広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ

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データ分析で重要なのは「視点」~データサイエンティスト達に本当に必要だったと思われるものについて~

「統計のことがわかっていない自称データサイエンティストが増えて現場は困っている」という”データサイエンティスト”のつぶやきをよく見るようになりました。

これはいったいどういうことなのか?を考えてみたいと思います。

データサイエンティストブーム

データサイエンティストという職業が注目されたのは2010年頃だったでしょうか?

統計学が最強の学問である

統計学が最強の学問である

この本が出たのはもう5年前。この頃は「データサイエンティストが不足する」などと言われ、大学でも統計学を教えるべきではないか?などの議論があったように思いますが、その後、データサイエンティストブームは沈静化したように思います。

実態としては、「そこまで”データサイエンティスト”が必要ではなかった」ということではないかと思いますし、必要ではなかったと気がつき始めたからこそ”データサイエンティスト”として生き残ろうと思っていた人は、「方向転換のサンクコストを払うべきか?」、「自分たちの存在価値を喧伝するべきか?」の岐路に立たされているのではないか?と思います。

それでは、実際に求められていて、今も足りない人材は何だったのでしょうか?

データ分析に必要な人材

データ分析に必要なスキルは主に以下の3つです

  • ビジネスの視点
  • 統計学の視点
  • システムの視点

ビジネスの視点は「マーケター」の役割で、システムの視点は「エンジニア」の役割です。

近年の急激なマシンスペック向上により、これまでマーケターが使っていた統計学レベルでは対応できない統計分析ができるようになってきたので、改めて「統計学」の視点が必要となったのでした。

そして、”これからはビッグデータだ”と言っていた頃は、まさに急激に増えた”機械学習”、”ディープラーニング”といった能力が必要とされていたのです。

※なおデータ分析に必要な人材とチームのイメージについてはこの本が最もバランスが良いと思います

機械脳の時代―――データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか?

機械脳の時代―――データサイエンスは戦略・組織・仕事をどう変えるのか?

必要とされる統計学にはバラつきがあった

一方で、求められる「統計学」についてはバラつきがありました。

Googleの中でアルゴリズムを作りディープラーニングのライブラリを開発しなければならない人、音声チャットサービスの原型を作る人、画像処理で人を認識するエンジンを作らないといけない人、といった専門人材は、数学的な理解が必要で、大学で工学科を出てないと難しいと思います。

一方で、誰かが作ったライブラリを使って自社のサービスに利用する、というレベルになってくると、専門人材である必要はなく、 エンジニアサイドの人が勉強すれば事足りる ということになると思います。

例えば、「自社にプライベートDMPを導入してデジタルマーケティングを強化したい」という目的であれば、マーケティングオートメーションツール、タグ管理ツール、コンテンツマネジメントシステム等々、全て外部のサービスをどう組み合わせるか?であって、トレジャーデータなどになってくると主要なツールとは簡単に連携できるように準備されています。このレベルであれば、情報システム部門の人とマーケティング部の人が連携すれば事足りてしまいます。

転機が明確になったのは、「GoogleがTensorflowをオープンにし、IBMがWatsonの門戸を広げたとき」だったと思います。

全てのアルゴリズムを自社で作り上げる必要があるのであれば、「統計学」に深い造詣のある人材が各企業に必要となりますが、それがサービスとして提供されるのであれば、”何が出来て何が出来ないかわかっていれば良い”ということになります。

一方で求められているのはビジネス視点

寧ろ不足しているのは、”統計学の素養があるマーケター”の方です。

多くの企業でマーケティング部に居る人は文系社員で、統計学についてはせいぜい大学時代にSPSSSASを使っていました、というレベルであり、使うのは専ら因子分析や線形回帰分析などです。勿論、彼等がエンジニアのように引き続き勉強してくれたら物事は解決するのですが、元が文系だと改めて学習するのが辛いこと、普段使い慣れていないコードの入力が必要なこと、などで思ったように勉強が難しいのではないかと思います。

冒頭の「”データサイエンティスト”達から文句を言われている”自称データサイエンティスト”」とは、恐らくこの手の見よう見マネで統計学を復習しはじめた文系マーケターのことではないかと思います。

他方、”データサイエンティスト”側は、エンジニア上がりや学者上がりのことが多く、「ビジネスの視点」というのが不足しています。

「A/Bテストをして良いサイトデザインやバナークリエイティブを残す」などの試みはやって頂いて構わないのですが、「それはビジネスに対してどの程度利益が出るのか?」という視点が抜け落ちています。もし、この辺りの勘所を”データサイエンティスト”たちが鍛えられれば、マーケターという職種に鞍替えできるのではないか?と思います。

”データサイエンティスト”が”自称データサイエンティスト”に仕事を奪われているのは、アサインする側の経営者サイドと会話が成立していないからです。彼等の視点は常に”ビジネスへのインパクト”です。全ての業務をそこから逆算して考えるクセがついていないと会話になりません。

例えば、この本にあるように

孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術

孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術

「月額6000円でマニアだけが加入するもの」だったADSLを「生産ロットを増やしてモデムが安くできるなら、月額2830円で100万人が入ってペイするもの」にしてしまえばいい!

と発想ができるかどうか? です。

データを取得するのにかかるコストを弾くのはエンジニアに頼むとして、そのデータを取得することでどのようなリターンが見込めるか?を考えて提示する能力が求められています。

幸いにも、工学科出身でビジネスコンサルタントをやっている人は世の中に大量に居ますので、”データサイエンティスト”側からマーケター側への転向は、マーケターが統計学のスキルを強化するよりも早くたどり着けるのではないか?

