広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ

広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ

TreasureDATAとGoogleスプレッドシートとGoogleDataStudioでダッシュボードもどきを作る

先般とても良い本を読みました。

この記事は殆どこの本の紹介のようなものです。

課題

殆どのマーケティングセクションの人はSQLを学習する気力がない

SQLこそが、データベースを操作する為に先人が作ってくれた取っ付き易い便利な言語です。故にSQLに対応していることそのものが使い易いということなのですが、それでも多くのマーケッターは「SQLを使わないと使えないツールなんて使えない」と言います。

往々にして日本のマーケティング部門は「マーケティングの勉強をしてきた専門家が集まる部署」ではなく「たまたま流れ着いてしまって、なんならいつかは異動する予定がある人が集まる部署」ということが多く、予備知識を持たずに現場投入されるのが現実です。

そのような中で、コマンドプロンプトやターミナルを使った操作やRやPythonを使った処理は勿論、SQLの言語を習得するというのは、ある程度マーケティングに興味を持たない限り難しいと思われます。

そういう現実を踏まえたとき、拡張性こそ薄いもののグラフィカルユーザーインターフェースで提供される「GoogleAnalytics」や「GoogleDataStudio」といったツールは、非常に重宝されます。

殆どの人はグラフの載ったレポートしか見ない

よく、エレベータープレゼンですとか、一枚絵プレゼンですとか、一瞬で一枚で説明することの大事さを説くビジネス書があります。そのことの是非は置いておいて、実態として世の中の多くの人はグラフでビジュアライズされたレポートを見て直感的に理解するもので、エクセル表を見て自分で煮るなり焼くなりして下さいという状態では見てくれません。

故に、「TreasureDATAから抜けますよ?」はもってのほか、吐き出したデータをグラフにして初めて見てくれます。これは、相手が意思決定層かどうかに関わりません。一般的に段落以上のボリュームのあるテキストは読まれないと認識しておいた方が良いでしょう。

おすすめの使い方

TreasureDATAからGoogleスプレッドシートに吐き出す

GoogleスプレッドシートExcelのWeb版だと思っていると損をします。データを連携させるために極めて便利なツールです。

初期設定

TreasureDATAにGoogleのアカウントを登録します。これで、出力方法としてGoogleスプレッドシートが使えるようになります

https://docs.treasuredata.com/articles/result-into-google-spreadsheetdocs.treasuredata.com

スプレッドシートへの吐き出し

画面を見て素直に入力して行けば終わります。先にスプレッドシートを用意しておき、作ったスプレッドシートを吐き出し先に設定します。

qiita.com

スケジュール設定のcron形式についてはこちらを参照して下さい。

docs.treasuredata.com

http://yebisupress.dac.co.jp/2016/02/25/treasure-data-to-spreadsheet/

スプレッドシートからの計算

GoogleDataStudioでのグラフ化

この2項目については既に先程の本に記載されているのでそちらを参照して下さい。

「transpose関数を使う」など細かなテクニックにまで言及されており、とても重宝します。

www.relief.jp

何が便利なのか?

TreasureDATA → Googleスプレッドシート → GoogleDataStudio

というステップを踏むことで、TreasureDATAのスケジュール設定の度にスプレッドシートが自動更新され、GoogleDataStudioも更新ボタンを押すと自動更新してくれます。これによって、グラフ化までを毎週自動的にやってくれるので、見る指標(KPI)さえ決まっていれば、レポートの作業は、GoogleDataStudioをPDF印刷してPDFにして配るだけです。

所詮ダッシュボードでKPIを見る意味は、何か異常が起きていないか?を監視するだけで、特に生産的ではありません。全て自動化しましょう。

余談:会議について

  • 一枚目でプレゼンしてくれ
  • 文字を減らしてビジュアルに説明してくれ

と当たり前のように言われるため、そういうものだと勘違いしている人もいるかもしれません。しかし、本質的に理解をしたいなら、抜粋されたグラフと印象的な一言ではなく、きっちり構造化された文章を読むべきだと思います。

www.businessinsider.jp

印象的なプレゼンスライドというのは、誰かを説得したり鼓舞したり煙に巻いたりする為に行うもので、バイアスがかかっていることがあります。自分がちゃんと理解したいときにはスライドではなくテキストをよく読む方が良いでしょう。


レポーティングに関して良いことが書いてあったなと思う本

Googleアナリティクスに関して詳細にテクニックが載った本。殆どのGoogleアナリティクス本が、触ってみたらわかるレベルのことしか書いていないなか、本書は「そんな機能もあったのか」ということまで書いてあります。

グラフの見せ方については色々な本がありますが、このGoogle社員の本が一番コンパクトにまとまっている気がしました。何故Googleは青色を使うのだろうか?と思っていた謎も、色弱色盲への配慮だったとわかり、大変教訓になりました。

グランドデザインをできる人材が最も枯渇している

最近”そうだよなぁ”と思ったツイートがこれ。

日頃の業務でも痛感しますが、 最初の絵を描かける人 というのが枯渇していると感じます。

広告「代理店」業界では、グランドデザインはクライアントがやってきた

広告関連で世に出る記事ではまだまだ広告クリエイターがインタビューに応じることが多く、広告宣伝業務を取り仕切っているのは広告会社だと思われがちかもしれません。

しかし、最初の出発点は広告主側が描いていることの方が多いです。

広告主は「費用対効果」の視点で常に考えている。

どんな商品でも全国規模のテレビスポットを打てば、日本国内に最も効率的に到達します。確かに一度に2億円は軽く一週間で消えてしまいますが、日本全国には1.27億人も人がいるので、届いたのが1/3の6000万人程度だとしても1人あたりたった3円で届きます。

