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広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ

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購買履歴から父親より先に妊娠を予測したスーパーマーケットのその後の話

マーケティング関連そのうち特にデータ分析関連の話には有名な都市伝説のような話が2つあります

一つは、「ビールとおむつ」、もう一つは、「父親より先に少女の妊娠を把握したスーパー」という話

ビールとおむつについて

”米国のどこぞのスーパーが併売行動分析(バスケット分析)をして週末父親がビールを買う時におむつをついで買いする傾向にあることがわかった”という話。
これについては実話なのか喩え話なのか諸説あって、
”コンサルがそういう分析レポートを提出したけどスーパーは特に対応はしなかった”だったり、
”聞きつけた別のスーパーが対応してみたけど実は効果がなかった”だったり、
でも話としては有名で色んな本に出てきます

父親より先に少女の妊娠を把握したスーパーについて

もう一つは、”購買履歴に基づいて次に買いそうな商品のクーポンをレシートに表示する、というテクニックを使っていたスーパーが、少女にベビー用品のクーポンを表示してしまって父親が怒って電話をかけてきたら、後日本当に妊娠していたことがわかった”という話。
こちらもよくビッグデータ関連の本では飽きる程出てきます

www.ikedahayato.com

 

後日談があった

ところでこの話、多くの引用は、「父親が妊娠を教えてくれてありがとうと謝った、ビッグデータって凄いですね!」で終わるか、「ビッグデータは凄いけどストーキングされているみたいで気持ち悪いですね!」で話が終わっているのですが、とある本に後日談の引用がありました。

科学で勝負の先を読む -投資からテニスまで先を読むため・読まれないための実践ガイド-

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当然そんな不快なクーポンを実際に出し続けるわけもなく、
そのスーパー(「ターゲット社」)は、当たり障りのない他の広告をランダムに混ぜることによって、監視されているとは思われないように工夫をしているそうです。

“Then we started mixing in all these ads for things we knew pregnant women would never buy, so the baby ads looked random. We’d put an ad for a lawn mower next to diapers. We’d put a coupon for wineglasses next to infant clothes. That way, it looked like all the products were chosen by chance.

“And we found out that as long as a pregnant woman thinks she hasn’t been spied on, she’ll use the coupons. She just assumes that everyone else on her block got the same mailer for diapers and cribs. As long as we don’t spook her, it works.”

 「How Companies Learn Your Secrets - The New York Times

http://www.nytimes.com/2012/02/19/magazine/shopping-habits.html

良いか悪いかを議論するよりも解決を

購買履歴を追った広告配信をすることの”気持ち悪さ”は、リターゲティング広告でも指摘されてきましたし、データを匿名化して利用しましょう、という業界の自主的な対応も進んでいますが、問題が起きた時に、それが「良いこと」か「悪いこと」かを議論することに終始すると、そこで議論が止まって解決には至りません。

「ランダムな広告も混ぜちゃえば気持ち悪くないじゃん?」

というターゲット社の発想は、いかにも実務家的かつコペルニクス的転回だと思いました。

起きていることだけが真実である

ツイッターでフォローしている人で、よく「起きていることだけが真実だ」(ちょっと文言は違ったかもしれません)と言う人が居ます。
どうやら、立川談志さんがいつだったか弟子に言った話が元々のようです。

よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う

aruhenshu.exblog.jp

「良い」「悪い」の話を他所がしている間に解決方法をさっさと見つけてしまうターゲット社の姿勢もビッグデータブームと一緒に伝わっていくといいなぁと思いました。