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広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ

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真珠湾攻撃の明暗とKodakの破産についてと、アイデアをパスすることの重要性について

最近隙間時間に読んでいた本『「洞察力」があらゆる問題を解決する』に、とても興味深い事例の話があり、そこから思ったことをまとめました。

真珠湾攻撃の明暗

真珠湾攻撃パールハーバー)は、真珠湾に停泊する米軍に戦闘機で奇襲をかけ、壊滅的な影響を与えた(与えなかったという意見もある)事件です。
実は、この事件の前にもう一つ、エポック・メイキングな事件があったそうです。

 1940年11月から12日にかけて勃発したターラント海戦について知る人はほとんどいない。この戦争によって、軍指導者たちが海の上での戦争に対する考え方を一変させたというのにもかかわらずである。
 この海戦が証明したことは、敵の戦艦は、航空母艦から飛び立った戦闘機からの攻撃に弱いということであった。(同著p62)

イギリス軍がイタリア軍に対して行った攻撃ですが、この時に初めて、大量の戦闘機を船に載せて、海上から総攻撃する、というスタイルが採用され、その効果は絶大で、24発の魚雷で停泊中のイタリアの第一小艦隊が壊滅したそうです。
そして、この事件に気がついたのが山本五十六で、これをきっかけに真珠湾攻撃を提唱することになったそうなのですが、、、
では、米軍側は誰も気が付かなかったのか?というと、そういう呑気なわけではなく、

一方、アメリカ海軍戦略部長のヘラルド・シュタルク海軍大将は、ターラント海戦を応用することを山本より早く気がついていた。ターラント海戦の2週間後にはメモを残していて、1940年11月20日に「奇襲攻撃によって、ハワイにある最も狙われやすい獲物は、そこに停泊している戦艦であろう」と記している。そのメモには、「港の中で爆撃防御網をかけることが望ましいかもしれない」というアイディアまで記されている。(同著p66)

この通り、重要ポジションの人が気がついていたのですが、残念ながら軍事訓練中の真珠湾の艦隊は、訓練の邪魔になるような防御網を常時設置することを拒否し、十分な備えをせずに、あえなくパールハーバーを迎えてしまいます。*1

両者とも、勘の良い人はいて、同じことに気がついていたにもかかわらず、それを実行プランにまで出来た人と、1回だけ自分の頭の良さを示して後は何もしなかった人とでは、大きな差が出るという教訓ではないかと思いました。

Kodakはデジカメを最初に発明していた

更にこの本にはもう一つ面白い事例がありました。

 コダック社の失敗は、旧式カメラからデジタル・カメラへの転換に乗り損ねたからである。言い換えれば、デジタル技術が開発された結果、巨大な企業が、これまでのビジネス・モデルが適用しなくなったことを見抜けなかったことについてのありふれた話である。
 ただ、ありふれた話というのは事実を十分に説明するものではない。実はデジタル・カメラは、そもそもコダック社によって発明されたものなのである。
 スティーブ・サッソンはコダック社の電気エンジニアであったが、1975年に世界初のデジタル・カメラを開発した。彼と彼の上司は、1978年にその特許を取得した。コダック社がデジタル革命を見逃すことはなかった。なぜなら、同社がカメラ界におけるデジタル革命を起こしたからである。(同著p282)

その後、コダック社は、デジカメも作っていながらも、圧倒的No.1になるまでに力を入れることはなく、対してデジカメで利益を出せないママ、時代は、携帯電話で写真を撮る時代へと移行してしまいました。

イデア著作権特許権もない 実現することが難しい

これは折に触れて言及していますが、”アイデア”には、著作権特許権もありません。世間一般の人の感覚からすると不思議にうつるのかもしれませんが、アイデア段階では、有象無象の人が同じようなことを思いついています。しかし、それを実現させるにはもう一段階大きいハードルがあるのです。
少し古い事例ですが、印象的だった話では、こんなブログの記事が話題になっていたこともありました。

 qlog » お父さんは少し怒っています

追記をされている通り、この方も特許出願中という状態ではあったようですので、そのまま特許権を取得できていれば、恐らく訴えて差し止めることもできたでしょう。(その費用対効果は薄いかもしれませんが)
実際には、このブログの事件のように、アイデア段階で実用化されずに消えていくものは山とあります。先ほどのコダックでは商品化すらされていたのに経営陣がデジカメに本腰を入れることがなかったため大きな利益を出す事業には至りませんでした。。

イデアを持っているだけの人は、いっぱいいるのです。

iPhoneが発売され、Androidが発表された後、程なくして日本の携帯電話メーカーも同じようなスマートフォンを発売することができました。ということは、技術的には対した差がなかったのに、先に商品として送り出すことができませんでした。

イデアを持っている人のアイデアを拾い上げるには?

個人でアイデアを持っている人はいっぱいる。
実化させる能力がない奴は無能だ!

と個人の問題に帰結させることもできます。
勿論、頭の良さを誇示したいだけのオタク社員は組織に貢献しないので不要ですが、せっかくのアイデアを黙殺する組織というのも勿体無いと思います。

有名な定説として、六次の隔たり - Wikipediaという社会学の実験があります。
この実験では、平均的に6人の人を介在すれば、自分の目的の人にたどり着くことができる、というものです。
組織の中でアイデアを持っている人が沢山いても、そのアイデアを良いと思ったり、意思決定するポジションの人が拾い上げなければ、実現されることはありません。
組織の中で生き残る為に積極的に上にアピールする人材も居ますが、小さな思いつきから始まる場合は、なかなかそうも行かないと思われます。

アシストする人へのインセンティブが重要

最近読んだ別の本、ソーシャル物理学:「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学に、面白い事例がありました。別の方がブログにまとめて頂いています。

rakuchin.at.webry.info

この施策のポイントは、宝探しに協力して探してくれた人に報酬(インセンティブ)を与えるだけでなく、宝探しに協力してくれる人を紹介した人にも報酬を与える、というシステム設計にあります。

イデアを持った人のアイデアを拾い上げるには、”アイデアをパスする”という行動を促進するような仕組みを意識的・構造的に作ることと、

先ずは、”アイデアをパスする人も重要である”と認識することも重要だと思います。
広告代理業の世界では、よく他人の言っていることを右から左へパスするだけのちょっと胡散臭い人が居るものですが、意外とこういう社交性のある人によって、救われているアイデアがあるのではないかと思います。

 

 

*1:この手の話には諸説があるそうで、わかっていたけど敢えて囮にして攻撃させたんだ、と言う人もいます。