とは言え、全ての商品が宣伝費に2億も出していいわけではありません。

売上の10%程度を宣伝費に投下する、と逆算しても20億円売上る事業規模でないと2億円投下することはできませんし、全国規模で展開していても「店舗配下率が競合より低い」「ターゲットがニッチである」などの条件によって費用対効果は更に下がっていきます。

しかしなかなかそういう視点は、広告代理店側には育っておらず、 一部の層には受けそうだけどリーチはしない企画 一般層には受けそうだけどターゲット層の琴線には触れない企画 そんなにコストかけらんないよ!という企画 といった門前払いレベルの提案が出て来てしまいます。

事業ドメインからプロモーション計画を練るのは常に広告主側だった。

  • 商材の売上予測しての宣伝費の確保
  • 各ブランドへの配分
  • 年間の宣伝費配分スケジュール
  • 施策の費用対効果の振り返り

などは広告主側(事業会社)がやり、広告代理店には、

  • 良い広告枠の確保
  • 人気タレントの確保
  • 優秀なクリエイターの確保

などの川下の業務を委託してきたのが、広告主と広告「代理店」の関係でした。

ですので

  • どのブランドに宣伝予算を集中させるべきか?
  • その商材が狙うターゲットはどこが実効性があるか?

は、 お金を払っている広告主側が全て設計し、オリエンしてきた というのが実態です。

広告代理店から広告会社にという掛け声

10年前から広告代理店は広告会社と名乗るようになりました。広告媒体枠の確保だけでなく、広告主の事業課題を発見しそれを解決する コンサルティング型営業 への転換を目指したのです。

未だにその夢は実現せず、課題を発見できないマーケッターやクリエイターは「クライアントのオリエンがしっかりしていない」と言って匙を投げてしまうケースもあります。

デジタルマーケティング業界でも似たような現状

以前この記事でも書きましたが、デジタルマーケティング用ツールを提供する会社は沢山あっても、それぞれがポジショントークをするだけで、事業会社にとってどのツールを組み合わせるのが効果的か?は、まだ誰も描いてくれません。

yyhhyy.hatenablog.com

これも今日見た求人情報の記事ですが、CRMのデジタル設計ができるIT人材が不足している、という指摘は痛感します。

https://newspicks.com/news/2706135/body/newspicks.com

「デジタルマーケティングのツールを使ってデータを元にPDCAを回しましょう」という画餅の資料は、ベンダーも広告会社も用意しますが、

  • 実際に取得できるデータは?
  • その取得したデータはどこまで販売データを説明できるのか?
  • 導入の結果得られる利益は費用対効果に合うのか?

をふまえて提案できる企業はまだありません。

例えば、(仮の話なので数値はデタラメです)

  • 洗剤市場では浮動層が多く店舗で価格が安くなっているものを買う人が殆ど
  • 事前にネットで調べる人は皆無
  • 通販利用者も少なく、利用してもAmazon楽天で買う

という状況だったとき、オウンドメディアやCRMに蓄積されたデータを使ってどの程度効果があると言うのでしょうか?DMPとバナー&メルマガが効率化されてどの程度販売に影響すると言うのでしょうか?

グランドデザインを描く人材・叩き台を作れる人材

最初の叩き台を作るセンスが良い人 に出会うことがあります。私には残念ながらまだその能力がなく、どうすれば良いのか?はわかりませんが、グランドデザインが描ける人には幾つか特徴があるなぁとは思っています。

世の中の動きの背景にある心理を自分なりに常に考察している

SHOW ROOMの社長は努力家ですが、路上ライブの投げ銭という心理を洞察しています。

president.jp

やれるという自信がありトライ・アンド・エラーをしている

DJ社長については、「がむしゃらに自転車漕いでいる奴の横で、一週間原付き免許取る努力をした奴は後で追い抜いて圧倒的な差をつけていく」という部分抜粋動画を見て知ったのですが、先ず50人もパーティに呼べる、という求心力・カリスマ性から圧倒的です。


【好きなことで、生きていく】『レペゼン地球-DJ社長-』

落合陽一さんの本や記事はどれを読んでもなるほどなぁと思います。これからの時代は、一人一人が事業主となって行かなけらばならなくなる、という指摘をしています。

2025年教育改革も、自分で課題を発見し解決し、どう社会に自分が貢献できるのか?を問い続けることが重視されています。

グランドデザインを描く作業を他人に任せて請け仕事だけをやり続けている労働者気質の人は、この先ますます生き残りにくい時代になっていくのではないか、という危機感があります。

BtoBマーケティングも結局はブランディングということではないの?