と文系でマーケティング業界の端っこに居る私は思います。


参考図書

大局的な視点を得る為に良い本

幾つかの企業のビジネスモデルが分析されていますが、特に、 外側からはわからない「コスト構造」までインタビューしている 本は貴重です。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

タップスと言えば人工知能や宇宙開発という変わった会社ですが、佐藤さんの先を読む力は飛び抜けていると思います。本書では、仮想通貨ブームを人々の経済の在り方の視点にまで広げて見ています。

視点が大事、という意味ではやはりこの本が一番でしょうか。書いてある通りに発想するのが難しいんですよ、とは思うものの、出発点の視点がとにかく大事です。

デジタルマーケティングを俯瞰する

「デジタルマーケティング」について説明して欲しい”という依頼が増えました。

  • 「デジタルマーケティング」に取り組め!という号令は出ているものの、そもそもデジタルマーケティングで何ができるのかわからない。
  • 色々な外部に聞いてもそれぞれ言うことが違って結局何から取り組めばいいかわからない。

恐らくそういう悩みを抱えている人が多いと思います。

「デジタルマーケティング」とは便利な言葉で、あらゆる業界の人が”我々の分野こそがデジタルマーケティングだ!”と言っているのが実態です。 ただの機械学習ブームを「AI(人工知能)」と言っている人たちと同じ状態です。

逆に言うと、明確なデジタルマーケティングの定義などというものは存在しないので、「デジタルマーケティングとは何か?」という問こそが不適切です。

存在しない答えは無理に追うことはせず、実際に起きている幾つかの変化について俯瞰し、何が自分たちにとって必要なのか?を見極めるしかないと思います。

デジタルマーケティングにおけるプレイヤー

「デジタルマーケティング」を説く業種は複数あります。これまでマーケティングと言えば主にコンサルティング会社が言うことでしたが、様々な企業が生き残りをかけて、自分たちこそがマーケティングのキープレイヤーだと主張しているわけです

Web広告屋

Web専業の広告代理店、総合広告代理店のWebメディアセクションの人たちです。 そもそもWeb広告を「デジタル広告」とよびますが、これが誤解のもとかもしれません。

Web広告は進化し細かくターゲティングできるようになりましたが、Web広告そのものの購買に対する影響度は上がっているのか?というと、せいぜいYoutubeくらいのもので他は対して変わっていません。

  • テレビを見る時間が減った若者にリーチする為に補完としてWeb広告が必要
  • 需要が既に何らかの別の要因で顕在化した人を後押しする刈取り型広告で効果がある

大きくわけるとこの2つの機能であることから変わっていません。デジタルマーケティングと読んで売り込んでいるのはこのうち2つめの刈取り型のターゲティングの種類が増えました!というだけで、これまでのマス広告やPRが必要であることは変わらないのです。

またターゲティングが細かくできたからと言ってそのターゲット全員にリーチするわけではなく、全国規模である程度の消費者が居るのであればTVが一番安いですし、その費用がないと言っても、既存のGoogle AdWordsによる広告のターゲティングで充分というケースは多いと思われます。ターゲティングに使うデータの使用料分の効率化ができない、ということもありえます。

PR屋

ソーシャルメディアマーケターといった類の人たちです。一方的な情報では伝わらないのでソーシャルでバズらせましょう!というものから、Webサイトにユーザーが求める社会的関心事のコンテンツを置いてプロモーションするコンテンツマーケティングなども推薦してくることがあるでしょうし、インフルエンサーマーケティングを推薦してくることもあるでしょう。アンバサダーマーケティングなどファンをコアにしましょう、というのもこの軸です。

Web広告がターゲティングをドンドン細かくしていきその効率を売りにしているのとは真逆にPRはターゲティングができません。

また、インフルエンサーやファン・アンバサダーを使ったプロモーションもSNSを使うことがあるというだけで,実際には昔からある掲示板的なコミュニティ機能であったり、リアルな体験会だったり、技術的には新しくはありません。

ITベンダー系

データを収集し最適な顧客体験をデータ・ドリブンで行いましょうと言う人たちです。マーケティングオートメーションやWeb接客ツールやコールセンターやらどちらかと言うと情報システム部門に営業をかけていた人たちが、マーケティング部門や宣伝部の予算を取ろうとしています。

BtoBやECにおいては便利なものもありますが、それ以外ではまだ実用段階ではなく、過剰にアピールされている印象があります。

多くのツールがタグを設置できるWebサイトを工程上踏ませてCookieシンクやログインなどで顧客一人一人を名寄せしていく、という前提ですが、そもそも全ての購買行動がWebを通るわけでもなく、システム導入の費用の割に得るものが少ないということも多いと思われます。

システムと連携できる施策しかできないので、顧客の状態をいくらデジタルで細かく把握したところで、実行できる手段が「メールマガジン」「サイト訪問時の表示内容の出し分け」「後追いのバナー広告」「お問合わせ内容への返答の出し分け」くらいなものです。BtoBならまだしも、メールマガジンなどそもそも殆どがゴミ箱行きでしょう。

デジタルマーケティングの背景で起きていること

いずれのプレイヤーも一長一短のものを我こそは!と売りこんでいて費用対効果は冷静に判断しなければなりませんが、一方でこれらの背景で起きている社会の変化については把握しておかなければなりません。今はすぐ必要ではないにせよ、中長期的には必要なこともあると思いますし、業界や企業規模によっては今すぐ導入しても良いケースもあるでしょう。

行動データの蓄積

ビッグデータブームから続く流れです。

  • 位置情報
  • 購買履歴
  • アンケートデータ
  • 自社商品の取引状況

などのデータを広告配信に使うことができるようになりました。所謂、DMPと呼ばれるものです。

まだまだ配信する量が少ない、などの課題はありますが、今後も新しいデータの取り方は増えてくるでしょう。日進月歩ですのでここには記載できませんが、各広告代理店に問い合わせれば様々な情報と連携できることがわかるでしょう。

http://yahoojp-marketing.tumblr.com/post/142658696293/casestudy-160412
yahoojp-marketing.tumblr.com

生活者の判断材料の増加

テレビ広告が効かなくなってきた、とは10年前から言われていることですがこの傾向は続いています。

  • ライブコマースでプチ有名人の推奨するものを買う(雑誌で言う読者モデルの薦めるものを買う行為)
  • 広告は良いことしか言わないけれどレビューサイトや比較サイトに行けば実態がわかる
  • 自分のタイムラインに上がっくる情報が情報源の人(インスタグラムで近くの店舗の情報を知る、など)

大昔はテレビ・新聞・雑誌そして広告、それだけしか情報源がなく、広告で購買行動が激しく動かされていた時代がありましたが、今は相対的に価値が下がっています。

例えば、大量ご発注してしまった小売店舗がSNSで悲鳴を上げたら周囲の人が買ってくれた、或いは、TVCMでは問題なかった表現がSNSでは炎上した、など、商品がどのようなストーリーで受け入れられるか?という設計が重要になってきました。浅はかなアイデアは通用しないということです。

nlab.itmedia.co.jp

kakeru.me

自動化

Amazonのレコメンデーションエンジンが凄い、というのも7-8年位前から言われていることでしょうか?

