地方はテレビが効くのか?
『明日の広告』以来、新刊の新書を読んでいる”さとなお”さん(佐藤 尚之)の明日のプランニング 伝わらない時代の「伝わる」方法 (講談社現代新書)を読みました。
その中で、感覚的に同意する項目として、
『明日のプランニング』p81砂一時代ど真ん中のマーケターで、ソーシャルゲームとかニュースアプリとかがなぜCMを流すのか不思議がる人もいるが、マイルドヤンキーを始め、砂一時代以前の生活者はCMを見てそれらを買っているのである。
『明日のプランニング』p82都会でも一定数マイルドヤンキーや「砂一時代以前の生活者」がいる。また、逆に、地方でも都市部には「砂一時代の生活者」がそれなりにいる。
という指摘がありました。
自分の普段の感覚でも、地方(都心部)はまだまだTVは効いている、と思っていたので、改めて、何かしらデータを確認してみることにしました。
社会生活基本調査
生活時間の調査で普段マーケターが使うのは、ACRの調査だと思いますが、普通の人が手軽に入手できるデータとしては、総務省の『社会生活基本調査』があります。残念ながら5年に1回の調査なので、最新でも平均23年つまり2011年のデータになってしまいますが、丁度、都市部とそれ以外を分けるデータがありました。
平成23年社会生活基本調査 調査票Aに基づく結果 生活時間に関する結果 生活時間編(地域)>曜日,男女,ふだんの就業状態,年齢・自家用車の有無,行動の種類別総平均時間,行動者平均時間及び行動者率−全国*,都道府県,14地域,10大都市圏・10大都市圏以外,都市階級
から、「全国人口集中地区 」「全国人口集中地区以外」の年齢別週平均を利用しました。
なお、人口集中地区については、
かつ平成 22 年国勢調査結果に基づき,調査区ごとに人口集中地区か否かを区分している。
なお,調査区内に人口集中と非人口集中の基本単位区が混在している場合は,人口集中地区とした。
とのことです。人口集中地区とは国勢調査の基本単位区を基礎単位地域とし市区町村の境域内で人口密度の高い基本単位区(原則として人口密度が1?^2当たり 4,000 人以上)が隣接し,それらの地域の人口が平成22年国勢調査時に5,000人以上を有している地域をいう。
参照⇒用語の解説(調査票A関係)p10
使用したコード
最近ずっとggplot2にはまっているので、特にRを使う必要もないグラフなのですが、ggplot2を使ってみました。
tvtime_1 <- read.csv("tvtime.csv",header=T) head(tvtime_1) tail(tvtime_1) library("reshape2", lib.loc="C:/r/R-3.1.2/library") library("reshape", lib.loc="C:/r/R-3.1.2/library") library("plyr", lib.loc="C:/r/R-3.1.2/library") library("ggplot2", lib.loc="C:/r/R-3.1.2/library") tvtime_1_m <- melt(tvtime_1,id.vars=c("年代"),measure.vars=c("全国人口集中地区","全国人口集中地区以外")) head(tvtime_1_m) tvtime_1_m_g <- ggplot(tvtime_1_m,aes(x=年代,y=value,fill=variable)) tvtime_1_m_g <- tvtime_1_m_g + geom_bar(stat="identity",position="dodge") tvtime_1_m_g <- tvtime_1_m_g + geom_text(data=subset(tvtime_1_m,tvtime_1_m$variable=="全国人口集中地区以外"),aes(x=年代,y=50,label=value),hjust=-0.1,vjust=1.5,size=8,color="white") tvtime_1_m_g <- tvtime_1_m_g + geom_text(data=subset(tvtime_1_m,tvtime_1_m$variable=="全国人口集中地区"),aes(x=年代,y=50,label=value),hjust=1.1,vjust=1.5,size=8,color="white") tvtime_1_m_g <- tvtime_1_m_g + ylab("分数") tvtime_1_m_g <- tvtime_1_m_g + theme(axis.text.x=element_text(color="black",angle=45,size=12)) tvtime_1_m_g <- tvtime_1_m_g + ggtitle("テレビ・ラジオ・新聞・雑誌_総平均時間") plot(tvtime_1_m_g) ggsave(plot=tvtime_1_m_g,file="tvtime_1_m_g.png",dpi=300,width=16,height=9)
結果のグラフ
出典(「平成23年社会生活基本調査結果」(総務省統計局))
思ったより、差が出ませんでした。。。
20代30代の若者でみると、人口集中地区以外(緑色)の人の方が週平均で5分前後は、人口集中地区(ピンク色)の人よりもマスメディア視聴が長いようですが、余り大きな差とは言えなさそうです。
考えられる仮説
今、思いつく範囲で可能性を挙げますと、
・総務省及び国勢調査の定める人口集中地区とそれ以外という区分が、マイルドヤンキーとそれ以外の生活者の区分と合致しない。
・そもそもマイルドヤンキーとそれ以外は、居住エリアで区分するのは無理がある。
・マスメディアの及ぼす購買行動への影響の有無は、メディア接触時間だけではかることはできない。(TVは見るけど信用するかどうかは別)
などが原則で、上手くマイルドヤンキーとそれ以外の生活者の違いを確認できなかった可能性がありますが、
「地方の若者にはまだまだTV広告が効くのではないか?」 という仮説の検証には、もう少し本格的jに調査をしないと真偽を確かめるのは、難しいのかもしれません。
個人的な経験で観測する範囲では、自分の地元の小学校の同級生は、いつも同じメンバーで飲み続けていて、子育て開始も早く、所謂マイルドヤンキーに近い存在だと思っていますが、ヘビーにFacebookも使っています。
・マイルドヤンキーであっても情報の接触量は都市部の生活者とそう変わらない程に多いのではないか?
・リアルの口コミとSNSからの口コミとのバランスは違えど、口コミ重視は、そう変わらないのではないか?
という可能性についても、一度検討した方が良いのかもしれないなと思い直しました。