これまでBtoC案件ばかりだったのですが、ここ最近急に自分や周りでもBtoB案件が増えてきました。

マーケティングオートメーションとの相性がBtoBの方が良いということもあって、BtoBマーケティングは最近マーケティングオートメーション祭りという感じなのですが、現状起きているブームは間もなく見直されるだろうなと思いました。

今、BtoBプロモーションでおきていること

よく言われていること

  • 関係するレイヤーが多い
  • 利用する部署と道入決定する部署が異なる
  • 検討の期間が長い

などは昔から言われていることで、最近では、

  • 意思決定に関わる部署が増えた(主にマネジメント層/経営層)
  • 営業に問合せが来る前に勝負が決まるようになった

この2つが色々な本やレポートで言われています。 1

これについてはそうなんだろうなと思います。

例えば、最近ホットな「働き方改革関連法案対応」となると、人事・労務管理・情報システム・経営企画などが関わるので、どこか1つの部署で全部決められるという話ではありません。

彼等は定例のワーキンググループを開催し、必要な調達物の要件定義をしていきます。 そして情報システムの人が各社の営業さんに連絡をする頃には、ある程度「どこが良いのか?何がよいのか?」まで議論が終わっています。

このタイミングで、「労務管理システムの依頼ですが、働き方改革では本当は生産性向上が重要で、弊社はRPAの道入が得意なので是非ご検討を」と営業マンがセールスしても、ある程度予算化までされてしまっていたら、そう簡単に覆ることはないでしょう。

実際に対応策として”セールスされているもの”

上記の課題設定はその通りと思いますが、その対応策として叫ばれているのが、

です。

細かい説明はしませんが、ざっくりと

  1. 業界に関するレポートを作り、ダウンロードしないと見られないようにする。
  2. ダウンロードさせる時に個人情報を取得する
  3. サイトに関連するコンテンツを増やしておき、取得した個人情報のメールアドレスに送りつける
  4. サイトのコンテンツでは徐々に自社製品の道入が何故重要か?を説くようにする
  5. よくメールからクリックして閲覧してくれている人に対して、セミナーを案内する
  6. セミナー後もサイトを見ていたり道入意欲が高そうであれば、電話する(アウトバウンドコール)
  7. 電話で「一度提案に来てくれ」と言われたら営業を連れて行く

こんな流れで営業をかけます。

これによるメリットは、

  • 何故自社の製品の道入が必要なのかをじっくり時間をかけてメルマガで案内し、自社製品の道入意欲を効率的に高めることができる
  • 電話リストから闇雲に電話するのは効率が悪いが自社製品の検討をしている人への電話は効率が良い
  • 今まで通っていた部署とは違う部署の人が道入検討していた場合、既存得意先に新たな突破口が開ける

など多岐に渡るため、多くの企業がマーケティングオートメーション、セールスフォースオートメーション、コンテンツマーケティングなどは道入しているのではないかと思います。

例えば

よくできているなぁと思うのはAdobeのサイトです。

www.adobe.com

「これは面白そう!」というレポートがだいたい個人情報入力と引き換えになっていて、その後時々関連したURLがメルマガで届きます。

クリックした先に、「あっこっちの方が近いかも?」という別のコンテンツへの誘導もあり、よく出来ていると思います。 2

決定的に抜けている視点

しかし、この一連の流行りの中で、決定的に忘れられている視点があるなと感じました。

  • 3C分析(Customer,Competitor,Company)
  • STP(Segmentation, Targeting and Positioning)

の2点です。

3C分析の視点

「顧客、競合、自社」の状況を事前に整理しておきましょう、という話です。

「リードに対して”ナーチャリング(育成)”しましょう!」とコンサルは言うかもしれませんが、そのコンサルは全く同じことを競合企業にもセールスをしているわけです。

すると、競合が一斉に実写と同じように当該業界のレポートを発行し、「今の時代はこうですよ?これを道入しませんか?」と同じようなコンテンツを作り、同じようにメルマガを打つのです。

自社の商品が業界内で自社しか出していない(例えばAdobeのCreativeCloudはグラフィック業界では競合ナシです)なら構いませんが、そうでないなら競合のメルマガと横並びでしかなく、競合と仲良く揃って同じようなコンテンツを制作会社に発注していた、みたいな無駄が起きていると思われます。

STPの視点

市場を分類し、ターゲットを定めて、自社の強みが活かせるポジションを決めることがSTPです。

USP(Unique Selling Proposition)を定めよ、とも言われます。

自社にしか提供できない価値(或いは他社はまだ言っていない価値)を、それが響くターゲットに対して語る、ということです。

依頼主が「えーっとどの会社を今回の競争入札に呼ぼうかな?」と思ったときに、 業界大手上から順や思い出せる順に呼ばれる会社が決まる という事象がおきます。このとき、市場を分類していなければ、有象無象と戦うことになりますが。

○○と言えば○○社 という特定分野でナンバーワンというポジションを取れていれば、その○○分野では必ず一番に呼ばれるわけです。

上記を踏まえて

上記のBtoCで当たり前の視点を踏まえると、やるべきことは明白で、自社の得意分野を決めて,、 得意分野の重要性を自社名でPRし続ける ということです。

例えば、さっき例に出したようにRPAが得意な会社であれば、

  • 働き方改革では残業時間規制などで労務管理に注目が行きがちですね
  • でもこの先、少子化/高齢化/介護離職/日本の国際競争力低下による優秀な外国人労働者の減少、など人手不足が待ったなしです。
  • 如何に今いるメンバーで効率化できるか?が真っ先に重要です
  • RPAの道入を考えませんか?
  • 道入にはかなりすり合わせも時間もかかります。他社がやってないと思ったら、実はもう検討している会社は多いですよ?

