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機動戦士Zガンダムを見ると自分の不甲斐なさや焦りをつきつけられる

機動戦士Zガンダムは、好きな作品ではないものの、人間、特にダメな人間について正直に描かれた作品だと思う。見ている間に、自分の不甲斐なさを突きつけられて、苦しくなる一方で、時が経つと味が出てくる作品でもある。

登場人物の描写について

具体的にどのようなポイントが視聴者の心をえぐるのか、個人的に感じた4名を挙げるとともに、社会人生活に於いて例えばどういうことなのか?をまとめた。多少ネタバレはあるかもしれないが、鑑賞への興味になれば幸いだと思う。

1)迷惑な子ども

初代ガンダムのカツ・レツ・キッカからカツが活躍する。活躍するのだが、自分の力を過信しいつも文句ばかり言う上に軽率な行動をとり、仲間を危険に晒す。まだ子どもという設定だが色欲にも負ける。

とんでもなく酷い登場人物だが、誰もが若い頃は、組織の上位層に文句を言っていなかっただろうか?だから一層、成長しないカツを見ていて腹が立ってしまうのだ。

2)不貞腐れるメンバー

レコア少尉は、自ら志願して特別任務に就くのだがそこで一切成果を上げることができず戻ってくる。その後、遅れを取り戻そうと再び一発逆転の単独任務に志願するのだが、逆にそれをきっかけに組織への貢献よりも自分がしたいことを優先する割り切りを憶えて離脱してしまう。

最前線の現場を離れたのち、みんなに誇れる成果もないまま出戻って来ることほど格好の悪いことはない。勿論、誰も組織の仲間はそれを避難することはないだろうが(一部の外資系だとクビになるのかもしれないが・・・)、ただただ遅れを取って年齢だけ重ねてしまったことに焦りを感じるのは当然のことだし、居場所がなくなることへの恐怖はみんなあるだろう。もう引用元も思い出せないが、管理職になるべく期待されて留学させて貰っている間に就く予定だったポストを後釜に取られて昇進し損ねたという人の記事を見たことがある。転勤・異動様々な要因で自分のキャリアプランが崩れるということは日常茶飯事で、そこからメンタル面で復帰するスキルも必要なことなのだ。レコア少尉のように一発逆転の任務に就くのもハイリスク・ハイリターンな選択だ。

3)実力をわきまえないもの

ファは、パイロット適性がないものの、カミーユに認められたかったのか、とにかくパイロットになって戦闘に出ようとするが、仲間を危険に晒してしまう。

全く役に立たないわけではないし、やる気があることも良いことなのだが、任せられない人には任せられないこともある。努力家をクビにする必要はないかもしれないが、向いていない人の職種を変更することは管理職の仕事の一つだろう。この手の悪くはないのだが困った人への適切な対応は、多くの人が悩むことだ。また、一方で、自分が足を引っ張っていると自覚しつつももっと役立てるように頑張りたいという気持ちもまた共感するところがあるだろう。

4)自分の人生を生きないもの

サラは、組織方針への共感や自分が生きる糧を得るためではなく、上官が好きだからついて行くし危険な任務に就く。

彼女は、自分を道具の一つ或いはせいぜい手塩にかけた部下の一人としか思っていないのに過度な期待を寄せ、決して報われることのない仕事を続けている。仕事熱心な彼女に好意を寄せるのも子どもだけで、果てはライバルも登場する。本当に可愛そうな登場人物で、まさにやりがい搾取に搾り取られたと言ってもいい。しかし、自分の人生の重要な判断を上官という他人に委ねてしまっている限りは、彼女は、自分の人生を生きないある意味無責任な人物ということでもある。クライアントから感謝されることを生きがいにする営業や褒められることが喜びになっている社員など、似たような屈折した生き方を選択してしまっている人は多いのではないだろうか。特に自分は営業職なので、クライアントに喜ばれることが自分の生きがいと思っていた時期があるが、「それでは利益が出ないし組織に貢献できてない」とローパフォーマーであることに気がついてから、クライアントに感謝されることを自分の喜びと再変換しないように心がけている。

登場人物以外の魅力「ガンダムを宇宙に打ち上げることの重さの描写」

もう1点、Zガンダムに特徴的だと感じた点がガンダムを宇宙に打ち上げることの重さの描写だ。地球に降りてきたガンダムパイロット達を宇宙に再び上げるために、13,14,15,16話と飛んで20話と合計5話を費やしている。その間、どうやって敵の目をくぐってこっそりガンダムを宇宙に上げるかを作戦を練るのだが、これだけ話数をかけて重みを持たせるのは並々ならぬテクニックだ。そして1回目の宇宙打ち上げと2回めの宇宙打ち上げの間に、カミーユとフォウのエピソードが挟まれることで二人の離別がとても大きなものに感じるようになっている。