IoTの理解のキーワードはモジュール化と中小企業
ちょっと前と最近とに読んだIoT関連本で共通のキーワードとして「 モジュール化 」が出てきました。
IoTには様々な側面がありますが、余りインターネット上の記事では指摘されていないこの視座について、まとめておきたいと思います。
読んだ本とは?
少し前に読んだ本。製造業がモジュール化したことにより、個人や中小企業でも簡単にIoTメーカーになれる、ということが指摘されていました。
最近読んだ本。ドイツのインダストリー4.0では、モジュール化と同時に、産業内での仕様を標準化させることによって、中小企業の製造する部品類が一つの取引先相手ではなく様々な相手に売りこむことができるようになることを目論んでいる、という指摘がありました。
モジュール化とは?
家電の例がよく上げられますが、例えば真空管全盛期であれば、真空管の独自技術こそが競争優位性のポイントでした。しかし近年では、センサーや集積回路などパーツ単位で外部の企業から部品を買い、自社では組み立てるだけで競合と差のない製品を作れる時代になりました。この”パーツ単位で組み合わせればいい”というのがモジュール化のポイントです。
シャープが亀山工場で液晶モニターを売りにしていましたが、サムスンやLGがあっという間に追いついて抜いてしまいましたし、PC事業も顕著な例でしょう。 モジュール化が進んだ断行ではその気になれば誰もが参入できるのです。
モジュール化時代のマーケティングの重要性
Appleの画面を納入しているのは日本のメーカーだ!今度は日本が外される!等々、話題になっている通りAppleでは設計・デザイン・マーケティング・販売は行いますが製造は世界中の工場に委託して組み立てています。
モジュール化が進むと、最終生産財を作っている企業は、「売れる商品を考える」「売れる宣伝方法を知っている」「売れるルートを知っている」「顧客のデータを持っている」といった”マーケティング”部分が重要になってきます。
例えば、日本が独自技術を無理に機能に突っ込んで価格を上げたりして海外市場に苦労している隙に、サムスンは世界各地に自社の社員を生活させ行動観察をさせました。インドならインド人が好むモニターの色の傾向、インド人が好む扇風機の色、等々をリサーチし、必要な機能を望まれる値段で提供することでシェアを拡大しました。
※地域専門家制度について
プロダクトアウトではなくマーケットインだ、というのは既にマーケティング2.0の時代の話ですが、まだそこに追いついていないのが日本の現状です。
日本の企業にはまともなマーケティング部門がないということは森岡毅さんも強く指摘しています。
USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門 [ 森岡毅 ]
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中小メーカーの可能性
裏を返せばマーケティング能力があれば誰でもメーカーになれる時代ということです。
そんなリスクも投資もできないと思うかもしれませんが、クラウドファンディングによってコアなユーザー向けの商品であっても需要が事前に確認できるような時代になりました。
部品メーカーの逆襲
これまで日本のメーカーは系列に縛られ、親会社でもないのに発注業者に「この技術は他で使うな!」「在庫リスクを抱えたくないから俺たちが必要な時に必要な分を納品しろ」「工場を撤退するからここはもう終わりだ」といった弱い立場であったことに加え、「すり合わせ」と呼ばれる独自仕様を発注時に課され、それに応えてきました。
この「すり合わせ」は、発注先にとって都合の良いものですが、中小企業にとっては他所の企業にはそのままではその製品が売れない面倒な特注品となります。
しかし、ドイツが国を上げて進める標準化がグローバルスタンダード化すれば、すり合わせの必要はなくグローバルに取引先候補が広がります。取引先相手が増えることでポートフォリオを分散できれば、特定の企業の為にすり合わせに応じる必要はありません。更に、独自技術が売り物になるようであれば価格交渉はもっと有利になります。
IoTやインダストリー4.0に期待するパラダイムシフト
IoTはモノとモノとが情報を交換するようになりより効率的に報連相されることです。インダストリー4.0はそのIoTの流れを受けて、工場がより効率的に稼働するようになることです。
これらはどちらも一見すると最終生産財を作っている大企業側の話のように写りますが、これらの事象の裏側で進む「モジュール化」や「標準化」によって、部品を作っている中小企業、最終生産財を作る中小企業、或いは究極的には個人が、活動をしやすくなる環境が整い始めています。
マーケティングとプレゼン力
上記のような時代で生き残るには、マーケティング力が第一に必要ですが、それ以外にも「自社や自社の製品をアピールする」ということが重要になります。
最近読んだ自己啓発系の本ですが、分かり易い企画書の重要性、特に近年は動画でプレゼンするなら動画でのプレゼン能力が重要になってきているという指摘があります。
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最近の若い社員であれば、ニコニコ動画で配信した経験もあるでしょうし、もうすぐ社会人になる人はもっと手軽にスマフォでツイキャスをしていたりします。
気が付けば進化してお求めやすいAdobe製品
月5000円はなかなか貼るお値段ですが、仕事上AIデータの受け取り、Photoshopでの加工、動画のファイル変換、ちょっとした動画の繋ぎ、などをしている身としては、Illustrator、Photoshop、InDesign、Premiere、After Effectsなどが使い放題なのはとてもお得です。
中でもびっくりしたのがこの切り抜き機能。
昔はGIMPで1セル1セル、境界で消したりしていたのですが、ちょっとした企画書に貼る程度の画像ならデフォルトの機能にお任せで充分です。
使い方がわからない~と言って逃げているうちにツールを使いこなす若い世代に追い抜かれないようにしたいものです。