といった世論を

  • PR
  • 自社/媒体社のセミナー登壇
  • 名物講師の育成=エヴァンジェリト

などを通じて形成していく必要があります。

働き方改革ワーキンググループの人たちに「RPAと言えば○○社の名前をよく聞きますなぁ」と マインドシェア を高めることがゴールとなります。

結局はブランディング

BtoBマーケティングといえども、BtoCと重要なポイントは変わらず、手法がマス広告ではない、というだけであって、大きな考え方は同じではないかと思います。

必死にサイトを作ってメールを配信し、イベントで集めた名刺の活用の打合せに明け暮れる、、、という前に、差別化戦略を探る方が先だと思われます。

それを決めてから、誰に?何を?どうやって?伝えて"育成"していくのかを決めるべきでしょう。


BtoBマーケティング関連で読んで良かったなと思う本は以下です。

↓この本は堅実で、SEOをしなさい、PRリリース出しなさいなど、地に足の着いた展開を説きます

マーケティングオートメーションについてまともに書いてある本


  1. よく引合に出されるのがこのグーグルのスライド

    www.slideshare.net

  2. 暫く反応しなかったらメルマガが来なくなったので、見込みなし、と判断されたのだと思います。それも含めてちゃんとやっています。

データ分析で重要なのは「視点」~データサイエンティスト達に本当に必要だったと思われるものについて~

「統計のことがわかっていない自称データサイエンティストが増えて現場は困っている」という”データサイエンティスト”のつぶやきをよく見るようになりました。

これはいったいどういうことなのか?を考えてみたいと思います。

データサイエンティストブーム

データサイエンティストという職業が注目されたのは2010年頃だったでしょうか?

この本が出たのはもう5年前。この頃は「データサイエンティストが不足する」などと言われ、大学でも統計学を教えるべきではないか?などの議論があったように思いますが、その後、データサイエンティストブームは沈静化したように思います。

実態としては、「そこまで”データサイエンティスト”が必要ではなかった」ということではないかと思いますし、必要ではなかったと気がつき始めたからこそ”データサイエンティスト”として生き残ろうと思っていた人は、「方向転換のサンクコストを払うべきか?」、「自分たちの存在価値を喧伝するべきか?」の岐路に立たされているのではないか?と思います。

それでは、実際に求められていて、今も足りない人材は何だったのでしょうか?

データ分析に必要な人材

データ分析に必要なスキルは主に以下の3つです

  • ビジネスの視点
  • 統計学の視点
  • システムの視点

ビジネスの視点は「マーケター」の役割で、システムの視点は「エンジニア」の役割です。

近年の急激なマシンスペック向上により、これまでマーケターが使っていた統計学レベルでは対応できない統計分析ができるようになってきたので、改めて「統計学」の視点が必要となったのでした。

そして、”これからはビッグデータだ”と言っていた頃は、まさに急激に増えた”機械学習”、”ディープラーニング”といった能力が必要とされていたのです。

※なおデータ分析に必要な人材とチームのイメージについてはこの本が最もバランスが良いと思います

必要とされる統計学にはバラつきがあった

一方で、求められる「統計学」についてはバラつきがありました。

Googleの中でアルゴリズムを作りディープラーニングのライブラリを開発しなければならない人、音声チャットサービスの原型を作る人、画像処理で人を認識するエンジンを作らないといけない人、といった専門人材は、数学的な理解が必要で、大学で工学科を出てないと難しいと思います。

一方で、誰かが作ったライブラリを使って自社のサービスに利用する、というレベルになってくると、専門人材である必要はなく、 エンジニアサイドの人が勉強すれば事足りる ということになると思います。

例えば、「自社にプライベートDMPを導入してデジタルマーケティングを強化したい」という目的であれば、マーケティングオートメーションツール、タグ管理ツール、コンテンツマネジメントシステム等々、全て外部のサービスをどう組み合わせるか?であって、トレジャーデータなどになってくると主要なツールとは簡単に連携できるように準備されています。このレベルであれば、情報システム部門の人とマーケティング部の人が連携すれば事足りてしまいます。

転機が明確になったのは、「GoogleがTensorflowをオープンにし、IBMがWatsonの門戸を広げたとき」だったと思います。

全てのアルゴリズムを自社で作り上げる必要があるのであれば、「統計学」に深い造詣のある人材が各企業に必要となりますが、それがサービスとして提供されるのであれば、”何が出来て何が出来ないかわかっていれば良い”ということになります。

一方で求められているのはビジネス視点

寧ろ不足しているのは、”統計学の素養があるマーケター”の方です。

多くの企業でマーケティング部に居る人は文系社員で、統計学についてはせいぜい大学時代にSPSSSASを使っていました、というレベルであり、使うのは専ら因子分析や線形回帰分析などです。勿論、彼等がエンジニアのように引き続き勉強してくれたら物事は解決するのですが、元が文系だと改めて学習するのが辛いこと、普段使い慣れていないコードの入力が必要なこと、などで思ったように勉強が難しいのではないかと思います。

冒頭の「”データサイエンティスト”達から文句を言われている”自称データサイエンティスト”」とは、恐らくこの手の見よう見マネで統計学を復習しはじめた文系マーケターのことではないかと思います。

他方、”データサイエンティスト”側は、エンジニア上がりや学者上がりのことが多く、「ビジネスの視点」というのが不足しています。

「A/Bテストをして良いサイトデザインやバナークリエイティブを残す」などの試みはやって頂いて構わないのですが、「それはビジネスに対してどの程度利益が出るのか?」という視点が抜け落ちています。もし、この辺りの勘所を”データサイエンティスト”たちが鍛えられれば、マーケターという職種に鞍替えできるのではないか?と思います。

”データサイエンティスト”が”自称データサイエンティスト”に仕事を奪われているのは、アサインする側の経営者サイドと会話が成立していないからです。彼等の視点は常に”ビジネスへのインパクト”です。全ての業務をそこから逆算して考えるクセがついていないと会話になりません。

例えば、この本にあるように

「月額6000円でマニアだけが加入するもの」だったADSLを「生産ロットを増やしてモデムが安くできるなら、月額2830円で100万人が入ってペイするもの」にしてしまえばいい!

