成熟した社会に於けるブランド
「ブランドとは何か?」と尋ねられると多くの人が、牛の焼印の話をするだろう。 そして、その次はブランドエクイティなどの話をして、ブランド力は価格に添加できるものだ、という話になる筈だ。
ところで、これはいつまで通用するモデルなのだろうか?
フェラーリはチューリップではないか?
ブランドの代表例としてフェラーリを挙げる人は居るだろう。フェラーリは広告を一切しないのにブランド力がある、と言われる。しかし一方で、フェラーリの何が一体魅力であるか知っている人は居るだろうか?
- 赤色がいい
- スポーツカー
- 何かカッコイイ
フェラーリときいて連想するのはそんなところではないかと思う。
しかし、このいずれもが 「みんなが良いと言っている」 に過ぎない価値である。 ボルボであれば「頑丈である」という機能的価値がある。 トヨタであれば「燃費が良く、故障が少ない」という機能的価値がある。 しかし、「赤色」や「スポーツカーの流線型」などの感覚的価値は機能的価値と異なって、「みんなが良いと言っている」という周囲の評判に支えられているに過ぎない。
昔、「チューリップバブル」というものが存在した。
何故か急にチューリップが人気になり、チューリップの相場があがり、そして下落した。 「みんなが良いと言っている」おかげで、機能的価値は微塵も変わらないまま値段が上がった。
私には、起きている現象がフェラーリもチューリップも同じに見える
大衆が消えつつある
マス広告が効かなくなってきた、と言われ始めたのはもう10年前だ。
明日の広告 変化した消費者とコミュニケーションする方法【電子書籍】[ 佐藤 尚之 ]
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その頃から、ラジオ/新聞は高齢者向けメディアに変わり、 テレビは未だ圧倒的なマスメディアではあるが以前ほどには若者に力はない。
価値観が多様化した結果、若者みんながスキー場に行く時代から、野外フェスに行く人、スポーツ観戦に行く人、社会貢献活動をする人、など様々に分散した。
「みんなが良いと言っている」ということの価値が相対的に重要ではなくなってきた。
流行語大賞も本当に流行したのかどうか、なんだかよくわからない、という言葉が増えたのではないだろうか?
「ブランド」はどうなるのか?
マスメディアを見ない人が増えても、大量消費社会が終わっても、広告業界は困らない。
ニッチなメディアに広告をし、ターゲティングした相手に適切なメッセージを与えられば心は動く。 効率的なマス広告の売上が減った分、手間が増えて利益率は下がるかもしれないが、 情報の伝達が必要である以上、広告は必要であり、仕事はなくならない。
しかし、「みんなが良いと言っている」という価値がなくなったとき、「ブランド」はどうなるのだろうか?
例えばiPhoneの寿命
iPhoneはデビュー当初圧倒的に見えた。Androidはすぐに登場したが初期のGalaxyは酷い挙動であった。 ところが、Galaxyはデザイナーも刷新して売れるようになり、巨大マーケットの中国ではXiaomi、Huawei、OPPOなどが勢力を伸ばした結果、Androidはシェアを順調に伸ばしている。
日本では何故か韓国嫌い・中国嫌いが多いこととWikoのような企業が現れないためか、未だにiPhoneがブランド力があるが 世界的な流れを見ると時間の問題だろう。
「みんなが良いと言っている」だけで機能的価値がないものはブランドにならない。
Googleの「リスティング広告」という概念は革命的であった
リスティング広告というのは、興味が顕在化した人だけを狙うという広告である。 「知って欲しい人にだけ知って貰えばいい」という画期的な広告システムであり、今のターゲティング広告というものは全てこのリスティングから始まっている。
一方で、レガシィな広告代理店は、大衆向けの広告を作ることだけを長く仕事としてきたため、未だにこの発想に追いついていない。
知って欲しい人だけが知っていれば良い商品に対して、「みんな」にウケるように全然異なるコミュニケーションをしてしまう。 著名なタレントを映画の吹き替えタレントに使ってマスメディアの露出をはかる、という手法は変わらない。
「みんな」からの脱出
嘗て、「みんな」というワードは強力だった。
- 「みんな」が欲しいファミコンが欲しい。
- 「みんな家を買う」から家を買う。
- 「みんなトレンディドラマを見る」
しかし今はそういう消費はしない。
例えばゲームの場合
今は「みんなが欲しい」からゲームを買うのではない。 「友達が参加してるからこのソーシャルゲームをやると一緒に楽しめる」からそのソーシャルゲームを選ぶのだ。 単独で黙々とやるゲームを「みんなが欲しがっているから」というだけの理由ではもう買わない
「ブランド=イメージで売ること」という発想をやめる
今の時代、売れているものには理由がある。「みんなが良いと言っている」では売れない。
みのもんたがテレビで紹介したら殺到し、何となくそれを見て買う人が更に殺到する、などというモデルは通用しない。 未だにそんなことを戦略PRだと称しているPR屋もどきがいたら、今すぐやめた方がいい。 バズは一過性でしかない。
「あの商品はブランドがあるからなぁ」と漠然としたことを言う人がいたらその人は思考が20世紀で終わっている。
「何故その人は買ったのか?」を考察するように問いを与えるべきだ。 何かしら機能的価値か、或いはその人にとって特別な理由があって買っている。
「みんなが欲しがっているよ!」という空気を作ろうとする広告クリエイティブは、今後みかけることは減っていくだろう。
エア・フランス(エールフランス)の広告を見ると如何にデザイナークリエイターが重要かわかる
最近この広告によくヒットします。自分はテレビが家にないので記事を見ているときにスクロールしていくと映像が流れ出してマウスオーバーすると音が出てくる、というパターンです。
Air France - 自宅にいるようにくつろいで (30s)
しかしこの動画、よくよく考えるととても重要な、日本の広告業界のある種の課題を浮き彫りにしているものでもあります。
訴求内容を抜粋してみる
訴求されている内容を字に起こすと以下です
- 機内についてすぐにゆったりできる/くつろげる
- 一流の料理や和食から好きなものを選べます
- 日本語の機内誌があります(動画内のナレーションは”日本語のエンターテイメント”)
- 寝るときも安心。
- プライバシーが保たれて
- フルフラットのベッド
そして、「自宅のようにくつろげる」という締めのコピー。
ところでこれ、上記の訴求ポイントだけオリエンされたら、めっちゃ辛くないですか??
