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true tears は、音も本も映像もいい

true tears」を始めて観た。余りに良くできていたので1周目は徹夜で13話視聴し、2周目は1週間かけて13話視聴した。原作が恋愛アドベンチャーゲームだし脚本が岡田麿里さんなので、好き嫌いは別れると思うのだけど、特に苦手が無いのであれば観てみて損は無いと思う。

この辺りが特に良かったなというところを幾つか忘れないうちにメモをした。

絵について

緩急が良い

俯瞰のカットから足元のアップだったり顔のアップだったりと絵の変化がありどれも意図を感じて過不足ない。敢えてドア越しのカットになって誰か登場人物の視線を意味していることを伝えるカットがあるかと思えば、小津安二郎のような正面撮りのようなカメラマンの存在を感じるカットもある。ところどころ作りが映画っぽい。

絵だけで見せるカットがある

脚本家と監督が十分連携できていたということだと思う。目が写らない程度のアップの表情にパラをかけて、暗い感情を表現したり、絵だけで意味が伝わってくる。

表情が良い

実写で言うと役者の表情の芝居ということになるのだけど、本作では登場人物が怪訝な表情をしたり、ハッと驚いたりというシーンが多くある。作画監督が調整したのか毎話顔も同じで安定しているので、あのとき全然違う表情をしていた同じ登場人物が今は違う感情を持っているのだ、ということがとても良く伝わってくる。

本について

嫌なことを自然に言わせる

敢えて人を傷つける台詞を入れて登場人物に反省させる、というシーンはどんな作品にもあるが、本作では嫌味や嘘を日常的に発してしまうこととして頻発させていて、とてもリアリティがある。岡田麿里さんは残酷な描写も多いと思うけど、登場人物に嫌な奴をちゃんと演じさせるところがあり、キャラクターに入れ込んでしまうタイプの視聴者にとっては苦手なんだろうと思うが、自分はそういうところが寧ろ好きだ。その方が自然だし共感できる。

すれ違いの表現が上手い

目の前の登場人物と会話をしているのに心では別の人のことを思い出しているシーンがあったり、或いは、瞳の中に人物を描いて”今、誰のことを考えているのか?”を視聴者に明示したり、特に主人公が描く絵本が2種類のうち今どっちなのか?など感情の表現の仕方が多様だ。

会話のテンポが良い

最終話に「不服か?」という印象的なセリフがある。説明的でなくややハイコンテクストなのだが、適格な心理描写だった。ところどころ、説明的なセリフを思い切ってすっ飛ばしているところがあり、印象深いセリフになっている。

音について

自分は音楽に詳しくない。しかしここぞという場面の切り替わりで緊張感のある音が入ったり、ヒロインに変な歌を歌わせてそれを効果的に使ったり、多分、効果音や劇伴の使い方はかなりよく練られているのだと思う。

感想

13話が驚く程に平坦な感じで進むのに、感情はキッチリ揺さぶられる。主人公もヒロイン達も他の登場人物も開始から終了までにほんのちょっとしか成長しないし、何か大きな事件が解決して大団円になるわけでもないし、終わりも全くハッピーエンドではなく、これからの課題山積といったところで終わる。にも関わらず、一つの物語として仕上がっているし、どうしてこんなに完成度が高くなるのか、もはやよくわからないが、制作関係者がしっかり連携して出来上がっていることが大切なのではないかと感じた。