と発想ができるかどうか? です。

データを取得するのにかかるコストを弾くのはエンジニアに頼むとして、そのデータを取得することでどのようなリターンが見込めるか?を考えて提示する能力が求められています。

幸いにも、工学科出身でビジネスコンサルタントをやっている人は世の中に大量に居ますので、”データサイエンティスト”側からマーケター側への転向は、マーケターが統計学のスキルを強化するよりも早くたどり着けるのではないか?

と文系でマーケティング業界の端っこに居る私は思います。


参考図書

大局的な視点を得る為に良い本

幾つかの企業のビジネスモデルが分析されていますが、特に、 外側からはわからない「コスト構造」までインタビューしている 本は貴重です。

タップスと言えば人工知能や宇宙開発という変わった会社ですが、佐藤さんの先を読む力は飛び抜けていると思います。本書では、仮想通貨ブームを人々の経済の在り方の視点にまで広げて見ています。

視点が大事、という意味ではやはりこの本が一番でしょうか。書いてある通りに発想するのが難しいんですよ、とは思うものの、出発点の視点がとにかく大事です。

デジタルマーケティングを俯瞰する

「デジタルマーケティング」について説明して欲しい”という依頼が増えました。

  • 「デジタルマーケティング」に取り組め!という号令は出ているものの、そもそもデジタルマーケティングで何ができるのかわからない。
  • 色々な外部に聞いてもそれぞれ言うことが違って結局何から取り組めばいいかわからない。

恐らくそういう悩みを抱えている人が多いと思います。

「デジタルマーケティング」とは便利な言葉で、あらゆる業界の人が”我々の分野こそがデジタルマーケティングだ!”と言っているのが実態です。 ただの機械学習ブームを「AI(人工知能)」と言っている人たちと同じ状態です。

逆に言うと、明確なデジタルマーケティングの定義などというものは存在しないので、「デジタルマーケティングとは何か?」という問こそが不適切です。

存在しない答えは無理に追うことはせず、実際に起きている幾つかの変化について俯瞰し、何が自分たちにとって必要なのか?を見極めるしかないと思います。

デジタルマーケティングにおけるプレイヤー

「デジタルマーケティング」を説く業種は複数あります。これまでマーケティングと言えば主にコンサルティング会社が言うことでしたが、様々な企業が生き残りをかけて、自分たちこそがマーケティングのキープレイヤーだと主張しているわけです

Web広告屋

Web専業の広告代理店、総合広告代理店のWebメディアセクションの人たちです。 そもそもWeb広告を「デジタル広告」とよびますが、これが誤解のもとかもしれません。

Web広告は進化し細かくターゲティングできるようになりましたが、Web広告そのものの購買に対する影響度は上がっているのか?というと、せいぜいYoutubeくらいのもので他は対して変わっていません。

  • テレビを見る時間が減った若者にリーチする為に補完としてWeb広告が必要
  • 需要が既に何らかの別の要因で顕在化した人を後押しする刈取り型広告で効果がある

大きくわけるとこの2つの機能であることから変わっていません。デジタルマーケティングと読んで売り込んでいるのはこのうち2つめの刈取り型のターゲティングの種類が増えました!というだけで、これまでのマス広告やPRが必要であることは変わらないのです。

またターゲティングが細かくできたからと言ってそのターゲット全員にリーチするわけではなく、全国規模である程度の消費者が居るのであればTVが一番安いですし、その費用がないと言っても、既存のGoogle AdWordsによる広告のターゲティングで充分というケースは多いと思われます。ターゲティングに使うデータの使用料分の効率化ができない、ということもありえます。

PR屋

ソーシャルメディアマーケターといった類の人たちです。一方的な情報では伝わらないのでソーシャルでバズらせましょう!というものから、Webサイトにユーザーが求める社会的関心事のコンテンツを置いてプロモーションするコンテンツマーケティングなども推薦してくることがあるでしょうし、インフルエンサーマーケティングを推薦してくることもあるでしょう。アンバサダーマーケティングなどファンをコアにしましょう、というのもこの軸です。

Web広告がターゲティングをドンドン細かくしていきその効率を売りにしているのとは真逆にPRはターゲティングができません。

また、インフルエンサーやファン・アンバサダーを使ったプロモーションもSNSを使うことがあるというだけで,実際には昔からある掲示板的なコミュニティ機能であったり、リアルな体験会だったり、技術的には新しくはありません。

ITベンダー系

データを収集し最適な顧客体験をデータ・ドリブンで行いましょうと言う人たちです。マーケティングオートメーションやWeb接客ツールやコールセンターやらどちらかと言うと情報システム部門に営業をかけていた人たちが、マーケティング部門や宣伝部の予算を取ろうとしています。