ナレーションのテキストだけ読むと、たいした差別化ポイントではありません。ファーストクラス(乗ったことないですけど!)であれば、どの航空会社もゆったりしているでしょうし、食事も色々あるでしょう。日本語の機内食があるのかどうかはわかりませんが、あるんでしょう。
このような訴求ポイントのメモ書きを貰って、普通のマーケッターなら頭を抱えるはずです。
思考実験
凡人営業がよく知っている映像制作会社に発注する場合
上記オリエンを貰ったとして、凡人の営業が映像制作会社のプロデューサーにオリエンして作ると、恐らくこんなフィルムになります。
- 機内を実際に撮影して、座席が一番広く映る角度を探し、「くつろげる」「ゆったり」を説明する
- 場合によっては、座席と座席の距離を「__cm」と矢印と共にテロップを映像にのせる。
- 一步頑張って、抽象空間で前の座席と後ろの座席を置いて、当社比で何%も広くしました!と座席の距離を広げるシーンを撮る
- どんなに沢山の料理の種類が選べるか?ジャンル名を並べて文字で圧倒させたり、料理の鮮やかな写真を撮ってスライドショーにする
- 機内誌は日本語版もあるよ!とタレントさんにニコパチさせる
- 寝るときにどうプライバシーが確保されているのかファクトを集めて絵に落とす。
- 何なら、「○○もついて、○○もついて、更に安心!」なんて言っちゃう
etc…
極めて説明的な、フィルムというよりも説明動画になることは用意に想像できます
マーケッターが入ってアドバイスする場合
凡人の営業だけではこなせない!とマーケッター的な人を入れたとします。一般的なアプローチだと以下のようになるでしょう。
- 他社のサービスを確認する
- エア・フランスの差別化ポイントを探す
- 場合によっては乗って確かめてみて何か他と圧倒的に違うところはないか?探す
- ファンの声をソーシャルやアンケートや調査から集めて、何が支持されているか?を改めて調べる。
- 例えば、フルフラットのベッドの寝心地が本当に良いし、支持している人も多い!と判明して、それを全面に出す
- フルフラットベッド訴求メインの動画制作を制作会社にオリエンし、様々な案を作る
訴求対象が一つに絞られたことで映像制作会社もちょっと腕の見せ所が出るでしょう。もしかしたらフカフカの象徴のようなものを探してアナロジーにするかもしれませんし、「家のベッドより快適!」とか、「寝ている間にもう着いちゃった!」みたいな、色んな方向を探って、もしかすると中にはスマッシュヒット動画もあるかもしれません。
しかし、エア・フランスのブランドイメージに残るのは、”なんかベッドが気持ちいいらしい”だけです。
クリエイター的素養の人が必要な理由
クリエイティブディレクター/アートディレクター/デザイナーといった人が入っていたらどうでしょうか?
