて本当に良かったと後付けで説明できる ファクト
イメージ のためには兎に角お洒落な公式サイトとお洒落な広告が重要です。
MacBookAirの広告の薄そうなこと!
ファクト のためには、美しい背景、起動音といった、側の美しさに加えて、 「使いやすいから買ったのさ」と言い訳できる事実も必要です。
- なんとなく起動が早い雰囲気を感じる起動までのUI
- 見易いフォント
- 統一された世界観の周辺機器
etc...正直、一般ユーザーにとっては実用価値は少ないのですが、単に見栄っ張りで買ったとは言えない人が、ちゃんと理由を言えるものが幾つかあることも重要です。
イメージ の戦略は、広告以外にもある
- 端末の美しさ
- ストアのカッコ良さ
- 新商品発表会のプレゼンのカッコ良さ
たまたまジョブズの拘りだったかもしれませんが、あのカッコイイプレゼンでいつもお祭りのように盛り上がれるのは、とても凄いことだと思います。
他のメーカーの新商品発表会なんて地味ですし、急にリリースだして急に始めて、お決まりの記者だけがかけつけて、、、一般の人に触れるためにタレントを読んで、、、 毎度毎度苦労していることだと思います。
個人的にMacintoshの広告で一番カッコイイなぁと思ったのは、iPodのCMシリーズ
ギークに売るためだけなら、別にマス広告も必要ありませんが、一般大衆にカッコイイと思わるにはやはりマス広告が重要です。
Every iPod "Silhouette" ads (2004-2008)
iPodって別にそんなに見た目はカッコイイとは思わなかったですし、音ならきっとKENWOODの方が良かったに違いないのですが、このCMを見て、ヤベー欲しい!と思いましたね。
あと、外付けHDDとして持ち歩けるという 言い訳 があったことも自分の購入を後押ししました。 結果最初にかったiPodも7-8年は使ったと思います。
ブランドのファンを分解する
今回は例えば、Macで分類してみました。 先ほどのフェラーリの例もそうですが、ブランドのファンというのは1枚の層ではないと思います。
- コアなファン
- その周りの緩いファン
そして長くファンで居てくれるコアなファンと、マーケットを広げる緩いファンとでは、夫々インサイトが違う、ということに注意したいなと思います。