マス広告が効かなくなったと言われ、デジタル広告がテレビ広告を抜く、という予測がある。
しかし総合広告代理店は未だにテレビ広告に依存するビジネスモデルから脱却できず、デジタル広告分野ではコンサルティングファームに売上を掠め取られているのが現状だ。
そこで、「マス」VS「デジタル」という対立軸に’ついて別の観点から整理し直したいと思う。
マス広告依存
マス広告依存から抜け出せない理由
例えば、日本全国規模でテレビスポットを1週間で打つと2億はかかる。逆に広告代理店側から見ると、プランニングと実施と報告で頑張るだけで2億の売上になる。例え競争入札で値引きをしていたとしても 人件費 はたいしてかからない。
一方で、デジタル広告で2億売り上げるのにはどれくらいかかるだろうか?
例えば、テレビスポットの補完としてWeb広告を打つと凡そテレビの10~15%を配分するのが適切だと業界内では言われている。すると、1キャンペーン辺りで2億×10~15%で、2000~3000万である。仮にスポットの後も暫くWeb広告を出稿するとしてもやはり1年くらいはかけないと2億円の売上にはならない。
そしてデジタル広告の場合は、何らかの成果をWeb上で測定できることが多いため、ターゲティングの見直しやクリエイティブの見直しを毎週単位で行う。その間、トレーディングデスクの人件費、マーケッターの人件費、営業の人件費が発生する。
殆どの広告代理店は人間だけが資産であり、 単位時間あたりの売上を増やさない限り売上は伸びない という構造になっている。 そのままである以上、手離れのよいマス広告依存から逃れることはできない
今の総合広告代理店は大手企業しか相手にしていない
マス広告に依存した結果、社会には歪が出ている。
マス広告を打つことに経済的メリットが発生する大企業だけが、総合広告代理店に相談することになり、中小企業や資本関係のないスタートアップなどは全てゼロから自前で手探り状態である。
毎月、LINE@アカウントを運営し、SNSを運営する、という企業は、相談相手がいない。
残念ながらデジタル広告専業の代理店であっても、 人件費がネック である以上、この構造は変わらない。
「マス VS デジタル 」という視点の脱却
マス VS デジタル ではなく、パレートの法則 VS ロングテール
「売上の8割は2割の顧客が提供する」というパレートの法則以外の可能性が指摘されて久しい。
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アマゾンは少ししか売れない商品も確保することで売れ筋しか置けない店舗型の書店を駆逐した。
ロングテールビジネスの広告・マーケティングビジネス
実は既に「ロングテール」方式の広告・マーケティングビジネスがある。だがその前に「広告ビジネス」の概念を広げて俯瞰しなければならない。
広告・マーケティングの市場とは何か?
広告業界の社会的役割を俯瞰でみると、 生産者と消費者間の情報の偏りを是正していく ということである。
- 「こんなに良い製品なのに誰もしらない」という課題を解決し、
- 「こんな商品あったんだ!」という課題を解決する。
全てはこれに集約される。
- ペイド広告
- 自社メディア運営
- ソーシャル上でのコミュニケーション
- CRM
- キャンペーン
- 優良顧客のプレミアムなイベント
- チャットボット
- etc...
手段は違えどやっていることはたったその2つだけだ。
実は広告代理店というのは媒体の買付以外の仕事も沢山ある。調査もするしイベントもするしWebサイトも作る。
ロングテールの広告・マーケティングビジネス例
Web接客ツール
WebサイトをOne to Oneで改善しようとするものだ。
既に会員登録した人とそうでない人、店舗型であれば店主が顔を覚えていて、ご新規さんと顔馴染み客とで対応を変えるものだが、それをWebサイト上でも実現するものだ。
チャットアプリ
チャットアプリはチャットアプリと認識していると潜在的価値を見過ごすことになる。中国ではWeChapでチケット手配もできる。広告主と生活者をサービスで繋ぐことができるのだ。*2
クリエイティブ制作支援
- ロゴ作成
- 動画作成
この分野はまだまだ実用段階にはないもの、Adobeのツールが年々進化するのを見ると、クリエイティブ制作もいずれ職人からツールを使って夫々がそこそこのものを作る、という時代になるだろう。
人件費をテクノロジーで解決する
AIによって失業する人が生まれる、という見込みがある。裏を返せばテクノロジーが人間の代理をしてくれる時代である。
サブスクリプションで中小企業にマーケティング支援ツールを提供できるようにならなければ、広告代理店の業態転換は難しいだろう。
チャットアプリに関連して、FinTechという世界ではテクノロジーが変える未来様子が伺える。
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