広告/統計/アニメ/映画 等に関するブログ

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「製作委員会方式」でない方式とは?

今日日、殆どのTVアニメーションが「製作委員会方式」なので
それだけわかってれば良いんでないか? という節もありますが、

手塚治虫さんが悪者扱いになっているTVアニメの制作費が安すぎる!という噂
を理解するためにも、知識としてわかっておいて損はありません。



製作委員会方式 以前◆

今は、製作委員会各社が、TVアニメビジネスの収支のリスクを抱えている主体ですが、
昔のTVアニメは、広告代理店・制作会社(・放送局)が主に、リスクを抱えて作っていました。
その2社にとって、アニメにかかる収支構造は、以下になります。

□ TVアニメにかかるコスト □
・放送するためにかかる費用 = 電波料 : 広告代理店から放送局への支払い
・制作するためにかかる費用 = 制作費 : 制作会社の人件費と外注費

□ TVアニメの収入 □
・広告主からの番組提供費 : 広告主から広告代理店へ
・商品化のロイヤリティ収入 : 商品化のライセンスを受けた会社から制作会社へ

広告代理店が、商品化の窓口を行うケースもありますが、
多くは、アニメ制作会社が、商品化の窓口をします。

■ 電波料 ■
元々、TV番組は、放送局が作る売り物で、
本来、素晴らしい高視聴率番組を放送すればドル箱になる(かもしれない)ところに、
広告代理店やアニメ制作会社が、自分達のやりたい番組を流すのですから、
”場所を貸すお金”を払ってもらわないと困ります。
ということで、広告代理店から放送局へ、毎月決まった額が支払われていきます。

広告代理店は、そのコストをどこから捻出するかというと、
玩具・ゲーム・食品、その他子ども向けにCMを打ちたい企業などなどからの
”番組提供費”が元手となります。

たまたま子ども向けにCMを打ちたい企業が少ないと、逆ざやになることもあり、
近年では、しょっちゅうです。

■ 制作費 ■
電波料は、広告代理店さんだけが心配するリスクですが、
”制作費”は、広告代理店と制作会社両方にとってのリスクです。

制作費の一部は、
広告代理店から制作会社に、話数分だけ決まった額が支払われます。
でも全額ではありません。
”番組提供費”の収入だけでは、到底制作費をまかないきれません。

では、足りない分を制作会社はどうするのか?

そこで、商品化の窓口を制作会社が持ち、
アニメ関連グッズからのロイヤリティ収入を集めて収支をあわせます。
(*厳密にはロイヤリティは、制作会社から広告代理店や放送局にも
 一部、還元される場合があります。)

こういうケースの場合、制作会社が、制作費のリスクを負担しているので、
敢えて”製作会社”と呼ぶ人もいます。


所で、子ども向け番組の場合は、
ロイヤリティ収入の殆どが、”玩具”の収入になりますし、
売れそうなアニメの商品化権を獲得するために、”番組提供費”を一番多く負担するのも
玩具メーカーになります。

実態としては、殆ど、玩具メーカーにおんぶにだっこ(全てではないにせよ)なので、
今では、玩具メーカーが主体的に製作委員会を組成するケースも少なくありません。