小売店舗の店主が一人一人の客の顔を覚えて推薦する商品を決める、という作業は大規模になると追いつきませんが、統計処理であればそれが可能になります。

  • チャットボット
  • Web接客ツール
  • マーケティングオートメーション
  • レコメンデーションエンジン

マーケティングオートメーションはまだまだ実態として人間がシナリオ設計をしていることもありますが、データベース上で明確なゴールを決められる場合には、途中のスコアリングを回帰分析なりディープラーニングなり色々な手法で自動化することもできるでしょう。

チャットボットの事例としては、ヤマト運輸の配送問い合わせが有名ですが、ある程度定型的な問い合わせをチャットボットで済ますことで、コールセンターでの初歩的な質問を削減する、というのは必要な企業にとっては導入した方が良いものだと思われます。

今までできなかったOne to Oneマーケティングがテクノロジーでできるようになる、というのはとても良いことだと思います。「デジタルで顧客体験を向上する」という思想はこの先も進化しサービスが増えていくでしょう。広い意味では電子決済もテクノロジーによる顧客対応の向上です。

news.botandegg.com

liskul.com

まとめ

幾つかの方向性の異なる技術の進化が「デジタルマーケティング」と総称されています。どれも重要な変化ですが、ものによっては導入にコストがかかりますので、先ずは解決したい経営課題が何なのか?からの逆算と、夫々の技術で何がメリットになるのか’?を常にアンテナをはっておくことが重要でしょう。

特に、広告代理店界隈の人は「マーケティング」という言葉を「宣伝・プロモーション」とほぼ同義で使うケースがあるので注意が必要です。例えば、楽天ポイントの経済圏に入って顧客を増やす、という施策もマーケティングです。売れる仕組みを作ることがマーケティングですから、施策は限定されていないのです。


デジタルマーケティングに関する参考書

DMPについて

アドテクノロジーの教科書 デジタルマーケティング実践指南

アドテクノロジーの教科書 デジタルマーケティング実践指南

マーケティングオートメーションなどがBtoBマーケティングについて

コミュニティやコンテンツマーケティング

ECについて。ややデジタルマーケティングからは外れるが活用するためには前提として必要

デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(MarkeZine BOOKS)

デジタルマーケティングで売上の壁を超える方法(MarkeZine BOOKS)

カスタマーエクスペリエンス系。調査手法よりの話が多いが顧客体験価値向上を意識しておかないとデジタルマーケティングで何を実現すべきか?の視野が狭くなる。

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

売上につながる「顧客ロイヤルティ戦略」入門

デジタルマーケティングにおける組織の意思決定 。結局スーパーマンはいないので本書の指摘するようなチームワークが重要になってくる。

日清食品のアオハルシリーズはマスマーケティング時代のクリエイティブという印象が強い

先日「サザエさん編」が公開された日清食品のアオハルシリーズ(或いはハングリーデイズシリーズ)が個人的に 苦手 です。

news.mynavi.jp

嫌いな人の声

xn--h9jepie9n6a5394exeq51z.com

  • ハイジ編

matome.naver.jp

omoson.com

一言で言うと 原作と余りにも違い過ぎる のが嫌われる理由でしょうか。

制作側の気持ちもわかる

とは言え、原作者サイドも許諾を出していますし、

nlab.itmedia.co.jp

恐らくこういうIFも好きな人は好きでしょう。声優も豪華ですし絵の描き込みも綺麗ですね。

原作無視とは別の課題として「昔の広告」という感じがする

原作と設定も絵の印象も違うということも苦手なのですが、もう一つ 価値観が古い という点がこのシリーズの嫌悪感の理由の一つのような気がします。

劣等感に対する決めつけ

  • 読者モデルのクララが人気者でハイジがそれに劣等感を頂いているという設定
  • ハイジが劣等感を抱いているという前提で、それでもハイジが好きだというペーターが良い人に見えてしまう設定

いつの時代の空気感でしょうか?

今日日の高校生ならハイジは最初から劣等感を抱いていない と思います。

青春といえば恋愛という短絡思考

3作品ともテーマが恋愛ですが、青春ってそれだけなんでしたっけ?

例えば、ハイジが勉強家にクララがスポーツ少女に進化して高校生活をエンジョイしていたら、”2人とも苦手分野を努力して成長したんだなぁ ”と思うでしょうし、その2人が協力して文化祭や体育祭或いなど青春のワンシーンも幾らでも描けそうです。

恋愛がメインテーマではない原作に恋愛要素を入れてしまったから原作の雰囲気が崩されたと感じるファンが多いのだと思います。もっと違う「青春」を描けば、炎上も減ったのではないでしょうか?