BtoBやECにおいては便利なものもありますが、それ以外ではまだ実用段階ではなく、過剰にアピールされている印象があります。

多くのツールがタグを設置できるWebサイトを工程上踏ませてCookieシンクやログインなどで顧客一人一人を名寄せしていく、という前提ですが、そもそも全ての購買行動がWebを通るわけでもなく、システム導入の費用の割に得るものが少ないということも多いと思われます。

システムと連携できる施策しかできないので、顧客の状態をいくらデジタルで細かく把握したところで、実行できる手段が「メールマガジン」「サイト訪問時の表示内容の出し分け」「後追いのバナー広告」「お問合わせ内容への返答の出し分け」くらいなものです。BtoBならまだしも、メールマガジンなどそもそも殆どがゴミ箱行きでしょう。

デジタルマーケティングの背景で起きていること

いずれのプレイヤーも一長一短のものを我こそは!と売りこんでいて費用対効果は冷静に判断しなければなりませんが、一方でこれらの背景で起きている社会の変化については把握しておかなければなりません。今はすぐ必要ではないにせよ、中長期的には必要なこともあると思いますし、業界や企業規模によっては今すぐ導入しても良いケースもあるでしょう。

行動データの蓄積

ビッグデータブームから続く流れです。

  • 位置情報
  • 購買履歴
  • アンケートデータ
  • 自社商品の取引状況

などのデータを広告配信に使うことができるようになりました。所謂、DMPと呼ばれるものです。

まだまだ配信する量が少ない、などの課題はありますが、今後も新しいデータの取り方は増えてくるでしょう。日進月歩ですのでここには記載できませんが、各広告代理店に問い合わせれば様々な情報と連携できることがわかるでしょう。

https://yahoojp-marketing.tumblr.com/post/142658696293/casestudy-160412
yahoojp-marketing.tumblr.com

生活者の判断材料の増加

テレビ広告が効かなくなってきた、とは10年前から言われていることですがこの傾向は続いています。

  • ライブコマースでプチ有名人の推奨するものを買う(雑誌で言う読者モデルの薦めるものを買う行為)
  • 広告は良いことしか言わないけれどレビューサイトや比較サイトに行けば実態がわかる
  • 自分のタイムラインに上がっくる情報が情報源の人(インスタグラムで近くの店舗の情報を知る、など)

大昔はテレビ・新聞・雑誌そして広告、それだけしか情報源がなく、広告で購買行動が激しく動かされていた時代がありましたが、今は相対的に価値が下がっています。

例えば、大量ご発注してしまった小売店舗がSNSで悲鳴を上げたら周囲の人が買ってくれた、或いは、TVCMでは問題なかった表現がSNSでは炎上した、など、商品がどのようなストーリーで受け入れられるか?という設計が重要になってきました。浅はかなアイデアは通用しないということです。

nlab.itmedia.co.jp

kakeru.me

自動化

Amazonのレコメンデーションエンジンが凄い、というのも7-8年位前から言われていることでしょうか?

売店舗の店主が一人一人の客の顔を覚えて推薦する商品を決める、という作業は大規模になると追いつきませんが、統計処理であればそれが可能になります。

マーケティングオートメーションはまだまだ実態として人間がシナリオ設計をしていることもありますが、データベース上で明確なゴールを決められる場合には、途中のスコアリングを回帰分析なりディープラーニングなり色々な手法で自動化することもできるでしょう。

チャットボットの事例としては、ヤマト運輸の配送問い合わせが有名ですが、ある程度定型的な問い合わせをチャットボットで済ますことで、コールセンターでの初歩的な質問を削減する、というのは必要な企業にとっては導入した方が良いものだと思われます。

今までできなかったOne to Oneマーケティングがテクノロジーでできるようになる、というのはとても良いことだと思います。「デジタルで顧客体験を向上する」という思想はこの先も進化しサービスが増えていくでしょう。広い意味では電子決済もテクノロジーによる顧客対応の向上です。

news.botandegg.com

liskul.com

まとめ

幾つかの方向性の異なる技術の進化が「デジタルマーケティング」と総称されています。どれも重要な変化ですが、ものによっては導入にコストがかかりますので、先ずは解決したい経営課題が何なのか?からの逆算と、夫々の技術で何がメリットになるのか’?を常にアンテナをはっておくことが重要でしょう。

特に、広告代理店界隈の人は「マーケティング」という言葉を「宣伝・プロモーション」とほぼ同義で使うケースがあるので注意が必要です。例えば、楽天ポイントの経済圏に入って顧客を増やす、という施策もマーケティングです。売れる仕組みを作ることがマーケティングですから、施策は限定されていないのです。


