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広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ

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広告代理店のコアコンピタンスと人工知能で代替される業務について

最近、人工知能やディープラーニングという言葉がビッグデータの次のステップとしてバズワードのように広まっています。
人工知能は何度もブームが起きていて、今回も人工知能というよりもディープラーニング、機械学習が実際のブームなのですが、一般の人には「人工知能」と呼んだ方が伝わり易いのでしょう。AI、人工知能という言葉がバズワードになっています。
(*過去の人工知能ブームについてはこの本に詳しいです。「人工知能は人間を超えるか (角川EPUB選書)」)

ところで、機械学習の発展は広告会社特に「広告代理店」にとっては、他人事ではない話だなぁと思っています。
*1

人工知能(ディープラーニング)のは、経験と勘 を代替する

最近も野村総合研究所人工知能で代替される職業というリリースを出しました。

japan.cnet.com

グーグル先生

lrandcom.com

オックスフォード大学

gendai.ismedia.jp

などでも似たようなことが言われていますが、

人工知能(ディープラーニング)の発展の意味するところは、これまで人間の脳の経験と勘でしかできていなかった業務の一部がコンピュータでもできるようになってきたという話です。

最もわかりやすいのは、グーグル先生が画像を猫かどうか判断できるようになったというニュースがありました。

itpro.nikkeibp.co.jp

人間は、意識して猫を分類しているわけではありませんが、パッと見て、猫か犬かを判断できます。これまでコンピュータがそれを学習するには技術的には可能だったものの大量に事前学習が必要でした。(人間が子どもの頃から学習して徐々に判断力がついていくように)
それを技術革新によってもっと早く学習できるようになったよ、ということです。子どもの成長速度を加速できるようになった、とでも言えばいいでしょうか。気がつけばもう一部のゲームはマシーンに追いつかれています。

広告代理店の主たる業務はマッチングである

極論をすると広告代理店の業務とは、マッチング業務です

広告枠をもっていてる媒体社 と 広告枠を探しているスポンサー とのマッチング = 媒体セールス

記事ネタを探している人 と 掲載して欲しいネタを持っている企業 とのマッチング = PR

得意分野のあるクリエイター と 商品のトンマナに会う表現をできるクリエイターを探している企業 とのマッチング = クリエイティブ

得意な分野があるSP会社 と 商品プロモーションにあうSP会社を探している企業 とのマッチング = セールスプロモーション

広告枠にしても、クリエイターにしても、SP会社にしても、ライターにしても、別に広告主と直接取引しても実務上は問題ないのですが、安定的に収入を得ようと思うと、色々な広告主と取引をしていないとすぐに穴が空いてしまいます。
そこで、広告代理店さんと取引をしていれば、一定確率で自分達の得意分野にあった話が舞い込んでくる、という仕組みです。

一方、広告主にしても、固定の制作会社と取引をするのであれば代理業者は必要ありません。実際に大量に定期的に印刷物がある場合は、固定の印刷会社と直接付き合っているケースが多いと思います。

WEB広告のマッチングは既に機械がやっている

どれだけ普段意識しているかはわかりませんが、WEB広告においては既に機械がマッチングをしています。

広告枠をもったWEB媒体社 と 広告枠が欲しい広告主 とのマッチングには、
SSP(Sell-Side-Platform)、DSP(Demand-Side-Platform)がリアルタイムに広告枠を競争入札させています。

Google AdWordsで広告を出す時に殆ど人間の手を必要としません。

マッチング業務は、インターネットの得意分野

人材のマッチング、不動産のマッチング、etcc 色々なマッチング業務がインターネット経由で行われるようになっています。

www.zaikei.co.jp

Uberのように、ドライバーと乗りたい人をマッチングする業務、泊めたい人と泊まりたい人のマッチングetc
マッチング業務は機械の得意とする所です。

他の媒体買付もそのうち機械化できる

10年前にこんな動きがありました。

markezine.jp

時期尚早だったのか、サービスは閉じてしまいましたが、逆に今は新聞や雑誌広告は広告サーバーから印刷所に送るデータ送稿が始まっていて、技術的にはやりやすくなってきました。
後は、広告枠のサイズを各社で統一したり入稿規程を共通化していけば、WEB広告のバナーと同じようにインターネット経由での広告枠買付けは簡単になるでしょう。

クリエイターのマッチングもいずれできる

「広告」「クリエイター」「マッチング」 のワードで検索すると既に幾つかのニュースがヒットします。
ここ最近ヒットしているマッチング業務のサービスとは、個人では営業力が足りなくて持て余していた在庫を売り物として売れるようにする、というものでした。(部屋、車etc)

個人で活動していることが多いクリエイターこそ、マッチングサービスには向いているかもしれません。

人を介した業務の紹介の方が安心なのは間違いありませんが、Amazonのようなレビューや評価者からのポイントなど、「この広告主のこの担当者との仕事では、n%のクリエイターがよかったと言っています。」「このクリエイターとの仕事では、n%の広告主が満足したと言っています。」etc 幾らでも必要なアルゴリズムを追加することで解決するでしょう。

創造性が必要な業務はいつまで残るのか?

この本が出たのは1年以上前でした。

広告ビジネス次の10年

広告ビジネス次の10年

 

営業マンの8割は不要になる、という指摘がありました。手売りが必要な業務を残して、テクノロジーが解決できるところはテクノロジーが解決していくようになります。

広告代理店/広告会社は、マッチング以外にもマッチングの間で

PRが広がりやすい話題作りは?
最適な広告メッセージ作りは?

*2

など創造的な作業をしています。

調査データに加えて、経験と勘がモノを言う分野です。

しかし、経験と勘に頼っていた分野が人工知能(ディープラーニング)で代替されうるのだとしたら、マシンに対する競争優位性も一つ一つ切り崩されていくのではないでしょうか?

 

広告代理店に限った話ではありませんが、人工知能とは、人間の頭脳労働を奪うものなのだ、という視点でみないといけませんね。

*1:広告会社は既にYouTubeやTiVoが登場した頃から、もうこのまま「広告代理 店」であり続けていては死んでしまう!と「広告代理店」から「広告会社」へなろう、と言い続けていますが、今でも日本の広告会社の利益は、マス媒体のコ ミッションに大きく頼っていて、「広告代理店」であることから変わっていません。

*2:因みに媒体の買付けでは、メディアプランニングという媒体の最適な配分をやっているのですが、そもそも代理店マンがコンピュータシステムのボタンを押しているだけで肝心な所は既にマシーンが計算しています。幾つかのパターンを考える所までしかやりません。