彼等の中には、営業やマーケッターの持っていない引き出しがあり、訴求ポイントの整理や再解釈といったことに無駄な時間を使わず、この広告のような美しい映像と”あっ、エア・フランスなんか良さそう”というブランドを残せるのです。
- オシャレなカラートーン
- 擬似空間で座席を一つに絞って表現する
- これでくつろげる広さが、ウソですが、伝わります
- コートを投げ捨てて勝手にフックにかかるようなシーン、これもウソですが、自宅のようにくつろげる、を象徴的に表現できています。
- シームレスに繋がったように感じる映像
- 足をぽんと叩くと変わるスリッパ
- 枕とともに倒れ込んだり、かってに布団がかかったり、(最近は凄い撮影技術ですね。)
- 直接的でない表現
- 和食もオーダーできるよ、ということの為に、星型の寿司を窓の外の景色から取り出させる。
- フランス語の機内誌が一瞬で日本語に変わる。
このコンテを思いつけるのはなかなかの才能ではないかと思います。少なくとも営業の私はそう思います。
一級のクリエイターであれば、マーケッターのように訴求ポイントを無理に差別化させたりしなくても、カラートーンで幾らでも魅力的に見せたり、ちょっとしたアナロジーで良い感じに見せたり、という 引き出し が頭の中にあるので、変に訴求ポイントを捻じ曲げることもありませんし、営業のように全部を説明ビデオのようにしてしまうといったブランド破壊行為にも陥りません。
全ての役割をデザイナーに負わせるのは限界がありますが、やはりこういう事例を見るとデザインの素養があるかないか?というのは、今後のマーケティング担当者には避けられないポイントだと感じました。
AIの可能性について
おまけですが、最近こんな記事が話題になりました。
まだまだ本格運用は先なのかもしれませんが、
AIによって人間が勉強する以上の大量の引き出しを持たせる
ということができたら、叩き台やアイデア出しに貢献してくれるのではないでしょうか?
クリエイターの素養がない人にとってはある種、協力な外部の協力者が現れたと考えても過言ではありません。例えば既にテクノロジーが広告代理店マンの作業の代理をしてくれているケースがあります。
クリエイティブな分野でも、ロゴを勝手に作ってくれるサイトだとか、広告賞を勉強してコンテを出せるマッキャンエリクソンのロボだとか、徐々に増えています。人間の手の届かないところ或いは人によっては苦手なところを上手く補完してくれると良いですね。
広告代理店社員にとっての古典
最近広告界隈で非常に良いと思う本に何冊か出会いましたが、どの本をみても言及されている名著・古典というものはあるものです。営業職・マーケッター職・クリエイター職、いずれのセクションの配属であっても、広告主と最低限同じレイヤーで話せなければ相談相手とは思って貰えないので、早々に読んでいた方が良かったなぁと後悔したことがあるものもあります。
広告業界の古典4冊
『オグルヴィ「「売る」広告」』
一般的に言われていることはほぼ全てこの本で網羅されていると言っても過言ではありません。
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「タレントを不用意に使うな、商品をちゃんと売れ」といった、広告主にとっては当たり前のことなのですが、広告代理店側にはミーハーな人やいい加減な人が集まりがちなので、ただ単に好感度は高いけど全く商品が売れることには貢献しない広告クリエイティブというものを作ってしまいがちです。本書で彼が述べていることは常に意識した方が良いでしょう。*1
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という本もあり、この本も刺激的なのですが、有名なビートルの広告についてなど、事例が多いのは『「売る」広告』の方ですので、それの方が実践的かつ優先度は高いです。一方で、30代までは毎日休む間もなく勉強している筈だ!というお言葉は確かこっちの本だったのではないか?と思いますが、休日ちゃんと本を読もう!と思いなおしたのは彼の言葉がきっかけです。
『シュガーマンのマーケティング30の法則』
ダイレクト広告系の人ですが広く応用できる上に、本質的なことは既にこの時代に議論しつくされているのですから、先人の知恵を借りるべきでしょう。
シュガーマンのマーケティング30の法則 お客がモノを買ってしまう心理的トリガーとは [ ジョセフ・シュガーマン ]
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「顧客はまず商品を感覚で納得し、その後に理屈を求める」などは、今や行動経済学のシステム1、システム2などで発見されたことかのように言われていますが、本書で既に述べられています。商品のベネフィットを考えるのは出発点としては重要ですが、感覚的な判断、或いは情報に基づく直観というもので先に買う買わないは決めてしまうので、感性は大事だということです。
例えば、iPhoneは使い易いのだ、洗練されているのだ、と言い張る人は多いでしょうけれど、使ってみると今のAndroidの方がUIは使い易いですし、何よりWindowsと最悪の愛称であるiTuensから解放されるだけでも随分とストレスフリーです。でも多くのiPhoneユーザーにとって、いくら理屈でAndroidをすすめられても、直観的な広告の美しさでiPhoneをスマートに感じている人は、心は動かないでしょう。
『目標による広告管理』
通称、DAGMAR。日本ではややマイナーなのですが、これを読んだことがない人(本書の内容を会得していない人)は、広告のマーケティングのスタート地点に居れていません。
- 作者: ソロモンダトカ,Solomon Dutka,八巻俊雄
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質と量を別々に管理する、より細かくいうと、広告クリエイティブによる態度変容の効果と、メディアによるリーチの効果とを別々に把握し、評価する、という話です。科学的アプローチができている人にとっては当たり前のことかもしれませんが、文系出身者が大半を占める広告業界では、これができていない人がとても多いのです。
特に重要なのが、「ターゲットを明確にし、具体的に何人にアプローチするのか?をプランニング時点でちゃんと決めろ」という指摘です。広告賞を獲りたいという欲求が強いクリエイターは、ついつい「とても面白い企画かもしれないけれど、それはリーチしないよね?」という企画案を出しがちです。或いは、マーケティング職でも、そのメッセージ・コンセプトは正しいけれど、もっと予算があるときにやらないとダメではないですか?というコアメッセージを作りがちです。広告主は、幾ら投下しどれだけリターンするか?を考えているのです。