決めつけが多いマスマーケティング時代のクリエイティブ

サントリーの炎上したPR動画はもっと上の世代の価値観でしょうか?地方に行って美女とワンチャンあると思うのはバブル時代に海外で女遊びをした世代の価値観なのだろうと思います。

www.huffingtonpost.jp

資生堂も「女は頑張っているように見えないようにせよ」という価値観もなかなか上の世代の価値観だと思われます。

nlab.itmedia.co.jp

その他にも炎上CMは沢山ありますが、ここで喝破されているように「おじさん」的な価値観の表現です。

www.itmedia.co.jp

多くの普通の大衆にとってオジサン的な価値観は一般常識であって、TVCM用の表現としては正解なのだと思います。 インターネット上では炎上していても職場では全く炎上していなかったり、寧ろ炎上記事に対して大袈裟だと反応する人の方が多かったりするかもしれません。 ネットのマイノリティのトライブで炎上しても販売に影響する程のことではないのです。

とはいえ、 一人一人にパーソナライゼーションされたメッセージを届けたい というデジタルマーケティングの時代にいつまでもこのような表現を続けるのは社会的にも企業姿勢としても限界が来る手法なのだろうなと思います。

そういう時代になって欲しい という私の願望なのかもしれませんが)

こういうのを見たい

因みにTogetterの中に共感するコメントがありました

togetter.com

いやー、中島くんとカツオくんが大きくなっても一緒にカップラーメン食べてたり、久々にあってモジモジしてたけどキャッチボールして急に10年のブランクを乗り越えて一緒にカップラーメン食べて終る、とか、そういうのだったら凄く泣けますよね。もう設定を聞いただけで涙が出そうです!

Rで時系列データをクール単位で集計する

過去何度か時系列のエントリーで「xts」が便利だと書いて居たのですが、日足データを月次にすることはできてもクール単位に集計する便利な関数がない、ということに気が付き色々調べました。

事例としてJEITAの「民生用電子機器国内出荷統計」を使ってみます。

ダウンロード先はこちら http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/shipment/

データのクオーター化

データについて

上記サイトから集めたデータは以下のような形をしています。

df <- read.csv("data.csv",header=T)
head(df)

このように右向きに時系列のデータが並んでいます。

              商品名     種別 X1月 X2月 X3月
1         薄型テレビ     合計  416  579  508
2         薄型テレビ 29型以下  103  147  180
3         薄型テレビ 3036144  207  160
4         薄型テレビ 3749114  157  112
5         薄型テレビ 50型以上   54   69   56
6 ブルーレイディスク     合計  216  272  272
7 ブルーレイディスク レコーダ  169  224  208
8 ブルーレイディスク プレーヤ   47   48   64

データの抜粋

このうち薄型テレビの合計だけを取り出します。 列名でデータを抜き出す為に「dplyr」を使います。

library("dplyr", lib.loc="C:/hogehoge/R-3.4.1/library")
dat <- df %>%
  dplyr::filter(商品名 == "薄型テレビ" & 種別 == "合計")
head(dat)
      商品名 種別 X1月 X2月 X3月 X4月 X5月 X6月
1 薄型テレビ 合計  416  579  508

ts型にするために

時系列にするためts型にしますが、先ず横向きに並んだデータでは上手く認識しませんので転置します。

head(t(dat))
       [,1]        
商品名 "薄型テレビ"
種別   "合計"      
X1月   "416"       
X2月   "579"       
X3月   "508"       
X4月   "309"  

最初の2行は数値ではないので、3行目からのデータを使います。

head(t(dat[1,3:ncol(dat)]))
       1
X1月 416
X2月 579
X3月 508
X4月 309
X5月 345
X6月 456

ts型にする

今回のデータは2014年1月からの月次データでしたので、スタートは2014,1、頻度は12ということになります。

dat_t <- ts(t(dat[1,3:ncol(dat)]),start = c(2014,1),frequency = 12)
print(dat_t)

自動的に月名が割り当てられます。 なおデータフレームではないので「print」でデータ確認します。

     Jan Feb Mar Apr May Jun Jul Aug Sep Oct
2014 416 579 508 309 345 456 395 305 515 337
2015 392 445 627 339 322 421 364 330 353 371
2016 348 381 510 334 350 332 374 325 374 352
2017 305 362 498 337 329 355 290 297 357 

ts型のグラフはts.plotで確認できます

ts.plot(dat_t)

f:id:yyhhyy:20171112175845p:plain

四半期(クオーター)データにする

「aggregate」関数を使います。 四半期データは3ヶ月ごとのため、 12ヶ月単位のデータを4分割することになります。

また、合計値にしたいためファンクションは「sum」を選びます。

dat_t_q <- aggregate(dat_t,nfrequency=4,FUN=sum)
print(dat_t_q)

クオーター単位に合計されています。

     Qtr1 Qtr2 Qtr3 Qtr4
2014 1503 1110 1215 1662
2015 1464 1082 1047 1529
2016 1239 1016 1073 1420
2017 1165 1021  944  

四半期データのグラフになりました。

f:id:yyhhyy:20171112180012p:plain

データフレームにする

データフレームにすると残念ながらts型で割り振ってくれた名称が消えてしまうため、データフレームにするには、時系列パートの列名が必要になる。 1

列名の元となるデータを用意する

dmn_1 <- c("2014年","2015年","2016年","2017年")
dmn_2 <- c("1Q","2Q","3Q","4Q")

組み合わせて結合する

for分を使って上記の組み合わせを作ります。 空のデータフレームを用意してrbindしていくことと、stringrパッケージを使って文字列を結合することがポイントです。

library("stringr", lib.loc="C:/hogehoge/R-3.4.1/library")
dmn <- as.data.frame(NULL)
for(i in 1:4){
  for(j in 1:4){
    dat <- str_c(dmn_1[i],dmn_2[j],sep='', collapse=NULL)
    dat <- as.data.frame(dat)
    dmn <- rbind(dmn,dat)
    dat <- NULL
  }
}
head(dmn)
            dat
1 2014年1Q
2 2014年2Q
3 2014年3Q
4 2014年4Q
5 2015年1Q
6 2015年2Q

ただし、今回のデータは2016年の3Qで終了ですので、数を絞る必要があります。 一度転置させないといけません。

dmn <- t(dmn)
TIME_dmn <- dmn[1:14]
head(TIME_dmn)
[1] "2014年1Q" "2014年2Q"
[3] "2014年3Q" "2014年4Q"
[5] "2015年1Q" "2015年2Q"