デジタルマーケティングに関する参考書

DMPについて

マーケティングオートメーションなどがBtoBマーケティングについて

コミュニティやコンテンツマーケティング

ECについて。ややデジタルマーケティングからは外れるが活用するためには前提として必要

カスタマーエクスペリエンス系。調査手法よりの話が多いが顧客体験価値向上を意識しておかないとデジタルマーケティングで何を実現すべきか?の視野が狭くなる。

デジタルマーケティングにおける組織の意思決定 。結局スーパーマンはいないので本書の指摘するようなチームワークが重要になってくる。

日清食品のアオハルシリーズはマスマーケティング時代のクリエイティブという印象が強い

先日「サザエさん編」が公開された日清食品のアオハルシリーズ(或いはハングリーデイズシリーズ)が個人的に 苦手 です。

news.mynavi.jp

嫌いな人の声

xn--h9jepie9n6a5394exeq51z.com

  • ハイジ編

matome.naver.jp

omoson.com

一言で言うと 原作と余りにも違い過ぎる のが嫌われる理由でしょうか。

制作側の気持ちもわかる

とは言え、原作者サイドも許諾を出していますし、

nlab.itmedia.co.jp

恐らくこういうIFも好きな人は好きでしょう。声優も豪華ですし絵の描き込みも綺麗ですね。

原作無視とは別の課題として「昔の広告」という感じがする

原作と設定も絵の印象も違うということも苦手なのですが、もう一つ 価値観が古い という点がこのシリーズの嫌悪感の理由の一つのような気がします。

劣等感に対する決めつけ

  • 読者モデルのクララが人気者でハイジがそれに劣等感を頂いているという設定
  • ハイジが劣等感を抱いているという前提で、それでもハイジが好きだというペーターが良い人に見えてしまう設定

いつの時代の空気感でしょうか?

今日日の高校生ならハイジは最初から劣等感を抱いていない と思います。

青春といえば恋愛という短絡思考

3作品ともテーマが恋愛ですが、青春ってそれだけなんでしたっけ?

例えば、ハイジが勉強家にクララがスポーツ少女に進化して高校生活をエンジョイしていたら、”2人とも苦手分野を努力して成長したんだなぁ ”と思うでしょうし、その2人が協力して文化祭や体育祭或いなど青春のワンシーンも幾らでも描けそうです。

恋愛がメインテーマではない原作に恋愛要素を入れてしまったから原作の雰囲気が崩されたと感じるファンが多いのだと思います。もっと違う「青春」を描けば、炎上も減ったのではないでしょうか?

決めつけが多いマスマーケティング時代のクリエイティブ

サントリーの炎上したPR動画はもっと上の世代の価値観でしょうか?地方に行って美女とワンチャンあると思うのはバブル時代に海外で女遊びをした世代の価値観なのだろうと思います。

www.huffingtonpost.jp

資生堂も「女は頑張っているように見えないようにせよ」という価値観もなかなか上の世代の価値観だと思われます。

nlab.itmedia.co.jp

その他にも炎上CMは沢山ありますが、ここで喝破されているように「おじさん」的な価値観の表現です。

www.itmedia.co.jp

多くの普通の大衆にとってオジサン的な価値観は一般常識であって、TVCM用の表現としては正解なのだと思います。 インターネット上では炎上していても職場では全く炎上していなかったり、寧ろ炎上記事に対して大袈裟だと反応する人の方が多かったりするかもしれません。 ネットのマイノリティのトライブで炎上しても販売に影響する程のことではないのです。

とはいえ、 一人一人にパーソナライゼーションされたメッセージを届けたい というデジタルマーケティングの時代にいつまでもこのような表現を続けるのは社会的にも企業姿勢としても限界が来る手法なのだろうなと思います。

そういう時代になって欲しい という私の願望なのかもしれませんが)

こういうのを見たい

因みにTogetterの中に共感するコメントがありました

togetter.com

いやー、中島くんとカツオくんが大きくなっても一緒にカップラーメン食べてたり、久々にあってモジモジしてたけどキャッチボールして急に10年のブランクを乗り越えて一緒にカップラーメン食べて終る、とか、そういうのだったら凄く泣けますよね。もう設定を聞いただけで涙が出そうです!

セミプロの時代

最近ライブコマースが熱いのに知らないの? という同僚からの煽りと、 プロゲーマーは競技系だけではないぞ? という趣旨のツイートを見て、 セミプロの時代 が本格的に来たんだなと思いました。

比較的最近のセミプロ

ライブコマース

個人が通販をするようなものです。

Candeeさんは100本動画作るよ!とか起動力のある会社ですが、会長が國光さんなんですね。 元は映像制作会社のプロデューサーだったのですがアグレッシブにいつの間にか時代の寵児です。

jp.techcrunch.com

ゲームアプリでも東大発ベンチャーで有名なところがありますが、最近の東大生は起業家精神がありますね。 jp.techcrunch.com

実況

これはワザワザ引用せずともみんなご存知でしょう

  • ゲーム実況(ニコ生/Youtube
  • 商品紹介(Youtuber)

ライブ的な消費形態として紹介されることが多いですが、これも視点を変えれば「セミプロ」です。 過去はファミ通のプロのライターがゲームの評価を下していましたが、今は個人のプレイを見れば良いんです。

個人のラジオのような配信

ラジオパーソナリティのようなものもプロだけでなくセミプロが活躍しています。

  • TwiCas
  • MixCannel

因みに私は夜中に個人のカラオケを聴くのが趣味です。

もっと色々、セミプロが活躍するものはあります

比較的この数年の動きとしては、以下のものがセミプロが活躍している分野です。

  • 先生(Schoo)
  • 宿泊(AnB)
  • 運転(Uber

AnBやUberはテクノロジーやシェアリングエコノミーの文脈で語られることが多いですが、個人がプロと同じようなことをしている、という視点でも捉えることが可能でしょう。

もっと大きな流れとして捉えたい

昔から「セミプロ」は存在する

実は随分昔からセミプロはありました。

  • 口コミサイト:プロの評価を集めた本や雑誌から個人のレビューサイトへ
  • ブロガー:プロのライターから個人のライターへ
  • 読モ:最近はもはやタレントや事務所所属してる人も多いですけど元は読者です。