『急に売れ始めるにはワケがある』
どちらかというと社会心理学的な本です。
急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則 (SB文庫)
- 作者: マルコム・グラッドウェル,Malcolm Gladwell,高橋啓
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2007/06/23
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「六次の隔たり」についても詳細に分析されています。バズだ!バズだ!と言いながらも、実はちゃんとコミュニティどうし横断して広める人がいないと途中で途切れます。バズったからいいや!程度にバズマーケティングを捉えている人は理論から見直した方がよいでしょう。
最近の良い本
この数年で良かったなと思う本です
『確率思考の戦略論』
元P&Gの人の本で、とても参考になります。
確率思考の戦略論 USJでも実証された数学マーケティングの力 [ 森岡毅 ]
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ディリクレ分布をディリシュレーと呼んでいたり、独特なところはありますが、広告を幾ら投下すればいいのか?という基礎的なことを考える上で重要です。広告代理店側は、広告主に「先ず予算を決めて下さい」とマーケティングのスタート地点で協力することを避ける場合がありますが、必要な予算とリターンがいい加減に前年比で決まってしまっていては、全くマーケティングにはなりません。
数学的なところがあって難しい本ですが、それは専門家に任せるとして、「幾らかけて、いくらリターンがあるのか?」は常に意識しておかないと議論がかみ合わないでしょうし、報告書も作れません。アイデアはよかったけど、予算が少なかったですね!とキャンペーンが終わってから報告することに何の意味もありません。
『広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい』
ネット界隈では刺激的なことを言う人で有名な方が共著ですが、この本はかなりしっかりしています。
広告やメディアで人を動かそうとするのは、もうあきらめなさい。 [ 本田 哲也 ]
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『DAGMAR』や『確率思考の戦略論』ともかかわってくる話ですが、一体何人にリーチさせるのか?によって、取れる手法というものは変わってくるのです。極端な話、日本人全員に知ってもらわないと目標数を到達できないぞ!となったら億単位の費用をかけてテレビスポットを打つのは外せないのです。ネットでちょっとバズるPR動画を打つのでは足りません。商店街を流行らせることと全国のスーパーマーケットに配架される商品を売ることは別次元です。そういう視点で施策を俯瞰し、予算感をイメージするには本書は最適でしょう。
『マーケティング・サイエンスのトップランナーたち』
広告代理店がなぜ統計的知識が必要なのか?については、この本が一番良いかもしれません。
マーケティング・サイエンスのトップランナーたち 統計的予測とその実践事例 [ 朝野熙彦 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > 産業 > 商業
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統計畑からマーケティングに手を伸ばしてきた人は、ブランディングなどの基礎的な問題点の視点が抜けていて、広告でA/Bテストをしましょう!といった小さな視点でしか議論できないのですが、本当の使い方は本書のように、マーケティング課題に対してどんな手法があれば解明できるのか?という知識です。
なかなかしっかりしている本で、「安心感があるというのは特徴がなくなってしまった商品が持たれるイメージだ」という点も正しく喝破しています。
例えば、本来は差別化し、セグメンテーションとターゲティングとポジショニングをしなければならないときに、「安心」「やさしさ」という言葉がアンケート回答から多かったので採用してしまう、というのは失敗なのです。クラスの中の全く目立たない子が「良い人だよ」と言われるのと大して変わらない状態で、これでは強く記憶されません。
そういった統計屋にはない視点が持てるという意味で本書はとてもバランスが良いですし、一方で確率的潜在意味解析を使うといった比較的最近の話題も網羅されています。
【備忘録】_PythonでGoogleトレンドの季節変動を取り除いてみる
自分の備忘録目的ので、そりゃそうだよね?ということがただ確認できる、というもので、特に発見を目的としたエントリーではありません。
Googleトレンドから「ドラえもん」のデータを取得
Googleトレンドでエリアを日本に絞り、過去5年の「ドラえもん」の検索数を取得します
Jupyterで季節変動をとる
データの読み込みからプロットまで
こちらを参考に致しました。 data.gunosy.io
必要なパッケージの読み込み。
import numpy as np import pandas as pd import matplotlib.pyplot as plt import seaborn as sns %matplotlib inline
Googleトレンドでは3行目に列名がありますので、頭2行はスキップして読み込みます
df = pd.read_csv("doraemon.csv",skiprows=2)
renameで列名を英語にします。*1
df = df.rename(columns = {"週":"week","ドラえもん: (日本)":"doraemon"})
脚書は日付は文字列として認識されているので日付データ(dattime)に変換します
df["week"] = pd.to_datetime(df["week"])
week | doraemon | |
---|---|---|
0 | 2012-06-17 | 21 |
1 | 2012-06-24 | 20 |
2 | 2012-07-01 | 21 |
3 | 2012-07-08 | 22 |
4 | 2012-07-15 | 23 |
グラフを確認すると緩やかな山型のようです。