列名を使ってデータをデータフレーム化

先程用意した列名を使いながら、時系列データをデータフレーム化します。

dat_q <- data.frame(TIME=TIME_dmn,薄型テレビ_合計 = c(dat_t_q))
head(dat_q)
           TIME 薄型テレビ_合計
1 2014年1Q            1503
2 2014年2Q            1110
3 2014年3Q            1215
4 2014年4Q            1662
5 2015年1Q            1464
6 2015年2Q            1082

同様のことを複数データに行う

クオーター化を関数化

一連のデータフレームへの変化までを関数にします。

※列名は関数外です。

tv_goukei_func <- function(x){
  dat <- df %>%
    dplyr::filter(商品名 == "薄型テレビ" & 種別 == "合計")
  dat_t <- ts(t(dat[1,3:ncol(dat)]),start = c(2014,1),frequency = 12)
  dat_t_q <- aggregate(dat_t,nfrequency=4,FUN=sum)
  dat_q <- data.frame(TIME=TIME_dmn,薄型テレビ_合計 = c(dat_t_q))
  return(dat_q)
}

同様に、サイズ別のデータ用の関数も作ります

tv_goukei_func <- function(x){
  dat <- x %>%
    dplyr::filter(商品名 == "薄型テレビ" & 種別 == "合計")
  dat_t <- ts(t(dat[1,3:ncol(dat)]),start = c(2014,1),frequency = 12)
  dat_t_q <- aggregate(dat_t,nfrequency=4,FUN=sum)
  dat_q <- data.frame(TIME=TIME_dmn,薄型テレビ_合計 = c(dat_t_q))
  return(dat_q)
}

tv_29_func <- function(x){
  dat <- x %>%
    dplyr::filter(商品名 == "薄型テレビ" & 種別 == "29型以下")
  dat_t <- ts(t(dat[1,3:ncol(dat)]),start = c(2014,1),frequency = 12)
  dat_t_q <- aggregate(dat_t,nfrequency=4,FUN=sum)
  dat_q <- data.frame(TIME=TIME_dmn,薄型テレビ_29型以下 = c(dat_t_q))
  return(dat_q)
}

tv_30_func <- function(x){
  dat <- x %>%
    dplyr::filter(商品名 == "薄型テレビ" & 種別 == "30~36型")
  dat_t <- ts(t(dat[1,3:ncol(dat)]),start = c(2014,1),frequency = 12)
  dat_t_q <- aggregate(dat_t,nfrequency=4,FUN=sum)
  dat_q <- data.frame(TIME=TIME_dmn,薄型テレビ_30_36型 = c(dat_t_q))
  return(dat_q)
}

tv_37_func <- function(x){
  dat <- x %>%
    dplyr::filter(商品名 == "薄型テレビ" & 種別 == "37~49型")
  dat_t <- ts(t(dat[1,3:ncol(dat)]),start = c(2014,1),frequency = 12)
  dat_t_q <- aggregate(dat_t,nfrequency=4,FUN=sum)
  dat_q <- data.frame(TIME=TIME_dmn,薄型テレビ_37_49型 = c(dat_t_q))
  return(dat_q)
}

tv_50_func <- function(x){
  dat <- x %>%
    dplyr::filter(商品名 == "薄型テレビ" & 種別 == "50型以上")
  dat_t <- ts(t(dat[1,3:ncol(dat)]),start = c(2014,1),frequency = 12)
  dat_t_q <- aggregate(dat_t,nfrequency=4,FUN=sum)
  dat_q <- data.frame(TIME=TIME_dmn,薄型テレビ_50型以上 = c(dat_t_q))
  return(dat_q)
}

関数を順番に適応

これらの関数をデータに適応しデータフレームに結合します。

df_tv_goukei <- tv_goukei_func(df)
df_tv_29 <- tv_29_func(df)
df_tv_30 <- tv_30_func(df)
df_tv_37 <- tv_37_func(df)
df_tv_50 <- tv_50_func(df)

df_q <- dplyr::full_join(df_tv_goukei,df_tv_29)
df_q <- dplyr::full_join(df_q,df_tv_30)
df_q <- dplyr::full_join(df_q,df_tv_37)
df_q <- dplyr::full_join(df_q,df_tv_50)
head(df_q)
           TIME 薄型テレビ_合計 薄型テレビ_29型以下 薄型テレビ_30_36型
1 2014年1Q            1503                   430                    511
2 2014年2Q            1110                   336                    323
3 2014年3Q            1215                   321                    411
4 2014年4Q            1662                   457                    524
5 2015年1Q            1464                   536                    447
6 2015年2Q            1082                   330                    328

グラフ化

ggplot2を使います

library("reshape2", lib.loc="C:/hogehoge/library")
library("ggplot2", lib.loc="C:/hogehoge/library")

日本語の列名は時にggplotで時系列の順番が狂いますので、reorderを使って並べ替えます。 そのために番号を先ず振ります。

df_q$num <- rep(1:nrow(df_q))

今回はfacet_wrapで種類別にし、凡例の位置をtiopへ、また塗りつぶしの色を手動で指定しています。

df_q_m <- melt(df_q,id.vars = c("TIME","num"))
head(df_q_m)
g <- ggplot(df_q_m,aes(x=reorder(TIME,num),y=value,group=variable,fill=variable))
g <- g + theme_classic()
g <- g + geom_bar(stat = "identity",position = "stack")
g <- g + facet_grid(variable~.)
g <- g + geom_text(aes(x=reorder(TIME,num),y=value,label=value),vjust=-0.5)
g <- g + scale_y_continuous(labels = scales::comma,limits =c(0,2200))
g <- g + ylab("")
g <- g + xlab("")
g <- g + ggtitle("薄型テレビ量販店四半期販売台数数位")
g <- g + scale_fill_manual(values = c("brown4",
                           "deepskyblue4",
                           "deepskyblue3",
                           "deepskyblue2",
                           "deepskyblue1"))
g <- g + theme(legend.position = "top")
g <- g + theme(axis.text.x = element_text(angle = 45, hjust = 1,size=6))
plot(g)

