これまでBtoC案件ばかりだったのですが、ここ最近急に自分や周りでもBtoB案件が増えてきました。
マーケティングオートメーションとの相性がBtoBの方が良いということもあって、BtoBマーケティングは最近マーケティングオートメーション祭りという感じなのですが、現状起きているブームは間もなく見直されるだろうなと思いました。
今、BtoBプロモーションでおきていること
よく言われていること
- 関係するレイヤーが多い
- 利用する部署と道入決定する部署が異なる
- 検討の期間が長い
などは昔から言われていることで、最近では、
- 意思決定に関わる部署が増えた(主にマネジメント層/経営層)
- 営業に問合せが来る前に勝負が決まるようになった
この2つが色々な本やレポートで言われています。 1
これについてはそうなんだろうなと思います。
例えば、最近ホットな「働き方改革関連法案対応」となると、人事・労務管理・情報システム・経営企画などが関わるので、どこか1つの部署で全部決められるという話ではありません。
彼等は定例のワーキンググループを開催し、必要な調達物の要件定義をしていきます。 そして情報システムの人が各社の営業さんに連絡をする頃には、ある程度「どこが良いのか?何がよいのか?」まで議論が終わっています。
このタイミングで、「労務管理システムの依頼ですが、働き方改革では本当は生産性向上が重要で、弊社はRPAの道入が得意なので是非ご検討を」と営業マンがセールスしても、ある程度予算化までされてしまっていたら、そう簡単に覆ることはないでしょう。
実際に対応策として”セールスされているもの”
上記の課題設定はその通りと思いますが、その対応策として叫ばれているのが、
です。
細かい説明はしませんが、ざっくりと
- 業界に関するレポートを作り、ダウンロードしないと見られないようにする。
- ダウンロードさせる時に個人情報を取得する
- サイトに関連するコンテンツを増やしておき、取得した個人情報のメールアドレスに送りつける
- サイトのコンテンツでは徐々に自社製品の道入が何故重要か?を説くようにする
- よくメールからクリックして閲覧してくれている人に対して、セミナーを案内する
- セミナー後もサイトを見ていたり道入意欲が高そうであれば、電話する(アウトバウンドコール)
- 電話で「一度提案に来てくれ」と言われたら営業を連れて行く
こんな流れで営業をかけます。
これによるメリットは、
- 何故自社の製品の道入が必要なのかをじっくり時間をかけてメルマガで案内し、自社製品の道入意欲を効率的に高めることができる
- 電話リストから闇雲に電話するのは効率が悪いが自社製品の検討をしている人への電話は効率が良い
- 今まで通っていた部署とは違う部署の人が道入検討していた場合、既存得意先に新たな突破口が開ける
など多岐に渡るため、多くの企業がマーケティングオートメーション、セールスフォースオートメーション、コンテンツマーケティングなどは道入しているのではないかと思います。
例えば
よくできているなぁと思うのはAdobeのサイトです。
「これは面白そう!」というレポートがだいたい個人情報入力と引き換えになっていて、その後時々関連したURLがメルマガで届きます。
クリックした先に、「あっこっちの方が近いかも?」という別のコンテンツへの誘導もあり、よく出来ていると思います。 2
決定的に抜けている視点
しかし、この一連の流行りの中で、決定的に忘れられている視点があるなと感じました。
- 3C分析(Customer,Competitor,Company)
- STP(Segmentation, Targeting and Positioning)
の2点です。
3C分析の視点
「顧客、競合、自社」の状況を事前に整理しておきましょう、という話です。
「リードに対して”ナーチャリング(育成)”しましょう!」とコンサルは言うかもしれませんが、そのコンサルは全く同じことを競合企業にもセールスをしているわけです。
すると、競合が一斉に実写と同じように当該業界のレポートを発行し、「今の時代はこうですよ?これを道入しませんか?」と同じようなコンテンツを作り、同じようにメルマガを打つのです。
自社の商品が業界内で自社しか出していない(例えばAdobeのCreativeCloudはグラフィック業界では競合ナシです)なら構いませんが、そうでないなら競合のメルマガと横並びでしかなく、競合と仲良く揃って同じようなコンテンツを制作会社に発注していた、みたいな無駄が起きていると思われます。
STPの視点
市場を分類し、ターゲットを定めて、自社の強みが活かせるポジションを決めることがSTPです。
USP(Unique Selling Proposition)を定めよ、とも言われます。
自社にしか提供できない価値(或いは他社はまだ言っていない価値)を、それが響くターゲットに対して語る、ということです。
依頼主が「えーっとどの会社を今回の競争入札に呼ぼうかな?」と思ったときに、 業界大手上から順や思い出せる順に呼ばれる会社が決まる という事象がおきます。このとき、市場を分類していなければ、有象無象と戦うことになりますが。
○○と言えば○○社 という特定分野でナンバーワンというポジションを取れていれば、その○○分野では必ず一番に呼ばれるわけです。
上記を踏まえて
上記のBtoCで当たり前の視点を踏まえると、やるべきことは明白で、自社の得意分野を決めて,、 得意分野の重要性を自社名でPRし続ける ということです。
例えば、さっき例に出したようにRPAが得意な会社であれば、
- 働き方改革では残業時間規制などで労務管理に注目が行きがちですね
- でもこの先、少子化/高齢化/介護離職/日本の国際競争力低下による優秀な外国人労働者の減少、など人手不足が待ったなしです。
- 如何に今いるメンバーで効率化できるか?が真っ先に重要です
- RPAの道入を考えませんか?
- 道入にはかなりすり合わせも時間もかかります。他社がやってないと思ったら、実はもう検討している会社は多いですよ?
といった世論を
などを通じて形成していく必要があります。
働き方改革ワーキンググループの人たちに「RPAと言えば○○社の名前をよく聞きますなぁ」と マインドシェア を高めることがゴールとなります。
結局はブランディング
BtoBマーケティングといえども、BtoCと重要なポイントは変わらず、手法がマス広告ではない、というだけであって、大きな考え方は同じではないかと思います。
必死にサイトを作ってメールを配信し、イベントで集めた名刺の活用の打合せに明け暮れる、、、という前に、差別化戦略を探る方が先だと思われます。
それを決めてから、誰に?何を?どうやって?伝えて"育成"していくのかを決めるべきでしょう。
BtoBマーケティング関連で読んで良かったなと思う本は以下です。
↓この本は堅実で、SEOをしなさい、PRリリース出しなさいなど、地に足の着いた展開を説きます
「分析」で成果を最大化するBtoBビジネスのデジタルマーケティング [ 中田義将 ]
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- 価格: 1,650円
↓マーケティングオートメーションについてまともに書いてある本
BtoBのためのマーケティングオートメーション正しい選び方・使い方 日本企業のマーケティングと営業を考える (MarkeZine BOOKS) [ 庭山一郎 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > ビジネス・経済・就職 > 産業 > 商業
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- 価格: 2,178円
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よく引合に出されるのがこのグーグルのスライド
The Importance of Branding and Emotion in B2B Marketing by Ryan Saurer of Google B2B from BMA Carolinaswww.slideshare.net↩ -
暫く反応しなかったらメルマガが来なくなったので、見込みなし、と判断されたのだと思います。それも含めてちゃんとやっています。↩