plt = df.plot()
月別に集計し直す
Googleトレンドは週単位ですので、これを月あたりの合計値に再集計します。*2
groupby でできる、resample でできるなど、色々と情報はありましたが、上手くいかず、このサイトに従いました。
df_m = pd.pivot_table(df,index=pd.Grouper(key="week",freq="M"),values="doraemon",aggfunc=sum)
week
2012-06-30 41
2012-07-31 111
2012-08-31 103
2012-09-30 188
2012-10-31 86
Name: doraemon, dtype: int64
pandasのデータフレームに戻します。
df_m = pd.DataFrame(df_m)
doraemon | |
---|---|
week | |
2012-06-30 | 41 |
2012-07-31 | 111 |
2012-08-31 | 103 |
2012-09-30 | 188 |
2012-10-31 | 86 |
図示します
df_m.plot()
先程と余り印象は変りません。
月単位のトレンドを取り除きます。
1つ目のブログに従います。satsmodelsというライブラリを使います。
import statsmodels.api as sm
12ヶ月周期があると仮定することで月の変動を取り除けます。
df_ts = sm.tsa.seasonal_decompose(df_m.values,freq=12)
df_ts.plot()
上が元々のデータ。残差が’一番下ですが、残差もそこそこあるようです。。。
季節変動を除いたトレンドを確認
トレンドは「trend」に入っているので、先程のデータの日付のインデックスと併せてデータフレームにします。
df_trend = pd.DataFrame({"trend":df_ts.trend,"date":df_m.index}) df_trend = df_trend.set_index(["date"])
trend | |
---|---|
date | |
2012-06-30 | NaN |
2012-07-31 | NaN |
2012-08-31 | NaN |
2012-09-30 | NaN |
2012-10-31 | NaN |
個別に図示するとこうなります。
plt= df_trend.plot()
2014年~2015年の盛り上がりはなんだろう?と思い返すと、あの時、「STAND BY ME ドラえもん」という映画がヒットしましたね。あと、この頃からドラえもんの人形がプロモーションで東京タワーやらなんやらに出没するようになった記憶があります。
月別の変動を確認
同様に今度はトレンドではなく季節変動の方を取り出します
df_seasonal = pd.DataFrame({"seasonal":df_ts.seasonal,"date":df_m.index}) df_seasonal = df_seasonal.set_index(["date"])
seasonal | |
---|---|
date | |
2012-06-30 | -14.965972 |
2012-07-31 | -10.278472 |
2012-08-31 | 57.315278 |
2012-09-30 | -5.538889 |
2012-10-31 | -29.122222 |
グラフより表の方がみやすいかもしれません。ドラえもんお盛り上がりは、8月と3月のようです。3月は毎年新作映画が公開されますね。
夏って、何でしたっけ?
というわけで落ちもなにもありませんが、以前、RでやったことをPythonでもやってみました。
csvファイルで結果を保存すれば、これで長期的なGoogleトレンドによるトレンドを抜き出しました。
df_trend.to_csv("doraemon_trend.csv")
時系列データはマーケティングでは頻繁に出てくると思うのですが、余り聞かないのは、実際のところ時系列データをそのままモデリングするのは結構たいへんだからだと思います。
とはいえ、ざっくりとしたトレンドと季節変動は分解して図示した方が、頭の整理はされそうな気がします。幸い作業自体は楽なので。
最近AKBのミュージックビデオの出来がとてもいいと思った
たまたまYouTubeで他の曲を聞いていたらAKBの「ハイテンション」のPVが”次の動画”に出てきて、聞いてみたら(というか見てみたら)何か凄くよかった。
何がそんなによかったのか?整理できていなけれど、こういうファーストインプレッションは、後で当たり前になってしまい忘れてしまいがちなので、取り敢えず書きなぐっておきたい。
「ハイテンション」について
- 出だしのパッチンでライトがつくのに気がつく、という入り方がファンタジックでいい。(オチで現実に戻っているも洒落ている)
- パッチンをキッカケに画面が切り替わってモブが踊り出す緩急がいい
- 服のカラーコーディネートがいい。ちょっと昔のモダンガールみたいな色とか、目立つ色がいい。
- ちょっと俯瞰からのカメラでダンスを撮ってから個人のアップを抜くのがいい
- 人差し指を振る謎の振り付けがジワジワカワイイ
- 古典的だがエンドロールで楽しそうな撮影風景が入るのもいい
その他のMVについて
歌っている人が笑顔のPVは見ていて気持ちがいい
ハイテンションもそうだけど、恋するフォーチュンクッキーのときもそうだった。
【MV full】 恋するフォーチュンクッキー / AKB48[公式]
真面目な顔で歌っているMVもいいけど、楽しそうに歌っている姿というのは、それだけでポイントがあがるものだと思う。
この曲は、上2曲ほど分かりやすい笑顔ではないけれど、凄く楽しそうにしている笑顔がちょいちょい挟まって、全体的に伸び伸びと歌っている印象が伝わる。
【MV】Set me free Short ver.[TeamA] / AKB48[公式]
ノスタルジックな演出がいい
メロディはどっかで聴いた感じもあるけど、この女学校やスケバン時代のノスタルジックなモチーフがいい。
【MV】アクシデント中 Short ver.〈AKB48 U-19選抜〉/ AKB48[公式]
「逆さ坂」の歌謡曲からスタートするのも味がある。
【MV】逆さ坂 Short ver.〈じゃんけん民〉/ AKB48[公式]
哀愁のトランペッターは歌詞がノスタルジックなのだが、歌われる情景が映像に思い浮かぶ。(キャバレーに居る感じしません?)