グラフを保存します

ggsave(plot=g,filename = "g-3.png",scale=2,height = 2.5,width = 5)

f:id:yyhhyy:20171112190139p:plain


  1. ほんとはもっとスマートな手法があると良いのですが。。。

セミプロの時代

最近ライブコマースが熱いのに知らないの? という同僚からの煽りと、 プロゲーマーは競技系だけではないぞ? という趣旨のツイートを見て、 セミプロの時代 が本格的に来たんだなと思いました。

比較的最近のセミプロ

ライブコマース

個人が通販をするようなものです。

Candeeさんは100本動画作るよ!とか起動力のある会社ですが、会長が國光さんなんですね。 元は映像制作会社のプロデューサーだったのですがアグレッシブにいつの間にか時代の寵児です。

jp.techcrunch.com

ゲームアプリでも東大発ベンチャーで有名なところがありますが、最近の東大生は起業家精神がありますね。 jp.techcrunch.com

実況

これはワザワザ引用せずともみんなご存知でしょう

  • ゲーム実況(ニコ生/Youtube
  • 商品紹介(Youtuber)

ライブ的な消費形態として紹介されることが多いですが、これも視点を変えれば「セミプロ」です。 過去はファミ通のプロのライターがゲームの評価を下していましたが、今は個人のプレイを見れば良いんです。

個人のラジオのような配信

ラジオパーソナリティのようなものもプロだけでなくセミプロが活躍しています。

  • TwiCas
  • MixCannel

因みに私は夜中に個人のカラオケを聴くのが趣味です。

もっと色々、セミプロが活躍するものはあります

比較的この数年の動きとしては、以下のものがセミプロが活躍している分野です。

  • 先生(Schoo)
  • 宿泊(AnB)
  • 運転(Uber

AnBやUberはテクノロジーやシェアリングエコノミーの文脈で語られることが多いですが、個人がプロと同じようなことをしている、という視点でも捉えることが可能でしょう。

もっと大きな流れとして捉えたい

昔から「セミプロ」は存在する

実は随分昔からセミプロはありました。

  • 口コミサイト:プロの評価を集めた本や雑誌から個人のレビューサイトへ
  • ブロガー:プロのライターから個人のライターへ
  • 読モ:最近はもはやタレントや事務所所属してる人も多いですけど元は読者です。

特に小説・音楽の分野は進化が早い

比較的古い記事を探してみました。

diamond.jp

電子書籍ブームというのがありましたね。

そして今では「なろう」から普通にアニメ化されていきます。ちょっとバブリーな感じもありますが。

matome.naver.jp

その昔、 ケータイ小説 というのがあったのを覚えていますでしょうか?

matome.naver.jp

2chのスレッドが本になり映像化され、という頃には全くその意識がありませんでしたが、 この頃からコンテンツを作るのが、プロだけでなく、アマチュアが増えました。

所謂、「P」という人達もセミプロです。本職は別にあります。音のクオリティもプロの方が高いです。 演奏してみたシリーズも未だに人気ですね。

中央集権的な信用から個人に信用がスライドしている

10年前、Wikipediaの新興に関連して当時随分と売れた本があります。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

つまり これからは集合知 という話しです。そして今は ブロックチェーンによる非中央集権的信用 へと進歩しています。

www.businessinsider.jp

プロが介在しない個人間取引というものは危険がつきものですが、いずれ技術が解決してくれることでしょう。

matome.naver.jp

ウーバーイーツもローンチ初期ほどトラブルは聞かなくなりましたね。

プロの提供するものからセミプロの提供するものへ

アニメが某映画作品によって2兆円市場になりました!とは言うものの全然プロは儲かっていません。

www.nhk.or.jp

この番組では下請け構造に焦点を当てたようですが、実態はそういうことではなくて、そもそも制作費はたいして増えていないのです。

jp.ub-speeda.com

一方でセミプロの市場は順調です。遂にアニクラは製作者への還元を始めたようですが、こういったセミプロのアニソンDJの周りにファンがついて消費をしています。

getnews.jp

今後のメインのモデルはアメブロ方式ではない。

ブログが流行った時にアメブロはタレントのブログを用意することでPVを稼ぎました。しかし今後はプロではなく セミプロ をどれだけ集められるか?が重要だと考えます。

ライブコマースもタレントを使うところ使わないところがあります。一部のタレントはファンがつくかもしれませんが、恐らくメインストリームはセミプロを沢山抱えるところになると思います。

gaiax-socialmedialab.jp

セミプロとプロの距離感の違い

作家がこれから食えなくなるだろう、と電子書籍で言及されたとき、今後はファンイベントで稼ぐしかない、と指摘している人が居ました。

音楽の文脈ではモンティ・パイソンのように直でファンとコミュニケーションしてグッズを売れと指摘している人が居ました。

ライブ型消費とよく言われますが、 身近な存在であるかどうか? の方が大きいのではないか?と思います。

実況主にファンがついてイベントするような市場規模のセミプロとファンというセミプロ市場が広がっていくでしょう。

かつてAKB48が目指したこの距離の市場が色んな分野に広まって行くのだと思います。

matome.naver.jp

ぶっちゃけ歌ってみたの人よりプロの歌手の方が上手いのです。それでも歌ってみたにファンがつくのです。

広告業界はどうするのか?

