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アニメ・CM他のOP・ED・劇伴等の音楽の権利と映像の権利について_シンクロ権の慣習

アニメ・CM・映画に使うOP・ED・劇伴の音楽の権利は、クラシカルオーサーと言って、製作委員会サイドではなく、
作詞家・作曲家・音楽出版社・プロダクション・レコードメーカー等のサイドに権利が残ります。
(細かいことを言うと、原盤制作費を分担して原盤使用料を製作委員会がシェアすることもあります)

オープニングや劇中歌の音源データが手元にあるからと言って、それをイベントやプロモーション活動で勝手に使うことはできません。
イベントでちょっとした歌唱や演奏をしてみようとなると、楽曲の権利者に確認が必要になりますし、
音源を使おうとなると、楽曲に加えて音源の権利者に確認が必要になります。

とは言え、常に楽曲・音源にかかることを権利者に確認したり使用料が発生したりしていては、面倒な時もあります。
そのような時のために、「シンクロ権」というものがあります。

因みに、シンクロ権=シンクロナイゼーション・ライツ とは、主に海外で決められている権利で、日本国内は、あるようでないようで、実態の運用としては存在しているもので、
映像に音を併せて流す権利 という意味です。

作家の作った楽曲を勝手に色んな映像と一緒に流さないで下さい というものです。

例1)MAD動画
MAD動画で音と映像を別々の作品から引っ張ってくるのは、慣習としてはアウトです。

例2)CM
CMの音楽は、商用利用ということもありますが、音楽のどの部分(14秒なら14秒分)を使うか、について、
全く、作家サイドの承認を得ないで使うことはありません。
*大御所の監督なんで、監督にお任せしまーす!というケースもありますが、無断ということはまずありません

例3)アニメOP/ED/劇伴 海外版やDVDでの原盤使用料
DVDや海外番販の際に、劇伴やOP/EDの原盤使用料については、法的には、DVD発売元が使用料を払うべきものです。
しかし、実際の運用では、払っていたら委員会がリクープしませんので、原盤使用料の料率は都度交渉になります。
その際に、「映像とシンクロしての利用に関しては」という但し書きを入れることが多いです。

OPの映像と音源がセットになっている状態で、まるっと海外で放送するとか、まるっとDVDに入れるとか、はOKだけど、
音だけ別で使っちゃだめよ! ということになります。

特に、海外番販の場合は、音源データだけ、チャンネル別にMEに入れて別納しますので、
(吹き替え版を作る際に、映像と声とSE・劇伴が別のデータで必要なため)
下手すると、そこから勝手に音源データを抜き取って、プロモーションで使われたりするリスクがあります。
それを避けるためとなります。

若干あるようでないような権利ですが、
民間の運用実態は、必ずしも法律の通りだけではなく、別途慣習があるものです。



*楽曲と音源の違いや権利ホルダーについては、以前のエントリーで書きました(楽曲と音源について
映画の著作権については、こちらで書きました