【MV】哀愁のトランペッター Short ver.[TeamK] / AKB48[公式]
余談だが、花の垣根から顔だけ出しているのも面白い。
アイドルというより大人の色気が映像で映えるようになってきた気がする
最初の頃はよく水着になったり、そんな映像がYouTubeで再生回数が伸びるのなんか狡いだろー!と思っていたけど、最近はそうでもない渋いMVが増えてきた。
特に、山本彩と、この数年でちょっと痩せた渡辺麻友は、映像映えがする。
オジサンキラー感がある
学校を卒業して戻ってくる演出とか、ノスタルジックとは別の次元でオジサンキラーなテーマの選び方が多い。
【MV】光と影の日々 Short ver. / AKB48[公式]
おばあちゃんから貰った500円玉を使わないで持っていた、とか、そういうテーマも凄くオジサンキラーである。そう言えば、そんな感覚、あの頃はあったよねと。秋元康はこういうところが天才的だと思う。
【MV】あの頃の五百円玉 Short ver. / AKB48[公式]
ドキュメンタリータッチの演出がベストマッチするようになってきた
これはアイドルグループのMVだろうか??当然、取材先の同意があるかるからできるのだと思うので、いつの間にか地方の学校の人もOKを出すような非アンダーグラウンド感がAKB48にはあるということだ。
【MV full】願いごとの持ち腐れ / AKB48[公式]
なかなかまとまらないけれど、他の数あるアイドルグループとは少し違う感じのミュージックビデオなのだ。
【データ可視化】誤解を招かないように配慮された最新のカラーマップ(カラーパレット)について
先日読んでいた本
にとても重要なことが記載されていました。
このレインボーカラーマップには問題があるためmatplotlib 2.0からデフォルトのカラーマップがjetからviridisと呼ばれるものに変わります。
「科学技術計算のためのPython」p285
なんと見慣れたあの虹色のカラーマップは今では非推奨なのです。
何が問題なのか
ぶっちゃけわかりにくい。
詳しいことはこちらの記事に説明動画へのリンクがあります。
虹色のjetは確かにカラフルで見栄えこそいいのですが、どの色がどの色より密度が高いことになっているのかないのかピンと来ない、人によってはそれが”ないデータの特徴が存在しているかのように誤解する”ということがあります。
その他にも新しく採用されたviridisは階調の変化が視覚的に分かり易いようにかなり研究されているようです。
色覚異常にも配慮がない
一方で新しくPythonのMatplotlibで採用されたviridisは地味ですが、ちゃんと色の違いがわかることと、所謂、色弱への配慮があります。
色覚異常者がカラーマップを見たときの見え方はこちら。
AndroidもLolipopから色覚異常対応がデフォルトで実装されるようになりました。
マイノリティへの配慮が出来ないのは、今日日時代に取り残されていると言えるでしょう。
実際にPythonで使ってみる。
色の階調を使って密度を可視化するケースは多々あります。今回は、ヒートマップで使ってみることにしました。
データの取得
総務省の情報通信白書から、時間帯別のメディア行為率を使ってみます。
総務省|平成28年版 情報通信白書|主なメディアの利用時間帯
こちらのcsvファイルを使います。
データの読み込み
Pythonではデータの集計にはpandasが便利です。
引数はこちらのサイトを見て確認しました。
Pandas で CSV ファイルやテキストファイルを読み込む – Python でデータサイエンス
今回のデータは、文字コードがシフトJISになっていたので、列名・行名を指定して読み込みます*1
import pandas as pd heijitsu = pd.read_csv("n5205021_2.csv",encoding="SHIFT-JIS",header=0,index_col=0)
すると、こんな感じのデータフレームです。
テレビ(リアルタイム)視聴 | テレビ(録画)視聴 | ネット利用 | 新聞閲読 | ラジオ聴取 | |
---|---|---|---|---|---|
5時台 | 6.6 | 0.4 | 3.1 | 2.7 | 1.0 |
6時台 | 22.9 | 0.4 | 10.4 | 7.6 | 2.0 |
7時台 | 31.9 | 0.5 | 16.6 | 8.4 | 2.4 |
8時台 | 20.2 | 0.5 | 19.7 | 5.9 | 2.9 |
9時台 | 8.4 | 0.9 | 16.9 | 2.4 | 2.2 |
10時台 | 6.0 | 1.2 | 15.2 | 1.3 | 2.2 |
11時台 | 6.4 | 1.2 | 13.5 | 0.6 | 1.9 |
12時台 | 14.8 | 1.1 | 26.7 | 1.0 | 2.0 |
13時台 | 9.4 | 1.9 | 15.3 | 0.9 | 1.7 |
14時台 | 6.6 | 2.2 | 12.9 | 0.7 | 1.7 |
15時台 | 6.1 | 1.5 | 12.9 | 0.7 | 1.2 |
16時台 | 7.1 | 1.4 | 14.1 | 0.6 | 1.3 |
17時台 | 12.2 | 1.9 | 17.8 | 2.4 | 1.7 |
18時台 | 19.8 | 2.0 | 18.9 | 1.9 | 1.6 |
19時台 | 34.8 | 2.3 | 20.2 | 2.5 | 1.1 |
20時台 | 41.5 | 3.0 | 22.8 | 3.1 | 0.9 |
21時台 | 42.4 | 4.8 | 26.6 | 2.7 | 1.0 |