個人と個人の信頼関係に「ペイド」はあわない

読者モデルには商品を持たせて、タイアップ広告をしました。

ブロガーには商品を渡してレビューをして貰いました。

しかし、セミプロとファンの間の信頼関係に企業が金の力で入ってくることが今後も受け入れられるとは思えません。

みのもんたモデルはもう来ない

みのもんたが紹介したら商品が売れる、というレガシィなモデルの時代がありました。

matome.naver.jp

プロ ⇔ 大衆

という関係は、テレビの一方方向なコンテンツを楽しむレガシィな世代の消費と信用関係だと思われます。

もうご存知の人は少ないと思いますが、嘗ては、「新聞の広告はテレビより信用される」と広告業界では実しやかに言われていましたが、 今は新聞やマスメディアへの信頼は当時より低下し、権威のあるメディアだから信用できる、という構造ではなくなっています。

セミプロ ⇔ ファン

こういうビオトープがあちこちにできることでしょう。

健康食品販売が寧ろ近い

健康食品が高齢者にウケるのは健康への不安もありますが、家族より親身に話し相手になってくれる販売士に会いに行っているのです。

流石に何も買わないでセミナーに毎日行くのは悪いですよね?強制されなくても買ってしまうのは仕方がないことだと思います。

セミプロが紹介したくなる商品が売れる

身も蓋もない話ですが、セミプロが紹介したくなる商品が売れるということです。

例えば、けものフレンズが売れた理由は幾つもありますが、宣伝してなかったのにみんなが存在に気がついたのは、 「すご~い」「やった~」 などの広まり易いワードが極めて重要だったと思います。

animereal.hatenablog.jp

matome.naver.jp

「せっかく泣ける良い映像を作ったのに売れない!」などということはザラにあります。でも セミプロが紹介したくなる 要素がないとなかなかヒットしないのです。

今後アドマンは、 セミプロが紹介したくなるストーリー を作る能力が重要になってくるでしょう。


話は変わって、宣伝です。

今日、志村貴子原画展に行ってきました。

shimuratakako.gengaten.com

青い花」はほんと良い話なんでみんな是非見て下さい。

こういう地味だけど良い作品というものが紹介されやすくなるにはどういう仕掛けがあればいいんでしょうか?

だれか教えて下さい。

これからの広告・マーケティングビジネスの行方

マス広告が効かなくなったと言われ、デジタル広告がテレビ広告を抜く、という予測がある。

markezine.jp

しかし総合広告代理店は未だにテレビ広告に依存するビジネスモデルから脱却できず、デジタル広告分野ではコンサルティングファームに売上を掠め取られているのが現状だ。

toyokeizai.net

そこで、「マス」VS「デジタル」という対立軸に’ついて別の観点から整理し直したいと思う。

マス広告依存

マス広告依存から抜け出せない理由

例えば、日本全国規模でテレビスポットを1週間で打つと2億はかかる。逆に広告代理店側から見ると、プランニングと実施と報告で頑張るだけで2億の売上になる。例え競争入札で値引きをしていたとしても 人件費 はたいしてかからない。

一方で、デジタル広告で2億売り上げるのにはどれくらいかかるだろうか?

例えば、テレビスポットの補完としてWeb広告を打つと凡そテレビの10~15%を配分するのが適切だと業界内では言われている。すると、1キャンペーン辺りで2億×10~15%で、2000~3000万である。仮にスポットの後も暫くWeb広告を出稿するとしてもやはり1年くらいはかけないと2億円の売上にはならない。

そしてデジタル広告の場合は、何らかの成果をWeb上で測定できることが多いため、ターゲティングの見直しやクリエイティブの見直しを毎週単位で行う。その間、トレーディングデスクの人件費、マーケッターの人件費、営業の人件費が発生する。

殆どの広告代理店は人間だけが資産であり、 単位時間あたりの売上を増やさない限り売上は伸びない という構造になっている。 そのままである以上、手離れのよいマス広告依存から逃れることはできない

今の総合広告代理店は大手企業しか相手にしていない

マス広告に依存した結果、社会には歪が出ている。

マス広告を打つことに経済的メリットが発生する大企業だけが、総合広告代理店に相談することになり、中小企業や資本関係のないスタートアップなどは全てゼロから自前で手探り状態である。

毎月、LINE@アカウントを運営し、SNSを運営する、という企業は、相談相手がいない。

残念ながらデジタル広告専業の代理店であっても、 人件費がネック である以上、この構造は変わらない。

「マス VS デジタル 」という視点の脱却

マス VS デジタル ではなく、パレートの法則 VS ロングテール

「売上の8割は2割の顧客が提供する」というパレートの法則以外の可能性が指摘されて久しい。

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

フリー 〈無料〉からお金を生みだす新戦略

*1

アマゾンは少ししか売れない商品も確保することで売れ筋しか置けない店舗型の書店を駆逐した。

ロングテールビジネスの広告・マーケティングビジネス

実は既に「ロングテール」方式の広告・マーケティングビジネスがある。だがその前に「広告ビジネス」の概念を広げて俯瞰しなければならない。

広告・マーケティングの市場とは何か?

広告業界の社会的役割を俯瞰でみると、 生産者と消費者間の情報の偏りを是正していく ということである。

  • 「こんなに良い製品なのに誰もしらない」という課題を解決し、
  • 「こんな商品あったんだ!」という課題を解決する。

全てはこれに集約される。

  • ペイド広告
  • 自社メディア運営
  • ソーシャル上でのコミュニケーション
  • CRM
  • キャンペーン
  • 優良顧客のプレミアムなイベント
  • チャットボット
  • etc...

手段は違えどやっていることはたったその2つだけだ。

実は広告代理店というのは媒体の買付以外の仕事も沢山ある。調査もするしイベントもするしWebサイトも作る。

ロングテールの広告・マーケティングビジネス例
Web接客ツール

WebサイトをOne to Oneで改善しようとするものだ。

既に会員登録した人とそうでない人、店舗型であれば店主が顔を覚えていて、ご新規さんと顔馴染み客とで対応を変えるものだが、それをWebサイト上でも実現するものだ。

liginc.co.jp

チャットアプリ

チャットアプリはチャットアプリと認識していると潜在的価値を見過ごすことになる。中国ではWeChapでチケット手配もできる。広告主と生活者をサービスで繋ぐことができるのだ。*2

marketing.itmedia.co.jp

クリエイティブ制作支援
  • ロゴ作成
  • 動画作成

ferret-plus.com

markezine.jp

この分野はまだまだ実用段階にはないもの、Adobeのツールが年々進化するのを見ると、クリエイティブ制作もいずれ職人からツールを使って夫々がそこそこのものを作る、という時代になるだろう。

