本当のところヒットなんて誰にもわからない
先日読んだ本で積年の疑問が解決しました。
ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで [ デレク・トンプソン ]
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ゴッホが有名な印象派になれた理由
この本は様々なヒットについて解説がありました。中でも最も面白かったのは、「カイユボット事件」1です。
印象派の売れなかった作品を買ってあげていたカイユボットは、死後、遺産を美術館に寄贈してくれ、という遺言をし、ルノワールが尽力して彼の作品群を収めました。
当時、芸術的価値を世間一般に認められていなかった印象派のこの事件はメディアを通じて話題になり、「物議をかます印象派の作品とはどういうものだろうか?」と多くの人が訪れ、結果的にこのとき収蔵された作家群が、後々の印象派の主要人物だった、と認識されるようになるのです。
たまたま売れない作品の多かったゴッホの作品はカイユボットの遺産に含まれていたため、後世で評価されるに至ったのです。
ジャスティンビーバーがツイートしたら売れる
ヒットさせる最も簡単な方法は「ジャスティンビーバーにツイートしてもらう」ということ。かつてそれで一躍有名になった動画がありました。
ゴッホがメディアを通じて有名になったのと同様。「既に伝播力のある誰かに紹介して貰う」ことがヒットに欠かせないポイントです。
例えば、アートのオークション市場でも有名なコレクターが評価した新人作家が評価され価格が上がっていくメカニズムです。
ヒットとはアンコントローラブル
狙ってジャスティンビーバーに紹介して貰えたりテイラー・スウィフトに賛同して貰えたらそれほど嬉しいことはありませんが、実際には意図的にできることではありません。
お墨付きと露出の繰り返し
しかし、人は社会的な生物なので、権威のある人のお墨付きに流れるということは永遠に続く法則ではないでしょうか?
「フェラーリは創業以来広告をしていない」という都市伝説がありますが、彼らはF1のスポンサードをして社名の露出には余念がありませんし、雑誌の試乗レポートのお願いは常にしているようです。同じ車メーカーでも高級車メーカーは沢山ありますが、フェラーリは通常の広告枠とは違う形で効果的に宣伝費を投下しているということです。
IT企業が野球に投資する理由
同じように「ソフトバンク」という企業は知名度がありますが、ソフトバンクの本業が何なのか?わかる人はいないのではないでしょうか?携帯通信キャリアとしてはヴォーダフォンの国内事業を買収してからなのでその前から本業があるはずなのですが、、、プロ野球球団運営を始めてから知名度があがり、何ものなのか?わからなくても親近感があるのではないでしょうか?
どの本に書いてあったか忘れましたがいくつか読んだスポーツ関連のビジネス本に記載がありました。球団経営は大きな宣伝になるもののあくまで子会社の事業ということになるので宣伝費(販売管理費)として費用計上されない、というメリットがあるそうです。なぜソフトバンクもDeNAも楽天も球団を買うのか謎でしたが、会計知識がある人にとっては合理的な行為に写るのでしょう。
アートのオークション市場のメカニズムについてはこちら。
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何度も紹介しますが車メーカーのブランディングについてはこの本が本当に腑に落ちます。
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事件そのものについてはこのサイトが参考になります。(印象派支援、support as patron|カイユボット.net)↩