22時台 | 35.6 | 5.0 | 26.2 | 1.7 | 0.6 |
23時台 | 18.1 | 3.6 | 19.0 | 0.9 | 0.5 |
24時台 | 6.7 | 1.8 | 8.3 | 0.3 | 0.4 |
1時台 | 2.1 | 0.7 | 3.1 | 0.1 | 0.4 |
2時台 | 0.6 | 0.2 | 1.3 | 0.0 | 0.2 |
3時台 | 0.4 | 0.1 | 0.8 | 0.0 | 0.2 |
4時台 | 0.4 | 0.1 | 0.7 | 0.1 | 0.3 |
先ずはデフォルトの色でヒートマップ化
Pythonでグラフを作る時は、seabornを使うと手軽で美しくなります。
今のデータでヒートマップにするには、seabornとmatplotlibからpyplotを呼び出します。また、日本語が豆腐にならないようにフォントを指定します。*2
import seaborn as sns import matplotlib.pyplot as plt sns.set(font=['IPAexGothic']) plt.figure(figsize=(10,10)) sns.heatmap(heijitsu,annot=True) plt.show()
正直、デフォルトの色も悪くありません。
jetとviridisを比較してみる
試しにjet(raibow)で描いてみます
plt.figure(figsize=(10,10)) sns.heatmap(heijitsu,annot=True,cmap="jet") plt.show()
赤と黄色とどっちがどれくらい違うのか一発で理解できるでしょうか?
噂の最新のカラーマップviridisを使ってみます。
plt.figure(figsize=(10,10)) sns.heatmap(heijitsu,annot=True,cmap="viridis") plt.show()
これなら重要なところの方が明るく目立つようになっていると思います。
今回のコード
Anacondaを使っているので「matplotlib inline」を指定しています。
import seaborn as sns import matplotlib.pyplot as plt import pandas as pd %matplotlib inline heijitsu = pd.read_csv("n5205021_2.csv",encoding="SHIFT-JIS",header=0,index_col=0) heijitsu sns.set(font=['IPAexGothic']) plt.figure(figsize=(10,10)) sns.heatmap(heijitsu,annot=True) plt.show() plt.figure(figsize=(10,10)) sns.heatmap(heijitsu,annot=True,cmap="jet") plt.show() plt.figure(figsize=(10,10)) sns.heatmap(heijitsu,annot=True,cmap="viridis") plt.show()
Rにもあるらしい
ほんとこのサイトは情報が早いですね。
バナー広告の接触回数分布を関数で回帰してみる
広告業界ではある媒体に出稿した時の接触回数の分布(1回当たった人がn人、2回当たった人がn人)をベータ二項分布などで近似しシミュレーションするのが一般的と言われている
なおこのサイトによるとWeb広告の場合は、負の二項分布がグローバルで標準らしい。*1
ということで、バナー広告の接触回数分布がどんな関数になるのか、入手可能なデータで確かめてみた。
ビデオリサーチ社が2年前に調査したデータを使う
データソースについて
説明はここを参照して欲しい。
リリースの最後の方に、接触回数の分布がある。
オンライン広告の認知効果の基準値整備に関するお知らせ | ニュース || コーポレートサイト
このサンプル数がわからなかったが、計算の簡単のためこのパーセンテージの小数点が消えるように桁を変えて,仮にこの値を回帰できる関数を探してみる。
x y 1 271 2 179 3 129 4 89 5 69 6 53 7 40 8 32 9 25 10 20
プロットしてみる
プロットした時の関数は省略する。
一般的に言われている負の二項分布っぽい感じはする。
負の二項分布について
負の二項分布の理解
負の二項分布は、確率pの試行をN回繰り返す時に、r回成功するまでに何回試行を繰り返すか?の分布を知る為に使われるのだが、今回の場合はその理解というよりも、こちらのブログの通り、
http://sugisugirrr.hatenablog.com/entry/2016/01/31/%E7%AC%AC%EF%BC%97%EF%BC%94%E5%9B%9E_%E3%83%9D%E3%82%A2%E3%82%BD%E3%83%B3%E5%88%86%E5%B8%83%E3%81%A8%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%AE%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%83%AB%E6%95%B0sugisugirrr.hatenablog.com
カウントデータの回帰にポワソン分布を使おうとしたら分散がもっと大きい分散なので、ガンマ分布とポアソン分布の階層モデルを作るとき、それが負の二項分布になる、というポアソン分布の過分散時の推定、と言われている方の用途で使う。