人件費をテクノロジーで解決する

AIによって失業する人が生まれる、という見込みがある。裏を返せばテクノロジーが人間の代理をしてくれる時代である。

サブスクリプションで中小企業にマーケティング支援ツールを提供できるようにならなければ、広告代理店の業態転換は難しいだろう。


チャットアプリに関連して、FinTechという世界ではテクノロジーが変える未来様子が伺える。

フィンテック (日経文庫)

フィンテック (日経文庫)

*1:「面白い」と言っては失礼だが、フリーミアムの本を出した米国の出版社は倒産した、という噂がある。この本はロングテールについてはわかり易く説明してあるが、フリーミアムモデルという考え方は情勢を見誤っているのでそこを割り引いて読んで欲しい

*2:LINEも当然同じことができるが今は導入コストが高く大手企業向けである

成熟した社会に於けるブランド

「ブランドとは何か?」と尋ねられると多くの人が、牛の焼印の話をするだろう。 そして、その次はブランドエクイティなどの話をして、ブランド力は価格に添加できるものだ、という話になる筈だ。

ところで、これはいつまで通用するモデルなのだろうか?

フェラーリはチューリップではないか?

ブランドの代表例としてフェラーリを挙げる人は居るだろう。フェラーリは広告を一切しないのにブランド力がある、と言われる。しかし一方で、フェラーリの何が一体魅力であるか知っている人は居るだろうか?

  • 赤色がいい
  • スポーツカー
  • 何かカッコイイ

フェラーリときいて連想するのはそんなところではないかと思う。

しかし、このいずれもが 「みんなが良いと言っている」 に過ぎない価値である。 ボルボであれば「頑丈である」という機能的価値がある。 トヨタであれば「燃費が良く、故障が少ない」という機能的価値がある。 しかし、「赤色」や「スポーツカーの流線型」などの感覚的価値は機能的価値と異なって、「みんなが良いと言っている」という周囲の評判に支えられているに過ぎない。

昔、「チューリップバブル」というものが存在した。

何故か急にチューリップが人気になり、チューリップの相場があがり、そして下落した。 「みんなが良いと言っている」おかげで、機能的価値は微塵も変わらないまま値段が上がった。

私には、起きている現象がフェラーリもチューリップも同じに見える

大衆が消えつつある

マス広告が効かなくなってきた、と言われ始めたのはもう10年前だ。

その頃から、ラジオ/新聞は高齢者向けメディアに変わり、 テレビは未だ圧倒的なマスメディアではあるが以前ほどには若者に力はない。

価値観が多様化した結果、若者みんながスキー場に行く時代から、野外フェスに行く人、スポーツ観戦に行く人、社会貢献活動をする人、など様々に分散した。

「みんなが良いと言っている」ということの価値が相対的に重要ではなくなってきた。

流行語大賞も本当に流行したのかどうか、なんだかよくわからない、という言葉が増えたのではないだろうか?

「ブランド」はどうなるのか?

マスメディアを見ない人が増えても、大量消費社会が終わっても、広告業界は困らない。

ニッチなメディアに広告をし、ターゲティングした相手に適切なメッセージを与えられば心は動く。 効率的なマス広告の売上が減った分、手間が増えて利益率は下がるかもしれないが、 情報の伝達が必要である以上、広告は必要であり、仕事はなくならない。

しかし、「みんなが良いと言っている」という価値がなくなったとき、「ブランド」はどうなるのだろうか?

例えばiPhoneの寿命

iPhoneはデビュー当初圧倒的に見えた。Androidはすぐに登場したが初期のGalaxyは酷い挙動であった。 ところが、Galaxyはデザイナーも刷新して売れるようになり、巨大マーケットの中国ではXiaomi、Huawei、OPPOなどが勢力を伸ばした結果、Androidはシェアを順調に伸ばしている。

www.kantarworldpanel.com

日本では何故か韓国嫌い・中国嫌いが多いこととWikoのような企業が現れないためか、未だにiPhoneがブランド力があるが 世界的な流れを見ると時間の問題だろう。

「みんなが良いと言っている」だけで機能的価値がないものはブランドにならない。

Googleの「リスティング広告」という概念は革命的であった

リスティング広告というのは、興味が顕在化した人だけを狙うという広告である。 「知って欲しい人にだけ知って貰えばいい」という画期的な広告システムであり、今のターゲティング広告というものは全てこのリスティングから始まっている。

一方で、レガシィな広告代理店は、大衆向けの広告を作ることだけを長く仕事としてきたため、未だにこの発想に追いついていない。

知って欲しい人だけが知っていれば良い商品に対して、「みんな」にウケるように全然異なるコミュニケーションをしてしまう。 著名なタレントを映画の吹き替えタレントに使ってマスメディアの露出をはかる、という手法は変わらない。

「みんな」からの脱出

嘗て、「みんな」というワードは強力だった。

  • 「みんな」が欲しいファミコンが欲しい。
  • 「みんな家を買う」から家を買う。
  • 「みんなトレンディドラマを見る」

しかし今はそういう消費はしない。

例えばゲームの場合

今は「みんなが欲しい」からゲームを買うのではない。 「友達が参加してるからこのソーシャルゲームをやると一緒に楽しめる」からそのソーシャルゲームを選ぶのだ。 単独で黙々とやるゲームを「みんなが欲しがっているから」というだけの理由ではもう買わない

「ブランド=イメージで売ること」という発想をやめる

今の時代、売れているものには理由がある。「みんなが良いと言っている」では売れない。

みのもんたがテレビで紹介したら殺到し、何となくそれを見て買う人が更に殺到する、などというモデルは通用しない。 未だにそんなことを戦略PRだと称しているPR屋もどきがいたら、今すぐやめた方がいい。 バズは一過性でしかない。

「あの商品はブランドがあるからなぁ」と漠然としたことを言う人がいたらその人は思考が20世紀で終わっている。

「何故その人は買ったのか?」を考察するように問いを与えるべきだ。 何かしら機能的価値か、或いはその人にとって特別な理由があって買っている。

「みんなが欲しがっているよ!」という空気を作ろうとする広告クリエイティブは、今後みかけることは減っていくだろう。