特に小説・音楽の分野は進化が早い

比較的古い記事を探してみました。

diamond.jp

電子書籍ブームというのがありましたね。

そして今では「なろう」から普通にアニメ化されていきます。ちょっとバブリーな感じもありますが。

matome.naver.jp

その昔、 ケータイ小説 というのがあったのを覚えていますでしょうか?

matome.naver.jp

2chのスレッドが本になり映像化され、という頃には全くその意識がありませんでしたが、 この頃からコンテンツを作るのが、プロだけでなく、アマチュアが増えました。

所謂、「P」という人達もセミプロです。本職は別にあります。音のクオリティもプロの方が高いです。 演奏してみたシリーズも未だに人気ですね。

中央集権的な信用から個人に信用がスライドしている

10年前、Wikipediaの新興に関連して当時随分と売れた本があります。

つまり これからは集合知 という話しです。そして今は ブロックチェーンによる非中央集権的信用 へと進歩しています。

www.businessinsider.jp

プロが介在しない個人間取引というものは危険がつきものですが、いずれ技術が解決してくれることでしょう。

matome.naver.jp

ウーバーイーツもローンチ初期ほどトラブルは聞かなくなりましたね。

プロの提供するものからセミプロの提供するものへ

アニメが某映画作品によって2兆円市場になりました!とは言うものの全然プロは儲かっていません。

www.nhk.or.jp

この番組では下請け構造に焦点を当てたようですが、実態はそういうことではなくて、そもそも制作費はたいして増えていないのです。

jp.ub-speeda.com

一方でセミプロの市場は順調です。遂にアニクラは製作者への還元を始めたようですが、こういったセミプロのアニソンDJの周りにファンがついて消費をしています。

getnews.jp

今後のメインのモデルはアメブロ方式ではない。

ブログが流行った時にアメブロはタレントのブログを用意することでPVを稼ぎました。しかし今後はプロではなく セミプロ をどれだけ集められるか?が重要だと考えます。

ライブコマースもタレントを使うところ使わないところがあります。一部のタレントはファンがつくかもしれませんが、恐らくメインストリームはセミプロを沢山抱えるところになると思います。

gaiax-socialmedialab.jp

セミプロとプロの距離感の違い

作家がこれから食えなくなるだろう、と電子書籍で言及されたとき、今後はファンイベントで稼ぐしかない、と指摘している人が居ました。

音楽の文脈ではモンティ・パイソンのように直でファンとコミュニケーションしてグッズを売れと指摘している人が居ました。

ライブ型消費とよく言われますが、 身近な存在であるかどうか? の方が大きいのではないか?と思います。

実況主にファンがついてイベントするような市場規模のセミプロとファンというセミプロ市場が広がっていくでしょう。

かつてAKB48が目指したこの距離の市場が色んな分野に広まって行くのだと思います。

matome.naver.jp

ぶっちゃけ歌ってみたの人よりプロの歌手の方が上手いのです。それでも歌ってみたにファンがつくのです。

広告業界はどうするのか?

個人と個人の信頼関係に「ペイド」はあわない

読者モデルには商品を持たせて、タイアップ広告をしました。

ブロガーには商品を渡してレビューをして貰いました。

しかし、セミプロとファンの間の信頼関係に企業が金の力で入ってくることが今後も受け入れられるとは思えません。

みのもんたモデルはもう来ない

みのもんたが紹介したら商品が売れる、というレガシィなモデルの時代がありました。

matome.naver.jp

プロ ⇔ 大衆

という関係は、テレビの一方方向なコンテンツを楽しむレガシィな世代の消費と信用関係だと思われます。

もうご存知の人は少ないと思いますが、嘗ては、「新聞の広告はテレビより信用される」と広告業界では実しやかに言われていましたが、 今は新聞やマスメディアへの信頼は当時より低下し、権威のあるメディアだから信用できる、という構造ではなくなっています。

セミプロ ⇔ ファン

こういうビオトープがあちこちにできることでしょう。

健康食品販売が寧ろ近い

健康食品が高齢者にウケるのは健康への不安もありますが、家族より親身に話し相手になってくれる販売士に会いに行っているのです。

流石に何も買わないでセミナーに毎日行くのは悪いですよね?強制されなくても買ってしまうのは仕方がないことだと思います。

セミプロが紹介したくなる商品が売れる

身も蓋もない話ですが、セミプロが紹介したくなる商品が売れるということです。

例えば、けものフレンズが売れた理由は幾つもありますが、宣伝してなかったのにみんなが存在に気がついたのは、 「すご~い」「やった~」 などの広まり易いワードが極めて重要だったと思います。

animereal.hatenablog.jp

matome.naver.jp

「せっかく泣ける良い映像を作ったのに売れない!」などということはザラにあります。でも セミプロが紹介したくなる 要素がないとなかなかヒットしないのです。

今後アドマンは、 セミプロが紹介したくなるストーリー を作る能力が重要になってくるでしょう。


話は変わって、宣伝です。

今日、志村貴子原画展に行ってきました。

shimuratakako.gengaten.com

青い花」はほんと良い話なんでみんな是非見て下さい。

こういう地味だけど良い作品というものが紹介されやすくなるにはどういう仕掛けがあればいいんでしょうか?

だれか教えて下さい。