このサイトを見ると確かにガンマ分布で何パターンか作ったポアソン分布を合成していくと負の二項分布になっている。。。
http://stat.biopapyrus.net/probability/negative-binomial.html
RStanに負の二項分布のあてはめ
Rのパッケージ、nbGLMでやってもほぼおなじ結果なのだがせっかくなのでRStanでベイズモデリングしてみる。
知識不足のため、収束させる為の条件はわからなかったのでコードはほぼほぼこれらのサイトを見よう見まねで使った。
Simulate and fit negative binomial GLMs in Stan
モデリングのコード
接触回数xを入れたら、接触人数yが予測できるようなモデリングを仮定する。線形回帰と異なってリンク関数なので、y直接ではなく、yの自然対数を回帰する。
log(y) = b0 + b1 * x
モデルのコードは別ファイルにしてもいいが、個人的には同じファイル無いで「""」で挟んで代入する方が見直す時に便利なので好き。
model <- " data { int<lower=0> N; vector[N] x; int<lower=0> y[N]; } parameters { real<lower=0> phi; real b0; real b1; } model { phi ~ cauchy(0,3); b0 ~ normal(0,5); b1 ~ normal(0,100); y ~ neg_binomial_2_log(b0 + b1 * x,phi); } "
データの読み込みとRStan用のリスト化
RStanに受け渡す為にデータをリスト化する
d <- read.csv("banner.csv",header=T) data <- list(N=nrow(d),x=d$x,y=d$y)
実行
実行した後、summary(fit)で先程仮定した「b0」や「b1」の平均値や四分位数が出て来るが、meanを使って値を代入すればよい。
のコードを見て、”なるほど”と思った。流石です。
fit <- stan(model_code=model,data=data,seed=1234) rs <- rstan::extract(fit) b0 <- mean(rs$b0) b1 <- mean(rs$b1)
暫く待つと以下の値を得た。*2
> (b0) [1] 5.794788 > (b1) [1] -0.2975039
回帰の関数
これで、x(接触回数)からy(接触人数)を予測する関数ができた。log(y)を回帰しているので、ネイピア数に計数を累乗すればいい。
y = exp( 5.794788 + -0.2975039 * x)
元のデータより広い値を入れてみる
恐らくビデオリサーチのデータは、10回よりも多いデータもあった筈だ。(パーセンテージを足すと100%にならない)
そこで、新しく d_predという名前のデータフレームを作り、そこに先程の関数で予測される値を格納し、そのデータと元のデータをdplyrのレフトジョインで一つのデータフレームに入れてみる
x_fit <- seq(1:20) y_fit <- exp(b0 + b1 * x_fit) d_pred <- as.data.frame(NULL) d_pred <- as.data.frame(x_fit) colnames(d_pred) <- c("x") d_pred$y_fit <- y_fit d_pred <- dplyr::left_join(d_pred,d)
> head(d_pred) x y_fit y 1 1 244.02836 271 2 2 181.23247 179 3 3 134.59587 129 4 4 99.96028 89 5 5 74.23747 69 6 6 55.13392 53
余り精度は高くないようだが、これが今の自分の知識の限界なので勘弁して欲しい。
実測値と予測値を並べてグラフにしてみる
実測値と予測値の棒グラフを並べてみる
p <- ggplot(d_pred_m,aes(x=x,y=value,fill=variable)) p <- p + theme_bw(base_family="Japan1GothicBBB") p <- p + geom_bar(stat="identity",position = "dodge") p <- p + geom_text(aes(x=x,y=value,label=round(value)),vjust=-0.5,position = position_dodge(1)) p <- p + scale_fill_brewer("Set2") p <- p + xlab("接触回数") p <- p + ylab("人数分布") plot(p) ggsave(plot=p,file="20170416-1.png",dpi=300,width=4,height=3,scale=2)
個人的な感覚では、一回しか接触しないバナーが殆どだとは思うけれど、2015年のビデオリサーチの大規模調査を信用するとするとこんな感じである。自分は接触しなくても、ヘビーにWebを使う人ととそうでない人とバラつきがあるということだろう。
媒体数が限られているマス広告と比べて、果してバナー広告の接触回数分布が簡単に回帰できる類いのものなのか?という疑問はあるし、そもそもターゲティングが違えばまた違うだろうし、そもそもリマーケティングを入れたりフリークエンシーキャップをかけたらもっと複雑になるので予測すること自体が難しいのではないか?とは思う。
ただ、「負の二項分布で近似できる」という話については、嘘ではなさそうだ。